■162
炎を纏った零の剣が、再び敵の巨大な体に向かって突き進む。燃え上がる炎の熱気が周囲の空気を歪め、彼の全身から放たれる力は今までのどの戦いよりも強烈なものだった。
零の叫びが闇を裂き、剣が敵の胸に深々と突き刺さる瞬間、まるで時間が止まったかのように世界が静寂に包まれた。しかし、それは一瞬のことで、次の瞬間、敵の体内から圧倒的な反発力が零に襲いかかった。
「何だと…!」零は後方に吹き飛ばされ、甲高い音とともに地面に激突した。
巨大な敵の体からは、今まで以上に強烈な黒いオーラが噴き出していた。まるでその力は、破壊と死そのものが具現化したかのようだった。零が剣を再び構える暇もなく、そのオーラが波のように押し寄せ、彼らの周囲を包囲していく。
「くそ…これ以上は持たないかもしれない…!」零は立ち上がりながら呟いた。
麻美がすぐそばで手を差し伸べ、彼の腕を支える。「まだ諦めちゃだめ。私たちは一緒にここまで来たじゃない。今がその時なのよ!」
守田も隣に立ち、「そうだ、俺たちの力はここで終わりじゃない。お前がまだ立ち上がれる限り、俺たちは負けない!」
零は仲間たちの言葉に力を得て、再び剣をしっかりと握りしめた。彼の心の中で燃え上がる決意は、さらに強まっていた。敵の強大さに恐れを抱くことなく、彼はその圧倒的な存在に立ち向かう準備が整っていた。
「この力…この仲間たちと共に、俺たちは必ず勝つ!」
その言葉と共に、零の剣から再び炎が爆発的に燃え上がった。その炎は、まるで彼自身の魂が燃え上がるかのように赤々と輝き、その輝きは敵の黒いオーラを打ち破る勢いを持っていた。
「守田、麻美!一緒にやるぞ!」
守田が再び拳を握りしめ、青白い光が彼の全身を包んだ。「空間よ、我に従え!全力で行くぞ!」
麻美もまた風の力を手に集中させ、無数の風刃が彼女の手から生まれ出た。「零、守さん…私も全力でサポートする!」
三人が一斉に力を合わせ、その圧倒的なエネルギーが敵に向かって放たれた。炎、風、そして空間の力が絡み合い、まるで嵐のように敵の体に突き刺さる。
その瞬間、敵の体が激しく震え始めた。周囲の空気が捻じ曲がり、空間そのものが崩れ始める。大地は裂け、黒いオーラが急速に弱まっていった。巨大な影が徐々に形を失い、崩壊し始めた。
「やったか…!?」守田が拳を下ろしながら叫んだ。
しかし、その時、敵の瞳が再び赤く光り、最後の力を振り絞って叫び声を上げた。その咆哮は、まるで地獄の底から響くかのような凄まじい音だった。
「最後の一撃を与えないと…!」零は再び剣を握りしめ、全力で敵に向かって突進した。
彼の剣が再び燃え上がり、剣先が敵の胸に突き刺さった瞬間、まるで全てが止まったかのような静寂が訪れた。
「終わった…」零は呟きながら、剣を敵の体から引き抜いた。
巨大な敵の体がゆっくりと崩れ落ち、そのまま砂のように消えていった。