大魔王軍敗退する。
大魔王は苛ついていた。
大魔王を討伐する為に神々が次々と送り込んで来る地球人の勇者に辟易して。
頭に来た大魔王は神々が勇者を送り込めなくする為に地球に逆侵攻する事を思いつき、実行する。
配下のドラゴン数千匹を集め地球に送り込んだのだ。
しかし大魔王はある間違いに気がついていなかった。
太平洋上空で定時パトロールを行っていた地球防衛軍航空隊の戦闘機に、司令部からの指示が届く。
「此方司令部。
ハワイの南西方向3000キロに、大量のコウモリのドデカイのが出現したのを偵察衛星が見つけた。
確認してくれ」
「コウモリのドデカイ奴って?」
「ああ、強いて言えば、首が1つのキングギ〇ラを小さくしたような奴だ」
「ふーん、良く分からんが急行する」
現場に急行した戦闘機パイロットの目に、時空の裂け目から次々と出現する全長30メートルから100メートル程のコウモリのような生物が映る。
コウモリのドデカイ奴等は戦闘機に気がつくと次々と火を吹いて攻撃してきた。
戦闘機のパイロットはその攻撃を素早くかわし、司令部に攻撃を受けた事を報告する。
「此方定時パトロール。
視認したコウモリのドデカイ奴等に攻撃された。
此れより反撃する」
「了解」
戦闘機はその両翼に吊るされている多数のミサイルをコウモリのドデカイ奴等に向けて 発射した。
ミサイルはコウモリの厚くて硬い鱗を易々と突き破り、身体の奥深くで炸裂して内臓をズタズタに引き裂く。
司令部から出された緊急出動命令により次々と現場に到着した各航空隊の戦闘機の群れも攻撃を開始。
殺戮が始まった。
コウモリは時空の裂け目から出現する端からミサイルで攻撃され殺されて行く。
数時間後、時空の裂け目は閉じコウモリのような生物は何処にもおらず、眼下に見える海面は真っ赤に染まり、突如現れた大量のご馳走に沢山の海洋生物が群がり宴を楽しんでいる。
最後に現場に駆けつけた戦闘機がその事を司令部に報告した。
大魔王はドラゴンを送り込む地球を間違えたのだ。
平行次元で横並びしている沢山の地球が存在する事を知らなかった大魔王は、神々が送り込んで来る地球人が住む地球から遥かに離れた地球にドラゴンを送り込んでしまった。
その地球は体長が300メートル以上はあるゴ〇ラ等の怪獣が世界各地に現れる世界。
各国政府はそれらの怪獣に対抗するため団結、20世紀の終わりには地球統一政府が結成され、日夜、怪獣を倒す兵器の開発が行われていたのであった。