第四話『別れるには』
御代と別れる……僕から別れを切り出すには、僕から告白した────その事実が、どうしても邪魔をしていた。
教室では、何の問題も無い御代。友達だって、僕なんかより多い……だから、僕と御代の間で問題が起これば、信用されるのは、彼女の方なんだ。
僕から、告白をして、晴れて恋人の関係になれた日のこと……スマホで記録を遡らなくても、容易に思い出せる、御代から届いたメッセージ。
『衛戸くんから告白してもらえて、本当に嬉しかったよ!』
嬉しいのはこっちもだよ、と、返信したのすら覚えている。
そう、残ってしまっているのだ。僕から告白した記録が。
弄られたり、気を遣われたりしたくないからと、付き合ってることを隠していた僕たち。でも、メッセージのやり取りの履歴を見れば、僕たちが付き合っていたことは、すぐに知られてしまう。
だから、僕から別れを切り出せなかった。
告白した僕から別れを切り出したと知られたら……何の問題も無い、みんなから信頼されてる御代を、告白し、彼女からの好意も知っている筈の僕が別れを切り出せば、きっと、みんなから敵意を向けられてしまう。考えすぎかもしれないけど、でも、御代の性格の悪さを考えれば、無い話ではなかった。
だからだ。だから僕は、計画を立てた。
僕からではなく、御代から別れを切り出す方法を……僕への興味を失くさせる方法を。
そして、それは無事に成功した。
この計画の協力者に、メッセージを送る。
『和哉、ありがとう。無事終わったよ。そっちも頑張れ』




