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こい願わくは  作者: 現実逃避マスター
5/6

3・だって、しょうがないじゃないの!

日が開きすぎちゃいましたぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"!!

 



「…やっぱり、おかしいぞ…?」




 なんて、陽は呆れたように、私にそう言ってきた。





 ぐっ…呆れてはいても一応は心配してくれているのが分かるから、心にグサッと刺さるわ…。







「だって…仕方ないじゃない…楽しくってつい…。少しくらい、はしゃいじゃったりしても…良いかな、って。」





 一つ言い訳するとね、たまにキレたくなっちゃうけど、それ以上にこのやり取りが楽しいから、つい…お嬢様ではない、素の私に戻ってしまうのよ…。



 …だからちょっと、甘えてみました…ごめんなさい。













 ーーーーーーなァんて、ね!!





 しょんぼりしながら言ったけど、内心超元気よ〜!!






 全力で滅茶苦茶しょんぼり落ち込んでしまったかの様に振る舞い、更には言い訳を可愛らしく言ってみせることによって、陽と奏斗へ精神的ダメージを与えられるんじゃないのかしら〜って、ふと思ったから勢いでやってみたの!






 だーって、いぃぃぃっっっつも、二人からボロクソ言われるのよーーッ?

 たまには、ちょっと位こんな風にしたって良くない?




 ダメージの一つや二つくらい、与えても良くない??


 てか駄目だとしても、二人にダメージ与えたいのよ、仕返ししたい訳なのよ。




 私のこの気持ち…きっと、二人も分かってくれるはず。


『あーまぁ、仕方ないな!』『…分からなくもない、です…』

 ってなる…はず!





 ふふん、流石にね?あれだけ言ったのだから、多少は意地悪してもねェ?大目に見てくれるでしょうよ。





 というか見てくれないと(グー)よ、(グー)







 ーー……さぁて、二人の反応は…!?












「「………………。」」








「いや何とか言ってよ!?」






 見事にダブルカウンターで、私の方に大ダメージね!?






 せめて笑って!?二人とも反応無しとか一番辛いヤツよ…!!






「あーうん…。そうだな、うん。ごめんなー美乃梨…もっと早く気付いてやれたら、こんなことにはならなかったろうに…なー。」





 真面目な顔して言わないでよ…!?本気で医者に診て貰おうかなーなんて考えなくて良いから…!!





「…一言で表すなら、…うわぁ…ですかね……。せめてもう少し…真面(まとも)なデレ、というものをしましょうよ…。…陽さんに。」






 …うわぁ、とか止めて!てか真面なデレ、って!!何ちゃっかり最後の方、陽にって言っちゃってるの!?恥ずかしさのあまりに死ねるわよコレ!!




 いや(あなが)ち間違いで無いんだけどね?陽に向けてもう少し優しくした方が良いかなって思ってたりもしたけどね??





(違うじゃない、それを本人に言っちゃアウトじゃない!あぁもう、陽になんて言われるのやらよ!!)










「いや…いやいや、いやいやいやいやいや!!あれデレか!?ってか何で俺にだよ!?」








(え、えぇーーーーーーーー………!!)










「いえ…美乃梨さんの気持ち的に、そうなのではないかと…。」







「……は、美乃梨の…気持ち?……………え…?いやいやそんな、ば、馬鹿な……嘘だろ……ま、まさか……え、本当に美乃梨は……そうか、そうだったのか…。」








「ようやく気付きましたか……ええ。そのまさか、ですよ。」







「そうか…美乃梨、そんなにも…俺のことが嫌いなんだなぁ……。」






「…………え、あの、何をどう考えたらそう「…あー美乃梨が怖っ…じゃなくて、提出しないといけないレポートがあるんだったー!ちょっと悪いけど、取りに部屋まで行ってくるぜっ!!」






「あっ…ちょっと待っ…………二人とも、話を聞かない所は本当にそっくりですよね…。」











「…ううっ…陽ったら酷いわ…。」





「……………やれやれ、ですよ…はぁ。」






 陽の、乙女に対して言わないであろうね?『あー怖っ…』って言葉が、これまた心の奥深くに刺さっちゃって、奏斗の言ったことは『いえ、美乃梨さんの〜』ってところまでしか聞いていなかった。





 …何を言ったのかしら。『性格的にあれはそこそこのデレでしたよ』的な感じ?






(私の方にも非があるとはいえ…。)






 …だって、『頭大丈夫か…?』とか『いやいやいや!』とか…。流石に、傷付いちゃうわよ…。

 好きな人にああまで言われちゃうとね…。







「…美乃梨さん…そこまで落ち込まなくても…。」







 ……だけど、私知ってるもの。たまにこうして辛辣でも、いつも優しくってお日様みたいな陽のことを、私はよく知っている。






 それに、普通に脳が大丈夫なのかーって意味の心配をしてくれているだけだものね。






 好きだからこんな陽でも良い、っていってる訳じゃないのよ?

 そんな陽だから、好きなのよ。






 …それに、もしどこか人として間違っていることをしたとしても、この拳で間違いを正せば良いし、ね?






 互いに、そうやって注意してより良い人間になっていける関係って、素敵だと思うのだけど。どうかしら?






 まぁ、普段は陽に注意されてばかりになりそうなんだけどね?そこは、ご愛嬌ということで。







(……それでも、どうしても、陽のことが好きなままなのよね、私。)








「…ほんと、馬鹿よね…私…。」











「…否定は、確かに出来ませんね…。」






「グフォッ!?…ゲホッ…ゴホッ……ッ、ぅえっなななっ、奏斗ォ!?」







 聞かれているとは思いもしなかった私は、それはもう盛大に()せた。




 …いたのね、奏斗。もう何処かにふらーっと行ったものだと思っていたわ…。ごめん奏斗…でも、でもね?






(毒舌、毒舌すぎない…!?)






 いや馬鹿なことを否定して欲しい訳じゃないけどさ、ストレートに『そうですね、あなたは馬鹿ですね』って、傷付くからね?






「堂々と『そんな彼だから、良い』なんて、教室の真ん中で詩人の様に(うた)いだすというのは、中々の傾奇者と言いますか……普通の人ではあまり見ないと言いますか…。」






 詩人や傾奇者を軽くdisってない…?







 …というか、ちょっと待って?私、いつも心の中でしかこんな風にしてないのだけど。えっ、『堂々と』って…えっ?





「…多分、陽さんくらいではないでしょうか…教室内で美乃梨さんが(うた)っていても聞こえていないのは…。」










 …ちょっと、待って?ん??









「あのー…それって……もしかして………。」






「…かなりの、頻度……でした。」








 …そりゃあ皆の見る目も生温かくなるわ。私もそうなると思う。





 だって、心の声ダダ漏れよ?しかもノリノリでなんかポエム作ってるのよ大衆の面前で。


 普通に考えても、やばい奴じゃない?



 もし中身が真面(まとも)だったとしても、近寄ったりはせずに遠くから見てるわね…。







 …あ、もしかして友だち少ないのって、心の声ダダ漏れだったせい?






 (何それ、泣いてもいい?)





「…明日からしばらく…学校、休んでいい?」







 …本当は、今すぐにでも部屋に戻って、叫びまくりたいわ。




 『ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"!!

 嫌ァ、えっ、恥ずーーーーーーーーーーッ!?はッッッッッずゥ!?というか恥ずかしいって次元じゃないわよコレぇ"ぇ"ぇ"ぇ"ぇ"ぇ"ぇ"ぇ"ぇ"ぇ"!?』




 …って。






「まぁまぁ…本人には聞こえていないだけまだ…ね…?」







 ううん、違うじゃん?

 例えさ、奏斗が申し訳なさそう(な感じに見える)にしていても、そうじゃないじゃん?そうではないじゃん??








「ね、では済まないと思うのだけどもォ…!?

 …あぁ、きっとみんな


『クスクス櫻さんったら、まーた何か仰っていますわ〜』

『しーっ、聞こえてしまいますわよ……クスクス』



 …みたいな感じに、嗤っていたはずなのだわぁぁぁ…!!」







 し、羞恥心がァ…ううっ…ツライわ…!!







「そ、そこまで言われてはなかったかと…。それに、美乃梨さんの詩……結構評判だったんですよ…?」





「嘘おっしゃぁい!!慰めになってないわよぉ"ぉ"ぉ"…!!」







 …ぁ"ぁ"ぁ"、嘘だぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"…!絶対痛かったってェ!!聞くに耐えないやつばかりだったってぇ"ぇ"ぇ"ぇ"ぇ"ぇ"ぇ"ぇ"…!!








(…ハッ、こうなったら…私の詩を聞いたことある人全員の記憶を飛ばすしかないのでは…?)





 我ながら天才的な発想じゃない?






「落ち着いて下さい美乃梨さん。非公認ポエム集が好評で、重版までされていますから……聞くに耐えないということはないかと。プロポエマーも夢ではないレベルだと思いますよ……。」







 プロポエマーも夢じゃないくらいに好評なポエム集って何ィ!?初耳よ!?





 …いや心の声ダダ漏れってのも今日初めて聞いたから、初耳なのは当然なんだけど!








 しかしまぁ、夢…夢ねぇ…






 (…私の夢は『陽のお嫁さんになる!』の一択だけだから、プロポエマーになるって道はないわね…)







 うーん…でも、もし私にポエマーの才能があるのなら…ちょっと勿体ないような、残念だなぁって気もしちゃうな…。

 副業の方で、もしくは趣味として〜ぐらいの感覚でしてみようかしら…?







 …違う、そうじゃないわ、えーっとえーっと、そうそう!何でポエム集があるの…!?







「…ちょっと、ポエム集作って売ったの誰なのよォ!?とんでもない勇者じゃない!?ってか最早、蛮勇極めてない(バカじゃない)!?」








 私のポエム集を作るだなんて、勇者か相当暇すぎてクレイジーになっちゃった人ぐらいじゃないかしらァ!?







「あぁ、偶然にも丁度ここに実物がありますが、見てみますか?」








 (はぁ!?何その偶然ンンンンンンン!?)







 奏斗のことだからお料理番組の如く、事前に用意とかしてそうなんだけどォ!?

『事前に用意しておいた、"偶然"です。』みたいなァ!!








「…おや、どうやらそこまで関心を持たれていないようですね。…でしたら、元の持ち主へ返却しておきましょう。」





「ちょっ、ちょっと待って!見ないとかそれ以前に、まだ何も言ってないわよ!!」








 改めて(まと)められているのを見るのは、恥ずかしいけれども…


 流石に、話を聞いた以上ちょびーーーーーっとぐらいは、その中身…気になるな〜とも思ったわよ…!?







 (一度も見ない・見たくないとか言ってないし、そんなこと思ってもないんだからね!)









 くっ…こういう時にこそ心を覗きなさいよねェ!?






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