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■161

夜空に響く零の叫びは、闇の中で一瞬の光となって散り、次の瞬間、巨大な敵の咆哮がそれをかき消した。

敵の影が一層濃くなり、まるで大地そのものを引き裂こうとするかのように、周囲の空気が捻じ曲がる。凶悪な赤い瞳が零たちを睨みつけ、その視線だけで彼らの体を凍りつかせるようだった。


「くそ…これが本当の力なのか!」零は歯を食いしばり、剣を構え直した。


巨大な敵の動きは緩慢だが、その一撃一撃がまるで破壊そのものであり、今までの戦いとは比較にならないほどの威圧感を放っていた。

零たちは決してその力に屈することなく、再び立ち向かう。


「まだ終わってない…俺たちはここで倒れるわけにはいかない!」零が叫び、全身を炎で包み込む。


「私たちがここで終わるわけにはいかないわ」麻美も風の結界を強化し、彼女の眼差しには仲間たちへの強い信頼が宿っていた。


守田は拳を握りしめ、その拳には再び青白い光が宿っていた。「そうだ、今までの戦いはこの時のためにあるんだ。これを乗り越えた先に、俺たちが目指す未来がある」


その言葉に応えるように、巨大な敵が腕を振り上げた。

まるで山そのものが動くかのような圧力が零たちに迫る。腕が振り下ろされる瞬間、彼らは一斉に動き出した。


「行くぞ!」零の剣が炎を纏い、その一撃で敵の腕に向かって突き刺さる。

しかし、その硬質な鱗は依然として微動だにせず、まるで鋼鉄の壁に剣を打ち込んだかのように跳ね返された。


「何て硬さだ…!」零は驚愕の表情を浮かべながらも、決して諦めることなく再び剣を振り上げた。


守田もその隙を狙い、全力で拳を振り下ろした。「空間を切り裂け!」


彼の拳から放たれた光が、空間そのものを捻じ曲げるかのように巨大な影に向かって一直線に走った。光が敵に触れた瞬間、空間がひび割れるような音が響き渡った。

それでも敵の巨大な体には大きな損傷を与えることができない。


「くそ…!」守田は汗を滲ませながら、再び拳を構え直す。


その時、麻美が大きく息を吸い込み、風の刃を無数に生み出した。「私も…全力で!」


風の刃が次々と敵の全身を切り裂くかのように放たれた。無数の刃がその巨大な影を取り囲み、まるで嵐の中に敵を閉じ込めるように渦巻いていた。

だが、その風すらも、敵の強固な防壁の前では力を失い始めた。


「このままじゃ…」麻美が焦りの表情を浮かべる。だが、その時、零が叫んだ。


「まだだ!俺たちは一人じゃない!みんなで力を合わせれば、必ず突破口が見えるはずだ!」


その言葉に、麻美と守田は再び頷いた。彼らは決して一人で戦っているわけではない。

仲間がいる限り、どんな強大な敵にも立ち向かえる。それが彼らの強さだった。


零は再び炎を剣に纏わせ、全身の力を込めた。「炎よ、我が魂を燃やし、この敵を焼き尽くせ!」


剣先から放たれた炎は今までよりも一層激しく燃え上がり、敵の胸に向かって突き刺さった。

剣が触れた瞬間、まるで異次元の空間が裂けるかのような衝撃が走り、巨大な敵が一瞬だけよろめいた。


「今だ…!」零が叫ぶ。


守田はその隙を逃さず、全力で空間魔法を解放した。「空間よ、我が拳に従い、敵を捻じ曲げろ!」


青白い光が再び敵の体を包み込み、周囲の空間が捻じ曲がるように振動した。

その瞬間、巨大な影が軋み、まるで崩れ落ちるかのように体が歪み始めた。


「やったか…?」麻美が息を切らしながら辺りを見渡す。


だが、その時、再び敵の瞳が赤く光り出した。


「まだ…終わってない!」零は再び剣を構え直し、立ち上がった。「今度こそ…俺たちが決着をつける!」


彼の全身から放たれる炎は、これまで以上に強烈な力を帯びていた。

彼は仲間と共に再び敵に立ち向かう決意を固め、最後の一撃を放つために突進した。

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