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刃渡り15センチの青  作者: 河合
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第8章

 僕には人生において、幸と不幸の比率は等しいという持論がある。だから登校時に家に引き返すかどうか絶妙なタイミングで雨が降ってきてずぶ濡れになった僕には、今日何かしらの幸福が訪れるに違いない、と上靴を下駄箱に入れながら自身を宥めていた。

「うっわ! びしょびしょじゃん!」

 気持ち程度に雨粒を払っていると、力が入った感嘆符が背後から聞こえた。水滴が作る波紋みたいな声だった。聞き覚えは無いと言えば嘘になる。

 しかしここで僕に声を掛けてきた、と早とちって振り返るなんて危険は犯さない。まず、辺りには僕と同じ不幸に見舞われた生徒が多数確認できるし、さらに雨の影響で少し混み合った下駄箱では挨拶が飛び交っていて、発信源は曖昧なものになっていた。もっと言うと、僕には登下校時に挨拶を交わす友人なんか居ない。証明終了だ。

 一刻も早くこの気分が悪くなる人混みから抜け出すことに決め、カバンに入れた文庫本を憂いながら上靴を履き、教室へ向かうことにした。

「む・し・す・ん・な!」

 丁度「な」のところで背中に強い衝撃を受けた。

 バランスを崩したが転倒しなかった自分を賞賛してから振り返ると、僕よりよろめいている彼女がいた。なるほど、僕は飛び蹴りを食らったのかと冷静に状況を把握する。片手に上靴を持っているのは流石に靴で蹴るのはマズいという彼女なりの優しさだろう。間違いなく履き違えてるけど。上靴だけに。

「朝から元気だね。僕はプロレスごっこの相手にはなれないよ。それじゃあ」

「何がそれじゃあよ! どうせ一緒の方向じゃん!」

 僕はこの場から離れようと身を翻したが、彼女に右肩を掴まれてしまった。見ると二つのつむじが目に入る。上靴を履くための支えにされているようだ。

 僕よりほんの少し背の低い彼女からは、シャンプーと雨の混ざった匂いがした。

 「よし」と上靴を履き終えた彼女が顔を上げる。透き通った双眸が視界に入った。つまり、目が合った。

 僕は視線を逸らしながら右肩に乗った彼女の左手をそっと退かす。血が通った冷たさを感じた。

「……僕と一緒に教室に入るのは良くないでしょ? 無視は故意じゃないけど謝るよ」

「え? なんで君と教室に入るのが良くないの?」

 まだ視野に残る彼女の頭上には疑問符が生成されていた。

 僕は言葉に詰まる。返答を質問で返されたからでも、不規則な会話の流れに乗り遅れたからでもない。ただ、彼女の問いに対して思いつく返答には全て穴があり、質問を重ねられればいつか論破されると見て取れたからだ。

「僕と関わりがあることを周りに知られるのは君にとって悪影響だからね」

 言い終わった後に思う。やはり欠陥だらけの妄言だと。

「……あっそ」

 周りに視線を配っていると彼女が僕から離れていった。僕の思いやりに気がついたなら賢明な判断だ。


 僕は一度トイレに向かって教室に入った。引き戸を開くと室内の時間は一瞬止まる。それから自身に関係のある人間か即座に判別し、挨拶を交わすべきか否かを決める。僕はもちろん否だ。

 彼らには素直に感心する。僕にはできない。敏感に生きることは僕にとってストレスだ。

 教室の時間が戻るのを視認し、窓際、後ろから三番目の席に向かう。僕の特等席だ。

「あ、佐野くん。おっはよー。この間のカレー、美味しかったね!」 

 再び室内の時間が止まるのが分かった。判断材料は聴覚。クラスメイトの生産性のない会話が断線された。

 そっと、声の主に視線をやる。そこにはいつもの倍以上に鼻につく表情の彼女がいた。

 想定外の事態に戸惑う僕を見たかったのだろう。唯一この状況を楽しんでやがる。彼女の策略通りに僕はかなり戸惑った。

 無視して席に着くのも挨拶を返すのも今後の平穏な高校生活は脅かされるだろう。仕方なしにリスクが低い方を選ぶ。

「おはよう。ええっと……」

 僕が持つ最適解である挨拶は返すが名前を思い出せないという雰囲気を作り出し、何かの間違いであることをクラスメイトに知らしめていると、教室前方のドアから気だるそうな挨拶とともに担任の教師が顔を出した。

 それが引き金となり室内は突如騒めき始めたが、担任の一喝に制されホームルームが始まった。

 朝礼後、いつも通り文庫本を開こうとすると右隣から声をかけられた。授業の作業等以外では話したことがない隣の彼女は「ねぇねぇ、二人って仲良いの? もしかして、付き合ってる?」と破滅的かつ短絡的な疑問を投げかけてきた。かなり癇に障ったが、優しく否定しておいた。

 それからも他のクラスメイトたちが僕の席を囲い、質問を投げつけて来た。飛んでくる質問は大体先ほどのものとほぼ同類だ。

 結局、僕は朝の貴重な読書タイムを弁解に浪費することになった。

 全く、一言挨拶を交わしただけで交際まで疑われるなんてどれほど思考回路がお花畑か想像もつかない。人間関係の面倒さに吐き気まで感じた。

 彼女に視線をやると自身も必死に弁解をしている様子だった。

 その側にいる、彼女とよく行動を共にしている男子たちからは鋭い視線を向けられていた。

 

 昼休みに入ると僕のクラスは食堂で過ごす生徒が多く、教室は極端に静かになる。彼女も教室から姿を消しているようだった。

 授業間の休憩はほとんど弁解に充てたため、食欲より読書欲が勝っていた僕は、早速文庫本を開いた。詩家の男性が古民家に下宿する話だ。

「さーのーくんっ。ちょっとトイレ行かない?」

 数ページ。僕の意識が完全に没入する前に名前を呼ばれた。見るといつも彼女と行動を共にしている男子生徒二人がいた。明らかに派手な雰囲気をしている。表情は読めない。

「申し訳ないけど尿意はないんだ。二人で行ってきなよ」

「いいから来いよ」

 僕が丁重にお断りを入れると、乱雑に手元の本を奪われた。ただでさえ慣れないことをして疲れている僕を思考停止にするには充分だった。それから僕は黙って二人に従った。僕は理不尽には逆らわない。

 トイレには誰も居らず、彼らは洗面台に腰をかけた。尿意があった訳ではないらしい。

「で、奈々とどんな関係なの」

 僕から見て右側に座る方の理不尽が口を開く。

 何が『で』なのだろう。中学生の頃に接続語を教わらなかったのだろうか。

「僕は彼女に脅されてるだけだよ。君たちが心配してるような間柄じゃない」

 僕はありのままを伝えた。本を返して貰い、早くいつもの生活に戻りたかった。

「心配する間柄? お前みたいな根暗との関係なんか心配してねぇよ」

「根暗なつもりはないんだけどね。じゃあ、何の用?」

「お前、ストーカーしてんだろ?」

「……は?」と発声するつもりのない声が漏れた。それくらいの心底くだらない妄言だった。もちろん事実無根だ。

「何か証拠でもあるの?」

 言うと、左側の理不尽が口を開いた。

「奈々がさっき言ってたんだよ。仕方なくお前の相手してやってるってな」

 彼女のことだ。きっとそういう風に言うのは想像がつく。

 しかし、そこからどうすれば僕がストーカーしてることになるのか、彼らの思考回路は欠落が過ぎる。

「それなら彼女に僕からストーカー被害に遭ってるか聞いてからにしてよ。もうその本はあげるから、僕は教室に戻るね」

 彼らが僕と同じ哺乳類であることを恥じるくらいに僕は呆れた。

 背を向けトイレから出ようとした時、後頭部に衝撃が走った。咄嗟に頭を押さえ、振り返ると同時に本が足元に落ちた。

 今、自分はどんな表情をしているだろう。

 自分の中にどんな感情が湧いているだろう。  

 熱を持つ『何か』が胃袋から食道までせせり上がってくるのを感じる。

 思考はかなり冷静で、状況を把握しているうちに感情が状態変化していくのが分かった。

 彼女がこんな人間と関わりあっていることが悲しくなった。哀れんでいる訳でもなく、ただ、悲しくなった。

 弱った捨て猫を抱きかかえるように落ちた本をそっと両手で拾う。

 優しく撫でるように誇りを払いながら、僕は彼らに顔を向けた。

「一つアドバイスだけど、彼女は本の扱いが雑な人は大嫌いみたいだよ。君たちとも無理して付き合ってあげてるんじゃない?」

 少し飽和して溢れた感情が、口から漏れてしまった。

 僕は彼らを意図的に傷つけた。一生人を傷つけることも、傷つけられることもないようにと願って生きてきた僕の理想は、僕の手によって崩壊した。やはり僕の感情はガラクタみたいだ。

 強い衝撃が顎に走った。どうやら傷つけられたようだ。

 本は大丈夫かな、この後授業に出られるかな、と様々な思考が通り過ぎていく。

 先日海で見た景色を最後に、僕の意識は感情の渦とともに消えてしまった。


 気がつくと、目の前にはトラバーチン模様の天井が広がり、視界の端にはクリーム色のクロススクリーンが視認できた。メントールの匂いがすることからも容易に状況が把握できる。僕は彼らのどちらかに殴られ気を失い、保健室に運ばれたのだろう。

 現在時刻を確認するため上体を起こそうとすると右顎に痛みが走り、脳が少し揺れた。

 殴られたであろう部位に触れると湿布の感触と通常より遠くで働く感覚神経に違和感があった。

 時刻は帰りのホームルームが丁度始まる頃。

 このまま何食わぬ顔で教室に戻るほど屈強な精神を持ち合わせている訳でもなく、かと言ってこの場に居座り続けるのも気がひけるので、僕は図書室へ向かうことにした。

 若い女性の養護教諭は、これ以上ないほどの心配した表情をしていたが、適当に一礼し、僕は保健室を出た。どこの誰の気まぐれか、僕の荷物は保健室に届けられていた。

 室内ではカーテンとエアコンの音で分からなかったが、廊下に出ると雨が地面を叩きつけているのが分かった。

 雨雲の影響で薄暗くなった廊下を進む。

 一階の保健室から四階の図書室まで、何も思考は働かなかった。

 図書室には誰も居らず、灯りも点いていなかった。僕は雨がもたらす閉塞感がたまらなく好きなので、絶好の読書環境と言える。

 室内は入ってすぐ左手にカウンターがあり、正面には椅子と長机が二列に並べられ、その脇や奥に本棚が壁に沿って配置されている。

 僕は、一番入口から遠い左奥の長机の端に座り、カバンを漁った。

 まだ湿気を帯びているそれの中に、明らかに僕の私物ではないピンクのタオルがあり、読みかけの文庫本が包まれていた。

 見知らぬ誰かの慈悲を感じ、冷えた指先が少し温度を上げる。柔らかく包んでくれていたそれを丁寧に畳む。

 雨が弱まったら帰ろう、そう決めて僕は栞を抜いた。


 僕は普段の集中力は人並みだが、雨音があるかつ読書をしている場合のそれは人並み外れたものになると自負している。

 そのため、二つ隣の席で寝ている彼女に気が付いたのは僕が文庫本を読み終えた後になるが、全く気が付かなかったため本当に驚いた。僕の集中力が凄いのか、彼女のステルス性能が優れているのかは分からない。

 弱まった雨音の合間に彼女の寝息が微かに聞こえる。彼女も電灯を点けなかったようで、室内は僕が入室した時よりも青い暗さで満たされていた。

 右ポケットを漁り、携帯を取り出す。バックライトが目に刺さり、顔をしかめると顎に痛みが走った。

 表示された時刻は十八時半。二時間ほどここで過ごしたことになる。

 携帯を畳んで机に置き、彼女に視線を送る。

「……ごめんね」

 雨音に負けそうな声が聞こえた。机に突っ伏す彼女は寝ていると踏んでいたので不意を突かれたが、特に驚きはしなかった。

「この前のパフェのこと? 今度は君が残してもいいように、僕もスモールを頼むつもりだから気にしなくていいよ。それとも突然朝呼び出したこと……」

「……顔、痛かったね。ごめんね」

 震えた声で僕の言葉は遮られた。やっぱりソーダ水みたいだと思った。

 彼女の謝罪は全くの見当違いだ。僕は彼らを意図的に傷つけ、その見返りを受けた。この一連の流れに彼女は介入していない。

 だから涙を浮かべてこちらを見られても困る。本当に。

「僕はきっと彼らを同じくらい傷つけたからお互い様なんだ。だから彼らとは友達のままでいてあげてよ」

 僕は自分の感情がもう溢れないよう意識を張り巡らせる。きっと、もうすぐ僕らの関係も終わる。

 窓の外のホワイトノイズが強みを増す。

「……」

 彼女は無言のまま立ち上がり、僕の隣の席に移る。一つ開けていたのは読書の邪魔をしないようにという彼女なりの配慮だろう。

 潤みを帯びた大きな双眸が僕の視線と結ばれる。どうしていいか僕には分からない。

 彼女の左手が優しく、優しく僕の顔に伸びてきた。湿布の上からでは彼女の手の感触はほとんどない。

 自身を傷つけるよりも他人が傷つくことを怖がるなんてそんなの間違ってる。僕は、彼女に負けないくらい優しく彼女の左手首に触れた。

「……約束してよ」

 きっと僕の吐息が彼女に届くであろう距離で口火を切った。

「……約束?」

「……僕は二度と人を傷つけないし、自分も傷つけられない。だから君も自分を傷つけるのはやめにしようって約束。どうかな?」

 言い終わった途端に暴風雨が窓を殴る。天井からも雨の衝撃を感じる。

 まるでこの青くて暗い世界に二人だけが取り残されたような、そんな気さえした。

 彼女が静かなせいか僕の全身が雨音と共鳴している感覚になる。

「……分かった」

 一滴の雨音が落ちるように、声が届く。

 彼女は瞼を拭い、もう一度僕の瞳と視線を繋ぐ。

「……一つ、お願いを言ってもいい?」

「うん」

 彼女が断りを入れることなんて今までなかった。前置きがあるだけ優しい。

「もし、私の逃げ道がなくなったとき、君を逃げ道にしても、いいかな?」

「具体的には?」

 彼女の表情が少しだけ和らいだ。

「……辛い時に呼び出すから付き合ってってこと! 小説家ならそれくらい読み取れ!」

 彼女は僕の手を払い椅子に座りなおす。なんだかいつもの彼女だと感じ、僕は胸を撫で下ろした。

「……仕方ないな」

 僕じゃなくても他にたくさん友達がいるだろという野暮な返答はしなかった。いや、したくなかった。

 僕は脅迫とは別の優しい約束で、また彼女に縛られることになった。

 なんだか、悪い気はしなかった。

 

「それにしてもなんで図書室に来たの?」

「あー、それは保健室の先生に聞いたらここだって教えてくれて」

「謝るために何時間も待ってたの?」

 彼女は頬の横の髪を指先でつまんだ。僕は見たことがない動作だった。

「それももちろんあるんだけど、傘、ないんでしょ?」

「うん。天気予報より自分の経験則を信じた朝の僕に説教したいよ」

「まだ、土砂降りだけど」

「たまにはずぶ濡れになるのも悪くないかもしれない」

「それで風邪を引かれたら、私には少し罪悪感が芽生えちゃうよ」

「そうなの? そんなに繊細な人間には見えないけどな」

「女の子は誰だって繊細なんだよ」

「女性経験に疎い僕には貴重な意見だよ、ありがとう」

「人間経験に疎いの間違いでしょ?」

「異論はないな。話を戻すけど、それで、結局君は何が言いたいの?」

 彼女らしくない、正確には僕が知る限りの彼女らしくない、返答の仕方に違和を感じる。

 彼女はもっと、メジャーリーガーのストレートボールのように会話を進める。

 今はなんだか、覚えたての変化球を無理やり投げているようだ。

「……だから、傘ないんでしょ?」

 少しの沈黙の後、再び同じ質問が投げかけられた。僕は眉をひそめる。

「その質問にはさっき答えたよ」

 声色に少し苛立ちが混ざる。

 きっと、彼女が彼女らしくなくて、苛立っている。そして、彼女らしさを自分で定義しているエゴイスティックな自分にも腹が立ってしまう。

 また、少しの沈黙が僕らを雨で包み込む。

 視線を俯く彼女から窓の外に向ける。意識的に雨を感じると、雨脚は相変わらず暴力的なままだった。

 雨音に耳を傾けて、どれくらいが経っただろう、数秒だったかもしれないし、数分だったかもしれない。

 制服の裾に一滴の雨粒が落ちたような、優しい質量を感じた。  


「……傘、入っていきなよ」


 彼女のお言葉に素直に甘えた僕は登校時とは違い、左肩だけの被害で雨をやり過ごすことができた。風は随分弱まっていた。

 傘の中ではいつもの彼女が以前から話していた「星を見に行きたい」という話になり、僕は素直に了承し、その計画について話していた。

 別れ際にもう一度、怪我の具合を心配され、僕は心配無用であることと傘に入れてもらった感謝を告げて彼女の背中を見送った。

 もちろん祖母にも怪我を心配されたが、もう一生口にすることもないだろうと思い「喧嘩した」とだけ言っておいた。夕食は何不自由なく食べることができ、風呂に入って湿布を変えた。鏡に映る自分の輪郭が不恰好で彼女に見せてやりたいと思った。軽く指先で触れると、感覚が遠くにあり、誰かに触れられているように感じる。湿布を取り替えた後、冷蔵庫から冷えた麦茶のペットボトルを取り出し、グラスに注ぎ、一気に飲み干し自室に篭った。

 

 今日は、感情の軸がメトロノームの一番端から端まで大きく振れたような日だった。そのためか、書く文章が全て乱雑で感情に溢れている気がする。

 悪くないなと思う。僕に足りなかったものの一つを見つけたのかもしれない。

 それにしても僕でさえここまで揺れるものなら、青春を謳歌している最中の人間はどれくらい大きく、そして速く針が振れているか想像もつかない。

 文字を書いている途中で彼女と僕とではどれくらい違うのかという疑問が浮かんだが、再び強みを増した雨音に掻き消された。

 明日の夜は満天の星空になるに違いないと胸を反らせて豪語していた彼女を思い出す。僕はあまり信じていないけど、彼女の経験則らしい。

 天候の良し悪しを願うことは、自然の摂理に反しているようであまり好きではないが、先ほど彼女に救われた身だ。彼女のために、少しだけ祈っておくとしよう。

 僕はシャープペンシルを机に放って立ち上がり、カーテンを開ける。

 

 明日、晴れますように。

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