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とある一日

作者: てんころ

 目を覚ました。窓から光が差し込んでおり、本日も快晴だった。手元のスマホを見るとまだ6時50分だった。


「どっこらしょ...」


 ベッドから身体を起こし欠伸をした。10月の空気はとても心地良く、また横たわればすぐに寝てしまいそうだった。

 今日は土曜日で仕事は休み。特にやる事もないので実家に遊びに行こうと思った。

 携帯で実家に電話をかける。


「…もしもし…あっお母さん?」


「ねむ〜い…何?また来日するの?」


「来日する〜」


「お母さんは今日仕事でいないからね?お父さんは一日いるけれど…」


「分かりました」と言って電話を切った。

 

 コールマンのリュックに携帯と小説、水筒を入れてアパートを出た。

 すぐ近くのバス停で乗車。そこから2〜30分で地下鉄の入口に停車。地下鉄に乗って終点で降り、またバス停で乗車。また2〜30分揺られながら本を読み、保育園の前で降車。徒歩で実家に到着。


「ただいま~」と言って玄関のドアを開けるとリビングのソファーに父がいた。父は片手を上げると再びテレビに目を向けた。画面には何でも鑑定団が映っていた。何でもないようなブリキの玩具に100万円の価値がついていた。


「お前お昼は食べたのか?冷凍チャーハンあるぞ。」


「じゃあそれでお願いします。」


 父はソファーから立ち上がり台所へ向かった。自分は壁際のオットマンにリュックを載せて、ソファーに横になった。

 

「お前野菜はどうするんだ?」


「食べる。」と言って寝返りを打った。


 それから約5分後父と食卓についた。


「最近仕事どうだ?」


「今はパソコンの作業をやってる」


「…」父は黙って頷いた。それから


「お前俊夫の結婚式出れそうなのか?」と気まずそうに聞いた。


「体調が安定してたら出たいけど…」

 自分はここ5年ほど妄想の病気と戦っていた。簡単に言えば被害妄想がもっと病的になったものという感じか。通院を重ねてどちらかといえば落ち着いてきた方だったが、冠婚葬祭は欠席していた。


「あんまり気を使わなくていいからな…俊夫も来れたらでいいからって言ってくれてるからな。」


「分かった。ありがとう。」


 食事が終わると二階に上がり、自分の部屋のクローゼットでアパートに持ち帰る衣類を探した。比較的新しいパーカー二枚とクリーニングに出した薄手のセーターを取った。その後一階に戻り紙袋に服を纏めた。


「じゃあご馳走さまでした。」


「もう帰るのか。何しに来たんだ?」 

 

 玄関を出て帰路についた。

 地下鉄の出口でバスに乗り、暫く揺られていると女子中学生が隣に座った。その後小学生が10人ほどバスに乗ってきた。バスの中はいっぱいになった。ボラの群れの様だった。

 やがて本を読んでいると身体の左側に重さを感じ不審に思って横を見ると中学生が自分に寄りかかって眠っていた。頭の重さと体温が生々しかった。小学生達がこちらをちらちらと見てきた。


「あっ…すいません…おります。」と声をかけると中学生は驚いた様子で席を立った。


 アパートに帰る途中スーパーに寄ってウイスキーを購入した。

 玄関のドアを開けると埃っぽい匂いがした。古いアパートなのでしょうがない。

 リュックを開け中身を取り出した。そしてキッチンの棚からグラスを出し、冷凍庫の氷を入れた。

 窓際のテーブルにグラスを置き、黄金色の液体を注いだ。綺麗な夕日がウイスキーに乱反射した。

 

 

 

何か日記になってしまいました。

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