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第8話

「す、すごいじゃないか篠田君! それでこそ異世界って感じだった。あ、魔法のことだからね?」

「ありがとうナオちゃん。誰もコメントしてくれないから不安だったよ」

「まぁ、兄ちゃんもイイ線いってたぜ」

「でも的10個の最高記録と比べるとなぁ」


 10:0で篠田君でしょ! あ、はからずも的10と焼失で0のダブルミーニングっぽくなったけども。いや、そんなことはどうでもいい。


「あーっ、もう頭がヘンになりそうだよ! なにコレ? 新手のイジメなの?」

「どうした嬢ちゃん、恥ずかしがらなくてもいいんだぜ」


なぜにボク!


「メアリス、どうなってんのさ?」

「どうよナオ、モブ達にチヤホヤされる感想は。こーゆーのに憧れていたのでしょう?」

「いたのでしょう? じゃ、ないよ! 思ってたのと違う」


だって篠田君の立場でチヤホヤされるのが正解ですもの。


「新鮮味があって良いじゃない」

「バカにされてる感が拭えないんだけど」

「私考案の『フレッシュモブ』って対マケビト用のシステムよ」


 そんなフラッシュモブみたいに……


「無自覚を装ってチート能力を誇示する奴のキョトンとした顔をギルド関係者全員でほくそ笑むってのがコンセプトなの」

「タチ悪ぃな!」


そこはドヤらせてやりなさいよ、醍醐味なんだから。


「まさかギルマスと取引って……」

「そうよ? みんな努力してもあのショボい結果なのに、ひとりだけ何食わぬ顔で簡単に超えられて来ちゃったら気分悪いじゃない」


ヤベぇ、お約束許さないマン発見。


「でも、どうやら彼は違ったみたいね」

「自覚ある無自覚じゃなかったってこと?」

「アンタと違ってリア充畑出身、打算が一切ない聖人みたいな存在ね。別の意味でニゲートが必要なレアなケースだったのかしら」


 篠田君には詳しく聞いてなかったけど、彼の場合は親の方に問題があったんだよな。


「あーゆー本物は放おっておいても問題ないわね」

「ボクにはメアリスの基準がわからないよ……」

「あのぉ……そろそろ次の方、お願いします」


あまりの事に忘れていたけど、冒険者試験中だった。最後はメアリスだ。

振り返ると、焼け野原の上空に魔法で創られた的が数十個ランダムに浮かんでいる。


「あー、はいはい」


だるそうにセット位置に立つメアリス。


「それでは……始めっ!」

「あはんっ♡」


 贅沢な肢体を悩ましげに捩って指をパチリと鳴らすと。

 下品なジョジョ立ちとは裏腹に、全部の的が砕け、入れ替わりに抉れた地面や焼失した木々・外壁が嘘のように復元されたのだった。


「優勝はこの姉ちゃんだな」

「まぁ、試験に優勝もへったくれも無いけどな」

「ぱっつん三編みメガネも捨てがたいが、俺は銀髪毒舌ロングに一票だぜ」


全てを掻っ攫うメアリスだった。


「それでは皆様、次は武器を使用して試験官との模擬戦になります」


木剣を渡され、同じ順番で試験官数人がローテで採点する。

そしてボクはといえば。


《はいはい『いやんっ』ですか。そうですか》


お馴染み、媚々の掛け声ひと薙ぎで試験官を吹き飛ばして難なくクリアする。


「ちょっと、レアキャラのあんた。今度は空気読みなさいよ?」


腰に手を当てたメアリスが身体を深く曲げた状態で『あ〜ん?』と、篠田君を下から睨み上げていた。


「もう絡むのヤメなよ。篠田君の疑いは晴れたんでしょ?」


 もともと打算のない篠田君は、メアリスのアドバイスを参考に力をセーブし、僅差で試験官から一本を取る。


「なんなの、あの男!『手を抜いても余裕ですよ』感が腹立つ」


 理不尽女神! オーダー通りにしても怒られる篠田君。

 その後、メアリスもノールックで試験官から即一本取って今回の試験は全員が合格となり、新たな冒険者の誕生となった。


次回更新は7/30前後目標です。

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