私聖女様、王子に処刑されちゃったの…
初めましての方は初めまして、そうでない方はありがとうございます。作者のもふもふです。楽しく呼んでいただける作品を目指して頑張りますのでよろしくお願いしますm(_ _)m
「フィーネ・アルト・ルナメリア!貴様との婚約を破棄する!」
「……一応、理由をお聞きしたいのですが」
「はっ、理由だと?聖女の名を騙る魔女め!」
「は?」
王城で行われたダンスパーティー、これからクライマックスだという時に殿下はトチ狂ったことを言い始めた。
私はフィーネ・アルト・ルナメリア。一応この国の聖女をしているはずのものだ。あ、聖女というのは50年周期で生まれてくる聖なる力を持った10人の乙女のことだ。私もその1人、な、はずなんだけどなあ。
「御言葉ですが殿下、私は中央教会に所属する聖女です。これは私を聖女だと選定した主、そしてそれを確認した中央教会への侮辱とも受け取れますがーー」
「黙れ偽聖女め!誰が罪人の言葉など聞くか!兵士よ!この大罪人をひっ捕らえよ!」
そう、聖女の詐称は立派な犯罪だ。しかも場合によっては処刑されることもある大犯罪だ。
「はあ…、殿下、後からどうなっても知りませんからね」
所詮バカ王子の戯言だ。すぐに撤回されるだろうーーー
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と、思っていたんだけどねえ。
あらあらびっくり。斬首台まできてしまった。頭上には日光にあたり輝くギロチンが。なんだか今すぐにでもおちてきそう、というか落ちてくるだろう。
「最後に言いたいことは?」
「これ、外してくださいませんこと?」
そう言いながらにっこりと笑ってみる。
「執行」
「デスヨネー」
くそっ、騎士に色仕掛けは通じないかっ。
というわけで、冤罪で無慈悲にも振り下ろされた刃によって、フィーネちゃんの人生は終わりを迎えましてしまいましたとさーーー
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ーーー何も、感じない…
ーーーああ、そうか。私、死んじゃったもんね…
「ぉ−ぃ」
ーーーあら?なぜかしら?声が聞こえるわ
ーーー不思議なこともあるものね
「ねえ、いいから早く起きてくれないかな?」
「へ?」
目を開けるとそこにはこちらを覗き込む白い髪に紅い目の少女がいた。
「あ、やっと起きたね。遅いじゃないか」
「あ、あの、あなたは?」
そういうと目の前の少女は少し考えてから言った。
「うーん、そうだなあ、面識はないけど誰でも知ってると思うよ。聖女だったなら尚更ね」
誰でも知っていて、聖女だった私なら尚更よく知っている。それで白い髪に紅い目って、まさか、
「[死霊の魔王]マリーシア……?」
「せいかーい!」
そういうと目の前の少女ーーマリーシアはにっこりと微笑んだ。