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第6話

第6話

「ナオ、あんた異世界の勉強してたってんなら思い当たるでしょう?」


 天才主人公だったり、学習能力のチートスキルとかだろうか。


「メアリスが与えた能力による結果じゃないの?」

「ニゲートくぐる時に、自動でその人に合った能力を付与するシステムがアダになったわね」

「あだって……篠田君、まだ何も問題起こしてないと思うんだけど」


 どこが引っかかっているんだか。


「どうにも自覚ある無自覚臭がするのよねぇ」

「言ってる意味がよくわからないよ。メアリスは篠田君のなにが気に入らないのさ?」

「まぁ、コイツが本当に善人ならそれでよし。ちょっとギルマスと話ししてくるわね」


 そう言って受付嬢と面会交渉したメアリスは、ギルマスに会うため2階の薄暗い扉をめざす。


「そう簡単に会ってくれるものなのかなぁ」

「……なんかオレ、連れのコに嫌われてる?」


 篠田君がすまなそうにささやく。


「気にしなくていいですよ、誰にでも当たりがキツイキャラなんで」


 ちょっと納得いかない感じだったけど、なんとか聞き入れてくれた。


「今はメアリスを気にするより冒険者適正試験をがんばりましょう! 楽しみだなぁ」

「そうだね。オレも自分の実力がこの世界でどれくらい通用するのか知りたい」


 短く小さなため息をついた篠田君は、軽く頭を振って気持ちを切り替えたようだ。

 三十分ほどしてメアリスが戻ってきた。こころなしか満足そうな笑顔でなにより。


「機嫌が良さそうだけど、何を話し込んでいたの?」

「今後についてかしらね。よい取引ができたわ」


 なにか企んでいそうな顔だったので詳しく聞こうとしたが、タイミング悪く適正試験開始となってしまう。


「まずは魔法試験から始めます。属性は不問ですので、あそこの的に攻撃魔法を当ててください」


 いかにも魔法使いという風体の試験官が杖をかざす。その向けた先に目を移すと、2〜30m前方に鳥よけみたいな丸い的が数十個浮かんでいた。


「ねぇメアリス。今更だけど、魔法ってどうやって発動させるの?」


 待ち時間に頭の中でイメージしたり、それっぽいポーズや名称を唱えてみたが、うんともすんとも言わない。


「大丈夫。大丈夫。その時がきたら私が力を貸すから」

「えっ! それって、あの時代錯誤な恥ずかしい格好になるってコト!?」


 設定厨にありがちなカッコイイ雰囲気の『その時』でなく、正当な意味での、試験中を指す『その時』ってことなのだろう。


「私の真の姿を恥ずかしいとは失礼ね」

「メアリスは恥ずかしくないの?」

「恥ずかしいわよ」


 彼女の美的センスがぶっ壊れてなくてよかった。


「こんな試験程度のことなら真の姿になる必要ないから心配無用よ。始まったら直接頭の中に指示してあげるから」

「直接頭の中って……」


 メアリスが数メートル離れ、


《こーゆーこと》

「うわっ、なになに?」

《ナオが大好きなバイノーラル音声作品みたいでしょ》


 戻ってきた彼女がドヤ顔でボクを見つめる。


「今のは力をセーブしてナオと繋がった状態なの。軽い魔法や体術ならコレで十分ね」


 一抹の不安は残るが、今はメアリスを信じるしかない。

 幸いボクの順番は最後から3番目で、他の人の技量を見学できたのは右も左も分からない自分にとって大きかった。

 ちなみにボクのあとが篠田君、最後がメアリスの順番だ。


「緊張せず、気楽にねナオちゃん」

「私の指示通りにすれば楽勝よ」


 篠田君とメアリスの応援を背に、セット位置に立つ。狙う的までは学校プールの端から端くらいの距離だろうか。

 試験を受けた人達は地水火風の攻撃魔法で辛うじて的に当てていたケド……


「それではナイトウ・ナオさん、始めてください」

《メアリス、へールプ!》


 指示をもらおうと心の中でメアリスを呼ぶ。



次回更新は6/26前後の予定です。

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