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第7話

《まずは堂々と立って。そうそう、んで手のひらから何か出す感じで右手を前に》


 メアリスの指示に合わせ魔法攻撃チックなポーズをとる。


「なんだ、あの嬢ちゃん! 堂に入ってやがる」

「何かトンデモない事しでかしそうだぜ」

「見たこともねぇスゲぇキレイなフォームだ」


 ギャラリーの声が心地よい。

 十代の頃から『それっぽいポーズ』は練習していたのが報われた瞬間だった。


《なかなかいいじゃない、ナオ》

《ありがとう。で、このあとは? 呪文とかあるの?》

《呪文は『あんっ』よ。色っぽい声で》

《ん? 言ってる意味がよくわからないよ》

《だから呪文は『あんっ』よ。媚びる感じで、早よ!》


 ワンチャン聞き間違いじゃなかった。もうやるしかないようなので覚悟を決める。

 やってやりますとも! 色っぽく、そして媚びるように!


『あんっ!』


 一泊置いて手のひらから光球が飛び出す。


「ぴやっ」


 その反動で無様に尻餅をついてしまう。


「ナイスあざとさ!」


 メアリスがいい笑顔でサムズアップ。

 放たれた光球はといえば、マヌケな呪文の割に優秀で、途中から分裂すると10個の的をぱっかーんと砕いていた。


「おぉ〜」

「スゲエー‼」

「あの嬢ちゃん、最高記録じゃねーか!」

「やるな、パンチラ姉ぇちゃん」


 異世界の醍醐味、モブの称賛を堪能する。

 この魔法試験は1個でも的を破壊できれば合格で、受けた人の平均撃破数は3〜5個とのことだった。


「すごいじゃないか、ナオちゃん。オレも頑張らないとな」

「褒められ慣れてないから恥ずかしいや」


 篠田君も労ってくれる。いいヤツだなぁ。


「ありがとうメアリス。呪文は納得いかないけど、助かったよ」


 みんなから褒められて夢のような時間だ。


「よし、下準備は整ったわね。いい気分になってるとこ悪いけど、ナオには噛ませ犬になってもらうわよ」


 短ぇ夢だったなぁ……


「次はオレか」


 的が配置し直され、篠田君がセット位置に立つ。


「がんばれ、篠田君!」


 ウインクで答える篠田君。


「フレイム・インパクト‼」


 涼しげな顔で呪文を唱えると、炎の渦が全ての的を焼き尽くし、試験場の外壁までも焼失させてしまった。


「すごっ!」


 がんばれ、篠田君!とか言ってた自分が恥ずかしい。

 だが。


「なぁ、嬢ちゃん。10個なんてどうやったら当てられるんだ?」

「俺も知りてぇ!」

「やっぱ分裂する光球だよなぁ」

「そうですねぇ。長年試験官をやっていますが、10個の的に当てたのは貴女が初めてですよ」


 ん? いやいや、変だよね? みんな篠田君の魔法見てたよね? 彼、ボクより称賛しなきゃいけない結果出してますよ!?


「ボクより篠田君のほうを讃えてくださいよ! 彼、全部の的ってか、その先の外壁ひっくるめてご覧の通りなんですから!」


 ボクが指差す先は篠田君の魔法で木々も外壁もなく見通がしよくなった、地面が燻る焼け野原だ。


「そうは言ってもなぁ」

「最高記録を見ちまったあとじゃな」

「確かに凄いっちゃ凄いが、的10個だぜ?」


 あきらかにオカシイだろ……異世界セオリーからすれば、この場面でチヤホヤされるのはボクじゃなく篠田君のはずだ。


「あの……オレ、なにかやっちゃいました?」


 ボクを中心に変な空気になっているのを察したのか、篠田君が口を開く。

 言ってみたいセリフ上位のはずなのに、本来の意味で使う篠田くんはとても切なかった。


見切り発車で3作同時に書き始めたため、頭の中のイメージ出力が追いつきません。

ネタを思い付いたものから公開しますので、更新される作品はランダムになります。

次回更新はどれかが6/26前後の予定です。

『だっと』の再開は年末前後が目標です。



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