料理名 英知の結晶である麺類 ~マッドサイエンティストを添えて~
『麺類短編料理企画』参加料理です。企画主のしいな ここみ様に『お料理の速さを磨くチャンスにしてください(*´艸`*)』と振って貰ったので、自分史上最速で書きました。
提出期限が迫っている書類仕事に飽きたので、完全な現実逃避です。( ;∀;)
手元に食物がある。私はこれが大変美味であることを知っている。時に中毒性を感じるほどだ。
しかし、このままでは飲食に向かない。
この食物の調理には、ハイドロジェンとオキシジンふたつの物質の化合物が必要なのだ。
かつて太古の生物をほとんど死滅させたと伝えられるオキシジン。現代でも一部の生物にとって猛毒であるだけでなく、金属の腐食の原因ともなるガスだ。
しかし、問題ない。我が種族は『呼吸』というスキルを身に着けており、このガスを体内に取り込む事で生きている。私がオキシジンの化合物を使用しても、毒性に侵される危険はない。
ただ、もう一方のハイドロジェンというガスは厄介だ。ありふれた物質にもかかわらず扱いが非情に難しい。
本来の気体の状態だと、保存しておくのすら困難だ。金属やガラス瓶などでは、わずかな隙間から簡単に漏れ出してしまうからだ。しかも、着火温度が非情に低く爆発の危険すらある。
なので私は、既に化合済のジハイドロゲンモノオキサイド(一酸化二水素。略称DHMO)を利用する。
利用するのは、ポリエチレンテレフタレートという物質で出来た専用の密閉容器で保存されている物だ。
しかし化合物だからと言って、その危険性が無害化されるわけではない。
無色透明で無臭であるにもかかわらず、人体への危険性を頻繁に指摘されてきた。
例えば哺乳類が限度を超えた経口摂取をすると、呼吸困難の原因となり場合によっては死亡といった事例が報告されている。
しかし私は考える。人は未知への挑戦を忘れてはならないと。
かつて、ふぐは毒性があるため食用出来ないとされていた。しかし飽くなき食への好奇心が調理法の確立となり、今では広く親しまれている。
なので私は、ジハイドロゲンモノオキサイド(一酸化二水素。略称DHMO)を料理に利用することに躊躇しない。
ただ、そのままでは使えない。
私はそれを容器に移しマイクロウェーブ・オーブンにいれ、マイクロ波(2.4GHz)で振動させた。
これで、調理に使うのに適正な状態となった。
私は容器に添付されていた説明書に従い、定められた量を注ぎ込んだ。タイマーで3分経過したのを確認し、容器の蓋をあけた。
苦難を乗り越え、いよいよ料理が完成した。香しい匂いが部屋中にただよう。
さて私がそれを一口食べようとした時に、玄関の扉が開く音がした。
母だ!!
「ちゃんとご飯作れた~? カップラーメン!? もっとちゃんとした料理を作りなさいよ! 」
「いいの! 料理を作る速さを磨くことにチャレンジしているの! 」
※注釈
オキシジン = 酸素
ハイドロジェン = 水素
ハイドロジェンとオキシジン、ふたつの化合物 = 水
ポリエチレンテレフタレートという物質で出来た専用の密閉容器 = ペットボトル
酸素による金属の腐食 = 錆び
ジハイドロゲンモノオキサイド(一酸化二水素。略称DHMO) = 水
マイクロウェーブ・オーブン = 電子レンジ
カップヌードルの作り方を、ひたすら小難しく書いてみました。
せっかくなので、理系っぽい料理にしてみました。
いや、これを書く元気があるなら書類を早く完成させろって話ですが(;^ω^)
明日、早く起きて仕事します。