■134
静まり返った森の中で、麻美、零、守田の三人は、ダークエルフの隠れ家と思われる場所に近づいていた。
周囲は薄暗く、木々の間から差し込む微かな光が不気味に揺らめく。彼らは、これから直面する未知の敵に対する緊張感と興奮で心が高鳴っていた。
「ここだ、感じる…何かが潜んでいる。」零が低い声で言うと、仲間たちも頷いた。彼の直感が真実であることを願いながら、麻美は注意深く周囲を見渡した。森の音が消え、静寂が彼らを包む。どこか不気味でありながら、ダークエルフとの対峙に向けた期待が心の中で膨らんでいく。
「注意して進もう。」守田が言い、彼は先頭に立って進む。周囲の木々はその存在を感じ取っているかのように、風に揺れる音を立て、葉が擦れる音が微かに響く。三人の心には、ダークエルフとの接触が近づいているという不安と期待が交錯していた。
「もし、何かあったら、すぐに合図を出して。力を合わせて戦おう。」麻美が言うと、零と守田もその言葉に頷き、心を一つにした。
やがて、彼らは暗い森の奥に隠れた小さな空間にたどり着く。そこには、ダークエルフの巣窟があった。薄暗い空間の中で、影のように動く存在がちらりと見えた。その姿はまるで、静寂の中に潜む獲物のようで、彼らの存在に気づいているのかもしれない。
「近づいてみよう。」零が静かに言った。彼の心臓は高鳴り、すでに戦闘モードに入っていた。麻美はその言葉に従い、息を潜めながら進み出す。
「お前たち、何をしに来たのか?」不意に、暗闇から鋭い声が響く。ダークエルフの一人が姿を現し、その目が光を反射していた。その目は、冷酷さと計算された悪意を秘めており、まるで獲物を狙うように彼らを見つめていた。
「私たちは、お前たちの目的を探りに来た。」守田が果敢に答えると、ダークエルフは微笑むように笑った。その表情は、侮蔑と興味を混ぜ合わせたようなものだった。
「我々は、人間に興味はない。妖魔王に仕えることが全てだ。」その言葉には、冷たさが滲んでいた。麻美は、その言葉の裏にある脅威を感じ取り、心の中で警戒を強めた。
「だが、私たちはあなたたちの行動が村に害を及ぼすことを許さない。」麻美が意を決して言うと、ダークエルフの目が一瞬、驚きで大きくなる。彼女の強い意志を感じたのだろうか。
「面白い。人間がこんなにも勇敢だとは思わなかった。しかし、勇気があろうとも、結果は変わらない。」ダークエルフが笑みを浮かべ、身を翻した瞬間、彼の周りには黒い魔力が渦巻き始めた。
「やっぱり、戦うつもりだな!」守田が叫び、すぐに構える。「麻美、零、行くぞ!」
瞬時に彼らの心は一つになり、攻撃の構えを取る。麻美は風を感じ取りながら、魔法を詠唱し始めた。「風よ、我が意志を汲み取り、敵を包み込め!」その声が力強く響き、周囲の空気が激しく流れ始めた。
零はその隙に、炎の魔法を準備する。「炎よ、我が意識の中で燃え上がり、敵を殲滅せよ…ファイヤーボルト!」彼の詠唱が響き、炎が手のひらからほとばしり出た。ダークエルフの周りにいる魔力が渦巻く中、その力に立ち向かう。
守田も力強く叫び、強化魔法を発動させる。「拳に宿り、敵を砕け!パワーストライク!」彼の力が増し、ダークエルフに向かって突進した。
攻撃がぶつかり合い、激しい戦いの幕が開ける。森の静寂が破られ、怒号や魔法の閃光が飛び交う。三人は互いに支え合い、どんな試練にも立ち向かう覚悟を決めていた。