■120
激しい戦闘が続く中、キメラの動きはますます速くなっていた。三人は疲れを感じながらも、何とかその獣の攻撃をかわしていた。キメラの鋭い爪が空を切る音が耳に響き、彼らの心臓は高鳴り続ける。
「くそ、やっぱりこいつは手強いな!」零が息を切らしながら叫んだ。彼の手には雷の力が宿り、しかしキメラはその攻撃を巧みに避け続けている。
「焦らないで、冷静になればきっと隙が見つかる!」麻美が声をかける。彼女は、風の力を集めながら、キメラの動きをじっと観察していた。
守田は体をひねりながら、必死に周囲の状況を把握しようとしていた。その時、彼の視界にキメラの不自然な動きが映った。キメラの右側の肩に、かすかな傷が見える。それは、彼らが初めて戦った時に受けた攻撃の跡だった。
「待って!あそこだ!」守田が叫ぶ。彼はその傷に目を止め、興奮した声で言った。「あの傷、どうやらキメラの弱点かもしれない!」
「本当か?」零が目を輝かせて言った。「なら、そこを狙おう!」
麻美も頷きながら、「でも、どうやって近づくの?キメラは本当に素早いから、隙をつくのが難しいわ。」と心配そうに言った。
「俺が引き付ける。お前たちは、その隙を狙って攻撃を仕掛けてくれ!」守田は決意を持って宣言した。彼の声には、仲間への信頼と共に、自らの覚悟が込められていた。
「それなら、私も全力で行くわ!」麻美が応え、風の力を高める。彼女の目には、勝利への期待が宿っていた。
「よし、じゃあ行くぞ!」守田は自らの力を信じ、キメラの目の前に飛び込んだ。キメラはその動きに反応し、爪を振り下ろしてきた。
「来い!」守田はその攻撃をかわしながら、間合いを詰める。彼の心臓は高鳴り、すべての力を注ぎ込もうとしていた。
その瞬間、麻美と零が同時に声を上げた。「今だ、守田!」
キメラの動きが一瞬止まったその隙を見逃さず、守田は全力で叫んだ。「空間よ、私の意志を受け入れ、攻撃を封じろ!」その言葉と共に、周囲の空気が震え、力強い光が彼の手から放たれた。
キメラは守田に攻撃を加えようとしたが、その瞬間、麻美が風を集めて彼を護る。風がキメラの動きを一瞬鈍らせ、その隙に守田は右肩の傷へと飛び込んだ。「今だ、みんな!」
「パワーストライク!」零が雷の力を集中させて叫び、キメラの傷口を目がけて全力で攻撃した。彼の攻撃が直撃すると、キメラは驚愕の表情を浮かべ、悲鳴を上げて後退した。
「やった!これが弱点だったんだ!」麻美が嬉しそうに叫ぶ。守田も心の中で高揚感が広がる。キメラの動きが一瞬鈍くなったその時、彼は仲間と共に攻撃を続けることを決意した。
「今ならチャンスだ!」守田が叫ぶ。「みんな、一緒に行こう!」
三人は力を合わせ、キメラの弱点をついて攻撃を続けた。彼らの連携が高まり、次第にキメラは動きが鈍くなっていく。強い絆を感じながら、彼らは力を合わせてキメラに立ち向かい、ついに勝利の瞬間が近づいていた。
この瞬間、彼らの心に宿るものは、仲間としての絆と、共に戦い続ける勇気だった。キメラとの激戦を通じて得たその力は、彼らに新たな希望をもたらすものとなっていた。