■113
森の奥深く、薄暗い木々の間を進む零、麻美、守田の三人は、彼らが目指す魔物の巣を探し続けていた。やがて、かすかに聞こえる不気味な鳴き声に引き寄せられるように、彼らは目の前の広場にたどり着いた。そこには、三種類の弱い魔物が集まっているのが見えた。
「見て、あれが魔物たちだ!」零が指をさすと、周囲には小さなゴブリン、シロアリのような形をした昆虫、そして小さなケルベロスが現れていた。それぞれの魔物は、一見して弱そうだったが、油断はできない。
「よし、行くぞ!」守田がガントレットを装着し、戦闘態勢に入る。彼の目には鋭い光が宿り、強い決意が見て取れる。「この手で叩きのめしてやる!」
「私もやるわ!」麻美は風の力を感じ取り、周囲の空気を一層強めていく。「風よ、私の力を増幅し、敵を打ち倒せ!」
「それじゃ、まずは俺から行くぜ!」零は妖刀を取り出し、その刃を月明かりに反射させる。「いくぞ、妖刀の力を見せてやる!」
三人がそれぞれの攻撃に向かうと、魔物たちが一斉に反応した。小さなゴブリンが前に出てきて、鋭い刃物を振りかざして攻撃してくる。
「来い、ゴブリン!」守田が一歩前に出て、ガントレットでその攻撃を受け止める。「この一撃で終わりだ!」彼の力強い一撃が、ゴブリンの腹に直撃した。力強い衝撃音が響き渡り、ゴブリンは後方へ弾き飛ばされる。
「よし、続けて!」麻美は風を巻き起こし、周囲の空気を動かす。「風よ、私に力を与え、敵を排除せよ!」彼女の詠唱が終わると、強い風が吹き荒れ、ケルベロスを襲った。強烈な風の力が、その小さな体を吹き飛ばす。
「こっちもやるぞ!」零は妖刀を振りかざし、次の敵であるシロアリのような魔物に狙いを定める。「妖刀よ、刃を解き放て!」彼は一閃し、刃が空気を切り裂く。妖刀の光がシロアリに直撃し、その体を粉砕するように打ち抜いた。
その瞬間、周囲は静まり返る。魔物たちが次々と倒れ、零たちの息遣いだけが響いていた。男の子のことを思い出し、麻美の心に温かい思いが広がる。
「お母さん、元気になるかな…」麻美が呟くと、零が振り返った。「大丈夫、俺たちが全力でやってるから。」
守田も頷き、「確かに。これが俺たちの力だ。どんな敵が来ても、俺たちなら乗り越えられる!」
三人は再び立ち上がり、周囲を見回す。まだ魔物の気配は残っていたが、彼らは恐れず進んで行く。仲間の絆が深まる中、彼らは新たな冒険のために力を合わせて立ち向かっていく。