【Another side:R】年下の婚約者が「抱いてください」と迫って来たんだが!?
『年下の婚約者が「抱いてください」と迫って来たんだが!?』を読んでいないと分からない・分かりにくい箇所がいくつかあります。
時間軸が「今 → 過去 → 今」みたいな感じで、バラバラです。分かりにくいかもしれません。
純粋な怒りというものは、目にも見えるらしい。
トニー・リチャードソンは現実逃避からそんな事を思った。周りの人々は狼狽えたり、悲鳴をあげたり、あまりのことに言葉を失ったりと、さまざまな反応をしている。
ここは【妖精の園】。
妖精たちがもう一つの世界に引っ越してしまって以来、数が少なくなった、妖精の世界とこちらの世界を繋ぐ橋のような場所。
園と付けられている通り、普段は人の手が入らないこの聖地は、一年中暖かく冬の間ですら花が咲き誇る。その中心部に建つのは宝石で出来た建物だ。宝石で造られた建物など、世界中探してもここしか見られないかもしれない。人間の力では到底作れないそれは、妖精たちがここで暮らしていた頃に作った、今ではオーパーツなどと呼ばれる物である。
あれこれと装飾はないが、建物の構造は教会の聖堂に似ているため、恐らくこちらが元なのだろう。
「貴人をお守りしろッ!」
上司である騎士団長の言葉で現実逃避を止めて、リチャードソンは走った。この場で最も守るべき人とは、国王陛下である。陛下の前に滑り込んだリチャードソンであったが、同じように前に出た他の騎士たちとは違い、腰の武器を引き抜く事は無かった。何故なら、抜いたところで意味がないからだ。今リチャードソンに出来るのは、肉の盾として国王陛下の前に立つ事だけであるとよくよく理解していた。
≪許しがたい裏切りだ≫
恐らく男の声だろう声が、頭の中で響く。耳から入るのではなく、まるで頭の中に直接音の発生源があるかのような反響に、人々は頭を抑え蹲った。
声は苛立たしさを増す。それに合わせて大地は振動し、どこから起こったとも分からぬ風が、妖精の園に集まっていた人々を襲った。
≪我が花嫁は、我を裏切った。我を裏切り、人の男と繋がった。我々は長年お前たち人間との契約を守ってきたにも関わらず、お前たち人間は我らを裏切った!≫
妖精王の言葉はまるで物理的な重みがあるかのように人の上にかかり、リチャードソンを始めとした騎士たちも膝をつく。当然、鍛えていない人間は早々に膝をつき、上体すら床についている者が多かった。ちらりとほんの少しだけ首を動かして後ろを確認すると、国王も膝をついていたが、横の王妃が胸から倒れ込んでいるのとは違い、手をつきながらではあるが上体は起こしたまま。しかもその目だけは、真っ直ぐに【妖精の園】の中心部へと向かっていた。
どちらかというと、頼りないと囁かれる事のある王であったが、この時リチャードソンは初めて、かの貴人に対して心から尊敬の念を抱いた。
≪許さぬ、許さぬ、許さぬ、二度も契約を違えるなど、人間は、我々を愚弄している!≫
上からではなく、今度は前から……【妖精の園】の中心から外に向かって、衝撃が広がった。リチャードソンは膝をついたまま反射的に足の指先に力を入れて踏ん張った。そのお陰か、今度こそリチャードソンは肉壁としての役目を果たし、国王陛下を衝撃から多少なりともお守りした。すぐ横の騎士がかなりの勢いで吹き飛ばされた事を思えば、リチャードソンと国王陛下がどちらも数メートルずり下がっただけですんだのは、かなり幸運だっただろう。
声は止んだ。
人々はこれで全てが終わったかという雰囲気を出し、中には明らかに気を抜いている者もいたが、この後こそが本当の地獄であるとリチャードソンは知っていた。
これから始まるのだ。国を滅ぼしかねない、天変地異の数々が。
★
リチャードソンが父から事の経緯を聞かされたのは、十九の時。
リチャードソン家の一人息子として生を受け育てられたリチャードソンは、自然と騎士団に入団し、一つずつキャリアを積み上げていた所だった。リチャードソン家はよくある武官の家系であったので、彼のキャリアの積み方も当然の流れで、問題は何一つなかった。むしろ順調すぎる位だっただろう。
その年の特筆すべき出来事と言えば、オールダム伯爵家の令嬢が、妖精の花嫁として選ばれた事が国民中に知れ渡った事だろう。
それは同時に妖精王の代替わりを意味するが、妖精国と直接かかわるでもない人間たちにとってはその事は大した話題ではなかった。むしろ新たな花嫁を一目見ようとオールダム伯爵家に人々が押しかけて、騎士団はそれを裁くのに使われたりしていた。
国が浮つけば問題も起こる、それを対処してなんとか帰った所で、父は代々家に伝わっていた秘密をリチャードソンに伝えた。
「これは無かった事にされている歴史の話だ」
数百年前に実際に起こった、妖精王との約束の反故。
それに伴う大災害。
それを収めるべく、生贄として捧げられた数多の乙女たち。
そんな事、歴史書には全く書かれていない。
最初こそリチャードソンは父の妄言かとすら思ったが、疑う息子に父はいつも手に持っている杖の取っ手の部分を押し付けた。そこには丸い石が付いていると知っていたが、この石が妖精由来の物だとはこの時まで知る由もなかった。
リチャードソンの脳内に、見たこともない映像が次々に浮かぶ。様々な土地で様々な災害が起こり、多くの人間が死し、国が荒廃していく様。その映像を理解してしまえば、これが過去の事実であると理解せざるを得なかった。
無数の映像に頭が割れそうになるリチャードソンが最後に見たのは、泣きそうな顔で、けれど必死にそれを耐えながら無理矢理笑顔を浮かべるそばかすの女性だった。服装からして貴族の女性で、それが誰かなんてリチャードソンは知りもしない。
机に手をついて荒く息をする息子に、父は淡々と語った。
「お前が最後みたのは、五百年前、我が家から生贄として出る事になった娘だ」
家系図には名前のみ残っている彼女は、婚約者が不慮の事故で亡くなっていたせいで綺麗な身の上で、生贄になる事を逃れる事は出来なかったのだという。
彼女は妖精国に行き、二度とこちらの世界に帰る事はなかった。だが少なくとも向こうで幸せになっただろうと父はぼんやりとした事を言う。何故そんな事を言えるのかと、突然の特殊な記憶の流入で頭が未だに割れそうなリチャードソンは父を睨み上げた。現役騎士の睨みはそれなりの圧があったはずだが、怪我で引退して随分立つとはいえ、父自身もバリバリの騎士として働いていた男だ。若い息子の圧など全く気にしていない、という風に言葉を続ける。
「彼女は妖精王の妻となったのだ。妖精王は妻を殊更大事にするという、悪いようにはされなかっただろうさ」
まさか自分の御先祖に、妖精王に嫁いだ者がいたとは知らず心底驚いた。同時に、疑問を抱く。確かに本来、かのそばかすの女性は妖精王に嫁ぐ筈ではなかったのだろう。それでも父がここまで断言するのだから、妖精王の妻になった事実は当時のリチャードソン家の人々にも伝わっていたはず。
だが、今のリチャードソン家でそれを知る者はいない。
妖精の花嫁が排出された家は、その名誉を後世へ残すのが一般的だ。自分で言うか、周りに言われるかの差はあれど、王侯貴族の娘が妖精の花嫁だったならば、親兄弟は「自分の家族は妖精の花嫁だった」と語るものだ。何故我が家にそれがなかったのか。その疑問に息子が到達したのだろう事を表情の変化で読み取った父は続きを語った。
「おおよそ五百年前、妖精王の怒りをやっとの事で沈めた後、時の王家は今回の失態を隠す事を選び、様々な所での言論統制をおこなったのだ。その一環で、我が家から妖精王の妻が出た事も表沙汰にする事が禁じられた」
「……いや、そんな事不可能でしょう。いくら王家と言えど、しかも先ほどの過去の映像から鑑みるに、国が負った損害は上から下まで大きすぎた。しかも原因が王家の姫君だ、王家に対する信頼も何もあったものじゃない、王朝が変わっておかしくない事態のはずだ……」
息子の言葉に父は頷く。
「そうだな。人間の力しか働かなければ、王朝が変わっていた可能性は高かっただろう」
ハッとしてリチャードソンは父を見つめた。
「……まさか、妖精が?」
「うむ。妖精たちの考えは、人間には理解しがたい所がある」
それは残っている妖精に関する様々な逸話からも読み取れる。妖精には人間の常識も道徳も通用しない。だからこそお互いに理解し合う事は難しく、国を挙げて妖精と契約を結べていたこの国は特別だったのだ。
「妖精が契約を結ぶのは、国そのもの。王家はその顔そのもの。どういうやり取りが王家と妖精王の間に会ったかは知らないが、妖精たちは王家が歴史を書き換えるのをむしろ手伝ったようだ」
何故そんな事をしたのか、リチャードソンには理解できない。だが妖精の協力もあり、五百年後には国の存亡の危機すらまったく伝わらずにいるという事実だけは、確かだった。
「我が家も、当時の娘が残した手記だとか、家族への手紙だとかも処分せざるを得なかった。また、妖精王の妻を輩出した事も語る事を禁じられた。……そこまでなら良かったのだがな。何せ、その時点では人間の力のみの指示だったのだから」
つまり、そののち、妖精が首を突っ込んできたという事だ。
「国からの指示を受け取った少し後、一人……それとも一体と表現すべきか分からぬが、妖精がやってきた。妖精は妖精王の指示の元、当時の当主しら知らなかった事件の仔細を語って聞かせた。それと同時に、ほんの僅かであるが妖精国で妖精王と共に微笑む娘の姿も見せたという。それに安堵したのか、当主は妖精に対する警戒を解いてしまった。……そして気が付けば、我が家は家個人で妖精と契約を結んでしまった。解く事が不可能な契約をな」
契約を結んだという事は、それを守らなければ損害が出るという事だ。今まさに妖精王との契約を破ったために起こった地獄絵図のような過去の情景を見てしまったリチャードソンは、無意識のうちに唾を飲み込んだ。
「そう暗い顔をするな。普通にしている分には問題が起こる契約ではない」
「……こんな前ぶりをしておいてですか?」
「ああ。……国としては五百年前の一件は消された秘すべき歴史だが、我が家は親から子へとのみ、過去の真実を伝える事が許されている、というだけさ」
確かに父の言う通り、普通にしている分には問題の無さそうな契約で、大層な前ぶりに相応しい重い契約とは思えない。ちなみにこの契約を結んできた妖精に渡されたのが、父がいつも持つ杖らしい。
一瞬、それだけと言いたくなったが、いや、待て。
……。
「反した場合に起こる不利益はなんですか」
息子の質問に、父は細い目をそっと閉じた。
「家族以外に語った場合――――話した者と聞いた者、そして聞いた者から更に又聞きした者まで、一日以内に突然死する」
話した人間が死ぬ、だけなら分かる。
だがそこに加えて聞いた者、更にそこから話を広めようとした相手まで死ぬというのは、ただ過去を語り継げるという許しとは到底釣り合うとは思えなかった。
「……過去に、した者が……?」
「いた。…………というよりも、正義感故だったが、広めようとした当主がいた事でこの契約違反による罰則が発覚したのだ。それまでの当主は、罰則がある事すら知らなかったからな。だからトニー、お前も口を滑らせる事がないようにせよ」
「そんな事言われて話す者がいる訳がないでしょう!」
「…………普段はよくとも、酒で前後不覚になり酒場で語ったせいで、その日酒場にいた人間全員を殺した者もいたのだ」
酷い。
ちなみに死因はあくまで突然死なので、問題にはなったがリチャードソン家の人が原因だとは思われなかったそうだ。その人間の実親と兄弟は、巻き込んでしまった人々の家族に出来る限りの金銭的補填や仕事の斡旋などを行い、出来る限りの償いはしたらしいが……多くの人間の未来を捻じ曲げた事には変わりない。
父はその件があってからは歴代の当主だけにこの事を伝えるようになったと、知りたくもなかった情報まで足してきた。
「元々はお前が当主の座を継ぐ時にでも話すつもりであったのだがな。新たな妖精の花嫁が選ばれたため、時を早めてお前に伝えた方が良いと考えたのだ」
「オールダム伯爵令嬢が、同じ愚行を繰り返すとでも言うのですか」
「そのようは意味ではない。だが何事にも、備えをしておく必要はあるだろうと思っただけの事だ」
まさかこの会話が、後々盛大なフラグになるとはリチャードソンも父も思っていなかったのだった。
★
時は現在に戻る。
妖精王の怒りが落ちたのち、人々は【妖精の園】から急いで退出した。国王らを無事に外に出せたと安堵すると同時に、リチャードソンは当たりを見渡してある事に気が付いた。すぐにブライトマン騎士団長に声をかけた。
「騎士団長。オールダム伯爵令嬢がおりません」
振り返った騎士団長はすぐに周囲を見渡す。確かに、事の原因である妖精の花嫁の姿がない。
【妖精の園】の中にまだいるのかと団長が戻ろうとするも、【妖精の園】に通じる唯一の道は人々が見ている目の前で茨に覆われて行った。まるで人間が入るのを拒否するかのように。
今回の儀式に同行していた聖職者が、静かに茨を見つめてから首を振った。
「今は入れないでしょう。…………妖精王様が少しでも怒りを鎮められてからでなければ……」
一度帰るしかないと一同は空を見上げる。既に空は夕暮れに染まりだし、随分と長い時間が流れていた事が分かった。【妖精の園】の内部の時間は外とは違う事があると聞いた事はあったが、どうやら真実だったらしい。個人的な事を言えば家族や家に仕える者たちが無事か気になったが、リチャードソンも今や役職を持つ身、勝手な事は出来ない。
貴人を守りながら一同が王都に着いた時、騎士団長は同行していた騎士たちを二つのグループに分けた。
「私と来る者はこれより陛下方を王宮へと送り届ける。リチャードソン副団長と共に行動する者たちは一足先に本部に戻り、副団長の指示の元王都の治安維持に励むように」
「はっ」
リチャードソンは馬の手綱を引きながら部下たちを見渡した。
「これより本部に帰還する!」
リチャードソンを先頭として、【妖精の園】に向かっていた騎士のおおよそ三分の一が本部に帰り着いたのは、既に空が真っ暗になった後であった。
本部は事情の知らぬ者たちが混乱しつつも、何とか起き始めている異変や問題の情報収集を行っていた。そのままリチャードソンは寝ずに情報収集と今後の騎士団の動きについて考える事になったのだった。
朝がやってくると共に、妖精王の怒りは国土全体に降り注がれた。
地震、水害、火事、嵐、異常な雨と晴れ、家畜たちの間を爆発的に流行り出す病気。
リチャードソンは騎士団の副団長という立場上、ただの一度も家族の元に帰る事も会う事も出来ぬまま働き続けた。国の上層部は今回の件をどう説明するのだろうと不安はあった。今現在の王家と五百年前の王家は同じ血筋とはいえ、別の人間だ。しかしやはり子孫であるのには変わらないので、同じように全てを秘密にして臭い物に蓋をするという可能性もあった。
国王陛下は口数の多い方ではない。普段は臣下の言葉に耳を傾け難しい貴族間のパワーバランスを取りつつ国を運営するというタイプの国王だった。その手の国王が突発的な緊急事態に弱いという例は、様々な国の歴史でよくある話でもある。
四日後、王家としての正式な表明に、国中の人間は驚くことになった。騎士団で次から次へと飛び込んでくる情報を処理していた四徹目のリチャードソンも、その一報が届いた時には眠気が吹っ飛んだ。
内容は、以下の三点だ。
妖精の花嫁が他の男と姦通しており、妖精王の怒りを買ってしまった事。
そして、それを鎮めるには過去の事例から考えるに生娘を捧げるしかない事。
国を救うために、国中の生娘を捧げる事。
国王は起こった出来事を隠そうとしなかった。その文章はただただ事実を記したものであり、殊更今回の一件に関わった者を責めるような雰囲気は見られない。
多くの者たちは妖精王の怒りを買った事に震えあがっていたが、むしろリチャードソンは二点目――ハッキリと示してはいないものの、王家が五百年前の失態を覚えており、それを匂わせる発言をした事に驚いた。流石に当事者たちすら忘れるという事はしていなかったのか、或いはこのような事態になり忘れ去っていた過去を掘り起こしたのか……どちらかは分からないが、知っている者が聞けばどういう意味かは分かる文章だった。
生娘をささげるという所で、婚約者のいる者や若い姉妹や娘のいる騎士たちは震えあがっていた。分かりやすく顔を青ざめる者は多い。
そして、このお触れが出て以降、一部の騎士たちは副団長であるリチャードソンに対して懐疑的な視線を向けるようになっていた。仕方のない事ではあったが、面倒な事になるなと過去のお節介を少し後悔した。
★
【妖精の園】にて妖精王の怒りを実際に目にする、数か月前の事。
リチャードソンは息子から、オールダム伯爵令嬢に二心ありという話を聞いていた。
若い世代には若い世代なりのコミュニティや人間関係があり、そのお陰で発覚したのだ。
初めてその話を自身の息子から聞いた時、リチャードソンが真っ先に思ったのは、王家と教会は何をやっているんだ!? という事だった。
妖精の花嫁は国を挙げて守らねばならない大事な存在だが、王家と教会の片方のみでその存在を保護するのは、国のバランスを崩壊させかねない。実際、どちらかがのみで花嫁を対応したために、花嫁が嫁いでしまうまでの間国が難しい……ハッキリ言えば人間同士の争いで荒れたケースが過去にある。どちらか一方が暴走というより、次代を変えて両方暴走している。そのような歴史の積み重ねにより、妖精の花嫁は王家と教会その両方が手を出して守ると同時に監視するようになったのだ。これはどちらかが愚かな事をしたときに、もう片方の陣営に属する人間がそれを咎め、妖精の花嫁を守る事が出来るという利点がある。
だがまさか、その両方がどちらも腐る事があるとは。
話を聞いてからすぐに伝手を使って調べた結果に、リチャードソンは頭痛がした。
まず王家。オールダム伯爵令嬢の護衛やらお目付け役(実働部隊)を兼ねている第四王子本人が、妖精の花嫁を口説き落とす愚行をしていた。そしてそれを止めるべき第四王子と親しい他の高位貴族令息たちまで、オールダム伯爵令嬢の傍に侍り愛を乞う状況に眩暈がする。彼らは揃って上への報告を誤魔化していた。それを咎め上に報告するべき中間層の大人たちも、それぞれ目の前の利益に目がくらんで偽りの報告を上げていた。恐らく国王の元までは話が届いていないはずだ。流石に、国王すら絡んでこの醜態とは、思いたくない。
次いで教会。こちらも、上の実際の思惑までは分からないが、実際にオールダム伯爵令嬢に関わる人間と、その背後が腐り切っていた。オールダム伯爵令嬢が第四王子と近づくのを止めないで、第四王子や他の令息たちと良い関係を築くのを微笑ましく見つめている――訳もなく。
着々と、王家や貴族たちの醜聞を集めながら、その事実をどのタイミングで世間に公表するかのころあいを見計らっているようであった。要は王家の求心力を弱め、教会の権力を強くしたいのだろう。
普通なら、ここでオールダム伯爵令嬢とその周りを罰するべく報告を上にあげるだろう。……だがリチャードソンはそうしなかった。
既に手遅れだという事が分かったからだ。
オールダム伯爵令嬢は処女ではない。リチャードソンは調べるのが遅すぎたのだ。
リチャードソンとて愛国心はあるし、それなりに正義感もある。もしまだオールダム伯爵令嬢の身が清らかだったなら、「妖精王との契約を蔑ろにするのか?」とでも理由付けて、貴族教会様々な方面から怒りを買うと分かった上でも直訴したかもしれない。だが遅すぎた。何もかも遅すぎた。
オールダム伯爵令嬢と関係を持った人間も、そうなるように仕向けた人間たちも、妖精王の力というものを軽んじているのだ。五百年前の歴史が残っていれば絶対にそこまでさせなかっただろうが、無かった事にされているために、誰もいずれ訪れるペナルティに意識を向けもしない。妖精王を裏切った事で降りかかる災難を想像もせず、ただ、目の前の金や権力に執心している。
この国は長い間平和だった。平和は人の心を強欲にする。
一度目の約束の反故とそれに伴う災厄を知らぬ者に、いくら話しても事の緊急性も危険性も、伝わるはずがない。せいぜい、人の良心に従って「約束を破るのは悪い事だよね」と思う人が出てくる程度だろう。
まあそもそもリチャードソンは過去の話を他人に出来ないのだが。
話せば自分も他人も死ぬと分かって、他で話す訳にもいかない。
息子は自分の生まれた家に伝わる妖精絡みの面倒事などしらないので、若い正義感から呑気にオールダム伯爵令嬢とその周りの態度が汚らわしいと憤慨している。いっそ彼にも今伝えようかと思ったがやめた。まだ若い息子に背負わせるのは些か酷だ。オールダム伯爵令嬢が嫁ぐ事になる……つまり妖精王が怒るのは次の冬で、まだしばらくの時間的猶予があった。その期間、誰にも来るだろう地獄について話す事も出来ずに苦しむのは、会われ過ぎる。
唯一この問題の重大さを話し合える父に報告すれば、父は卒倒した。それから、当主として当然の仕事として、自分の領地の領民たちの命を一つでも救うために、備蓄できる食べ物を貯めこみ始めたり、自然災害が起こりそうな箇所の目星をつけだしたりと忙しく働きだした。父が真剣になって動いているので、そちらはもう父に任せる事にしたリチャードソンだったが、職場で楽し気に結婚について話している部下たちを見て、気が付いてしまった。
冬の前に結婚する部下はいい。だが様々な要因――お金が足りないだとか準備不足だとか親族の不幸だとか普通に元々の予定のためとか――で結婚が来年の春である部下はいるのだ。彼らの結婚相手は、再婚でもない限りは未婚の令嬢――つまりは、処女である。
つまりは、オールダム伯爵令嬢の裏切りを妖精王が怒り、五百年前と同じ方法で治める事になった場合、人身御供となる女性たちという事である。
もう国が荒れるのは確定事項だからと半ば諦めていたリチャードソンだが、冷静になれば自分には娘はいないが、親族友人まで広げれば未婚の娘もそれなりにいるはずだ。彼らが将来的に生贄になる事を知っていながら何もしないのは、流石に精神的に出来なかった。
そんな訳でリチャードソンは結婚を来年にしている部下を呼び出し、さっさと結婚して結婚相手を処女でなくせと迫る、変な上司と化したのである。
リチャードソン家にかけられている妖精の契約は「五百年前に妖精王との契約を無視した事があった」というような過去について話す事が禁止されているもので、抜け穴がない訳ではない。「妖精の花嫁が妖精王を裏切ったので、処女のままだと妖精の花嫁の代打として人身御供になるかもしれない」とは言えないが「妖精の花嫁が嫁ぐ前に処女でなくせ」とは言えるのだ。
ちなみに何故これが言っても大丈夫な範疇と分かっていたかと言えば、何代も前の当主が、妖精の花嫁に親しくしている男性がいるという噂を聞き、焦って娘や親戚の娘の結婚の時期を早めた事があったのだ。実際には当時の花嫁はあくまで節度のある付き合いしかしていなかったそうだが、この焦った当主のお陰で、「ここまでは話しても大丈夫」という抜け穴があると分かっている。
騎士団内で部下たちから変な目で見られるようになった後、部下から話を聞いたのか上司であるブライトマン騎士団長にまで「最近変な話をしているらしいが、あまり他人の個人的な事情口出しをしないように」などと言われたりもしたが、だからはい止めますとは答える事は出来なかった。それで忠告をやめた結果、苦しむ者が出るかもしれないからだ。
どうせ国は滅茶苦茶になるのだろうから最悪失職してもいいかという心境にまで至りながら、リチャードソンは部下たちに結婚を急かしまくったのだった。
……この行動は後悔していない。いや本当に。自分の良心に従った結果なので。
だが王家がある意味正直に様々な事を発表した事で、一部の人間はこれまでのリチャードソンの動きがまるで未来を予測していたようだと気が付いてしまったのだ。
……勿論、部下たちからリチャードソンの妙な行動について報告を受けていたブライトマン騎士団長が、気が付かない筈もない。
★
王家のお触れは早馬も使って、数日で国中に広まっただろう。
そんな中、リチャードソンは非公式ながら国王陛下の呼び出しを受け、王宮に赴いていた。正式なものではないため、部屋の中にいる人間は少ない。国王陛下とその側近兼護衛の近衛騎士二人、それから、リチャードソンと、直属の上司であるブライトマンだ。
「リチャードソン卿。主は此度の事件をどこまで把握しておったのか」
「お答えできません」
「答えよ。王の言葉であるぞ」
「お答えできません」
横のブライトマンが咎める視線を送ってきたが、リチャードソンにはこう答えるしかない。この場で万が一にでも真実を伝えれば――リチャードソン家は五百年前の事を語り継いでいますのでとか言ってしまえば、リチャードソンは国王とその側近と騎士団長を殺すことになる。そんな事が出来る筈がない。
「何故だ」
「……お答えできません」
「ブライトマン騎士団長の執り成しにより、陛下は敢えて非公式な場で問うておられるのだぞ!」
側近の叱咤が飛ぶが、リチャードソンの答えは変わらない。
「……国王陛下。私は国王陛下を心から尊敬申し上げ、忠誠の剣を捧げております」
誤魔化すためのものなどではなく、本心だった。
【妖精の園】での姿、そして第四王子が絡んでいた事で王家が激しく責められるだろう状況下で、保身よりも真実を語った姿に、リチャードソンは心からの尊敬を抱いた。これまで、平和な世だからいいが、どちらかというと頼りにならない系統の王だと思っていた自分の見る目の無さも恥じたぐらいだ。
だが。だからこそ。
「であるからこそ、私は御身を傷つけかねない行為は出来ませぬ」
王の質問に答える事が、王の体を傷つけるなど、理解できないだろう。実際側近たちは意味が分からないとばかりに、不快そうな声を出していた。国王は、考えの読めぬ顔でリチャードソンを見つめている。
勿論リチャードソンが上手く言葉を濁して話せばこの場の人間の命を奪う事もないかもしれない。だがリチャードソンはそんな事が出来るほどの口達者とは思えなかったし、遠回しに伝えようとすればするほど、セーフかアウトかは試さないと分からない範囲になる。とてもではないが実行しようとは思えなかった。
リチャードソンはそっと首を垂れる。
「私の頸にて国の災いが少しでも収まるのでしたら、いくらでも捧げる覚悟はできております」
できれば、リチャードソンの頸一つでおさめて欲しい。リチャードソンの頸はいくらでも、何度でも、捧げたってかまわなかった。
リチャードソンの頸をどう活用するかなんて、どちらかというと脳みそが筋肉で出来ているタイプの騎士であるリチャードソンには思いつきもしないのだが、国王らであればうまく使う事も出来るのだろう。
「……面を上げよ」
静かな声に、リチャードソンは指示通り顔を上げた。
「【妖精の園】にて余を守った汝の献身と忠誠はよくよく覚えておる。……何より汝の頸を捧げるよりも先に、妖精王に捧げねばならぬ頸がある状況で、騎士団長から優秀な部下を奪う訳にもいかぬ」
――リチャードソンはブライトマンと共に、退出を求められた。
帰り際の廊下を並んで歩いていると、ブライトマンは足は止めぬまま尋ねてきた。
「私にも話せぬか」
「はい」
「どうしてもか」
「理由は、陛下に申し上げた事と同じになってしまいます」
リチャードソンを副団長に引き上げたのは、横を歩くブライトマンだ。その恩だけに留まらず、リチャードソンはブライトマンを上司として、一騎士として尊敬している。そんな相手を殺したいと思うはずもない。
ブライトマンはそれ以上は尋ねる事はしなかった。
王への謁見は全て非公式で行われたため、広く知れ渡る事はなかった。知った者も、集まっているのが国のトップと治安を維持する騎士団のトップ二人であるので、国の治安維持についての話し合いだと勝手に勘違いした。
それからの期間は、ただひたすらに仕事をしていた記憶しかない。政治的に国王が、どう事を収めるのかという一番重要な点に意識を払えないほど、人々の混乱による治安の崩壊が酷かったのだ。
部下の多くも休み返上で働いているのに、上の立場であるリチャードソンが休める訳もない。
仕事の合間を縫って恋人や婚約者に会いに行く騎士もいたが、一つ一つ咎めている余裕はなかったので見て見ぬフリをした。一部の騎士はリチャードソンの過去の行動について問いただしてきたが、のらりくらりと誤魔化し、忙しい業務の手伝いをさせて物理的に黙らせたりした。
あまりに仕事漬けで数回失神したが、数時間後に机に突っ伏した状態で意識を取り戻していは仕事の続きを行い、なんとか毎日の仕事を終わらせることが出来ていた。そんな生活を送っていたので、国王陛下が溺愛していた末王女が最初の人身御供となった事も、第四王子たちを筆頭にオールダム伯爵令嬢と交わった男たちの処刑も、それを許した人間への処罰も、リチャードソンは殆ど聞き流しだった。それよりも耳に届いたのはどこの地方の災害の被害がどの程度とか、王都内で起きた事件の対処をどう行っているかとか、そういう事ばかりである。
第四王子の元婚約者であった侯爵令嬢が人身御供となったのだって、知ったのは、空に虹がかかったと言う報告の後である。
連日新しく起き続けていた災害が起きなくなり、正式に侯爵令嬢が次の妖精王の妻となった事が報告されて。やっと落ち着きを取り戻した始めた王都に、騎士たちは次々に安堵から倒れて行った。彼らが休息を取り回復するのを待つ数日間が恐らく最も過酷だった。
そして大多数の騎士たちが復帰した後に、リチャードソンは副団長室で倒れているのを部下に発見され、強制的に家に帰されたのだった。【妖精の園】に向かって以来、初の帰宅だった。
十分に休息を取ってから、家族から王都での出来事を、従者からは政治的なあれこれを聞いた。随分と沢山の家が消える事になっていたし、勢力図はここから更に大きく変わりそうだ。とはいえリチャードソンがするべき仕事は変わらない。
一つ懸念と言えば、未だにオールダム伯爵令嬢の行方が知れぬ事か。裏切者の代わりとして末王女が妖精国に赴く時には、【妖精の園】への道は復活していたそうだ。なので行方不明のオールダム伯爵令嬢の捜索もされたそうだが、見つからなかったらしい。忽然と消えた彼女が今どこで何をしているのか……そもそも生きているのか、誰も分からない。把握しているとしたら、それはきっと妖精王だけだろう。
……無事に国は平静を取り戻しつつあり、リチャードソンに直接問いただしに来ていた者たちが新たに質問しに来る事も殆ど無くなり、冬が終わり、新たな春が来た。
平和な春の景色を見ながら、リチャードソンは「自分が生きている間に二度と妖精王の代替わりがないと良いな」などと思ったのだった。
★
「リチャードソン副団長!」
名を呼ばれて振り返ると、覚えのある騎士が立っていた。
アレックス・フレイザー。若いながらも騎士団内で着実に活躍をし、既に一代限りの爵位まで得ている若者だった。
だが重要なのはそこではなく、彼はリチャードソンに「婚約者と早く結婚しろ」と声をかけられた騎士の一人である……という事の方が、この場では重要だっただろう。
「少し、人の目の無い所でお話したい事があるのですが」
「分かった。部屋で聞こう」
部屋で二人きりになった所でアレックスが何を聞いてくるかは簡単に予想出来た。
「副団長は、今回の…………妖精王の……。…………」
「……何の話か分からないな」
やはりそれかと少し辟易しながらもリチャードソンは誤魔化した。アレックスが少し言葉に詰まっていたのでかぶせるような形になったが、何にせよ答える気はないとジッと部下を見つめる。
アレックスは視線の意味をくみ取ってくれたらしく黙る。「話はそれだけか?」とリチャードソンが尋ねた時、アレックスは他の騎士たちが言わなかったことを言った。
「“苦しむのは女性、後悔するのは君だ”…………あまりにその通りでした。私は副団長を信用せず、妻を信用せず、妻は一人で苦しんだ。私は、どうして妻を信じようともしなかったのか、話を聞こうともしなかったのか、後悔した」
リチャードソンはアレックスの妻については詳しくは知らない。ただ春に結婚が決まっているという情報だけで結婚を急げと急かしていたのだ。だから彼の言葉は流石に意味が分からなかった。
そこまで言いつつ、アレックスは次の言葉を迷うように視線を彷徨わせ……それから、そっと頭を下げた。
「…………突然すみません。妙な事をおたずねしてしまい。忘れてください」
「……分かった。では話はこれで終わりだ。それでよいか」
「はい。お時間を頂き、ありがとうございました」
アレックスは立ち上がり、そして退出の前にもう一度小さく頭を下げた。
「…………ご忠告ありがとうございました。……お話を真剣に聞かず、申し訳ありませんでした」
アレックスが出て行った後、リチャードソンは椅子の背もたれに体重をかけた。
「……謝罪は初めて聞いたな」
リチャードソンの説得に従った騎士は多少おり、彼らは感謝を告げてきていた。ただ、リチャードソンに謝罪なんてしたのは、アレックスが初めてである。別にリチャードソンは謝罪も感謝も求めておらず、個人の感情を発端として動いていただけだったのだが。
だが何にせよ、あのまっすぐな気質は悪くないな等と考えるのだった。
★
仕事の引継ぎに手間取り、アレックスが家に帰り着いたのはもう夜も遅い時刻であった。
「帰った」
「おかえりなさいませ、アレックス様」
疲れて帰ってきたアレックスを出迎えてくれたのは、十も年の離れた妻のポーリンだ。今でこそ、全てが丸く収まってこうして平和に夫婦をやれているが、何かが掛け違えばアレックスはポーリンが人身御供になる所を見ているしかなかったかもしれないし、或いは一人遠い修道院にいってしまったポーリンを追いかける羽目になっていたかもしれない。
アレックスはまだまだ新妻と言えるポーリンを抱きしめた。ポーリンは抱きしめると、小さな体で必死にアレックスの背中に腕を回そうとする。自分の体に回る短い腕も、その力も、何もかも愛おしかった。
結婚した事で騎士に与えられている寮を出て、小さい一軒家で二人暮らし――正確にはハンナを始めとした数人の使用人が日々働いているが――を始めたが、中々に悪くない。家に帰ればポーリンに会えるので、精神的にもかなり助かっている。例年であると結婚したての若い騎士には先輩騎士たちからの嫌な絡みがあったりもするのだが、今年ばかりはそういう事は行われていないようだ。昨年の冬の、妖精王の怒りが落ちた一見もあり、「無事に結婚出来て良かった」と祝福されるにとどまっている。
「お食事は指示通りご準備しておりませんが……」
「ああ。腹に詰めれるものは詰めてきた」
夕食の時間までに帰れそうになかったので、本部で購入できるパンを腹に詰めてある。家に帰ってから食べても良かったが、ポーリンの顔を見たら後回しにしたくなるだろうと思ったからだ。
実際既に二度、同じような事をしておりハンナから嫌味を言われていた。アレックスも馬鹿ではないので同じやらかしを何度も繰り返したりはしない。先に食事も風呂もすませておいて欲しいと連絡をしてある。
「先にベッドに行っておいてくれ。すぐ行くから」
そう言いながらアレックスはポーリンの額にキスをする。それだけで夜を思ってか顔を染めるポーリンの愛らしい事。
ポーリンは歴とした成人女性なのだが、体格差も相まってアレックスが抱き寄せると子供のようになってしまう。……幼女趣味ではない。ただ妻が年が離れていて、それに加えて体格が小さいだけだ。
早く風呂をすませて寝室に行こう。強く決意した。
風呂を済ませ夫婦の寝室に戻れば、ネグリジェに着替えたポーリンがアレックスを待っていた。
アレックスは健全な成年だ。我慢できるはずもなく、声をかけるのもそこそこにベッドに上がり、自分よりずっと小さい唇を自分の口で塞いだ。何度も口を合わせるうちにポーリンは息をするのに必死になり、口を放せばはふはふと必死に呼吸をする。ポーリンが息を整えている間にも首元などにキスをして、それから新婚夫婦はベッドに沈みこんだ。
若い夫婦の夜はまだまだ始まったばかりであった。
●トニー・リチャードソン副団長
騎士団の副団長。リチャードソン伯爵家の嫡男で次期当主。
政治的な対応より剣を振るう方が性に合う、若干脳筋寄りの人。
五百年前の隠された歴史について知っている以外は普通の人。
●父
リチャードソン伯爵。元騎士であるが、比較的若い頃に怪我を負い引退している。
トニー・リチャードソンの父らしく、元々は脳筋寄りの人だが、長く貴族の当主を務めているので息子よりはマシ。
●リチャードソン家と契約した妖精
遊んだ。
●ブライトマン騎士団長
騎士団長。リチャードソンを副団長に出世させた人。
●国王陛下
何を考えているのかよく分からない。「周りに合わせているだけさ」と言われる事が多い国王だったが、実際のところがどうなのかは分からない。
●アレックス・フレイザー
『年下の婚約者が「抱いてください」と迫って来たんだが!?』の語り部のような視点主のような人。二十六歳。一代限りの爵位を持っている。
この後部署移動で副団長の直属の部下になり混乱したりする。
●ポーリン・フレイザー
アレックスの妻。十六歳。
背が低く全体的に年よりも幼く見られがち。
●ハンナ
セリフはなく名前のみ登場。元々はポーリンの実家でポーリン付きの侍女をしていたが、結婚した彼女にくっついてそのままポーリンの元で働いている。