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用心深い転生魔王は石橋を七回叩く ~ダンジョンが鉄壁の守りすぎて勇者が無理ゲーと叫ぶ~  作者: 藤谷ある
1・初級ダンジョン編

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39話 俺のゴーレム強すぎ問題

※前回までのあらすじ


 ゴーレムの演技で勇者がどうやって退散したかが分かった!

 俺はその場で呆然と立ち尽くしていた。

 ゴーレムの強さが予想を遙かに超えるものだったからだ。



 演技力も半端ないレベル……。



 アイル達も俺が作るゴーレムは普通とは違うと認識しながらも、まさかここまでとは思ってもみなかったようで、皆虚空を見詰めたまま棒立ち状態だった。



 だが、そのうちに、



 パチ……パチ……。



 チラホラと拍手が上がり、それが伝播するように辺りへ広がってゆく。

 まるでそれは名作演劇でも見終わった後のスタンディングオベーションのようだ。



 これはゴーレムの防御力に対してだよね?



 そんな状態でも、皆なんとなく気が抜けたようなのは、あまりの事に現実味を感じられないからだろう。



 何しろ、勇者の必殺技的なものを食らって何ともないどころか、弾き返したのだから。



 しかしまあ……驚いたは驚いたけど、強くて悪いことなんて何にもない。

 寧ろ、「やったー」と喜ぶべきだろう。



 そんな訳でこの防御力の高さを生かさない手はない。



「今見てもらった通り、ゴーレムは勇者の攻撃に対してかなり有効だってことが分かった。だからもう少し増産して防衛を強化しようと思うんだけど、どうかな?」



 尋ねると、一番先に我に返ったのはアイルだった。



「い……いいですね! もちろん賛同致します。あと二、三体あれば勇者は絶望の淵に立たされること請け合いです」



「二、三体ねえ……そんなんじゃ足りないと思うんだよね」

「え……」



「いやね、折角ここまで高い防御力を持ってるんだから、防護壁の代わりにならないかなーなんて思ってさ」

「そ、それはどういう……?」



 彼女は俺の考えていることがまだ分かっていないようで、釈然としない表情をしていた。



「どうせなら千体くらい作って、死霊の森を取り囲む壁のようにしたらいいんじゃないかなあって」

「せ、せせせ、千体!?」



「でも……その数じゃ森の外周を埋めるには足りないか。あの森って結構広そうだし、一万体作ってもまだ隙間が出来そうだもんな」

「い、いい……いちまん…………はふぅ」



 なぜだかアイルは卒倒しそうになっていた。

 おいおい、大丈夫か?



「ダンジョンの採掘作業で土と石だけは捨てるほど貯まってるから、一万くらいは余裕で作れそうなんだけど、二万となるとまだちょっと厳しいかな」



 俺はコンソールを開いて、素材の在庫を確認しながら言った。



「あの……魔王様」



 そこでキャスパーが遠慮がちに口を開く。



「ん? どうしたの?」

「お言葉ですが……あれだけのお力を持つゴーレムです。千体増産するだけでも充分、勇者に対抗し得ると思いますが」



「そうかな? それじゃ安心は出来ないと思うけど?」

「申し訳ありません。私めには魔王様のお考えに思考が及びません。宜しければ、その理由をお聞かせ願えませんでしょうか」



 別にそんな難しいことは考えてないんだけどな……。

 ただ、用心に用心を重ねたいってだけで。



「ゴーレムの防御力が高いことは分かったけど、攻撃力に関しては調べてないんだよねー」

「そういえば……」



 キャスパーは珍しくハッとした表情を見せる。



「実際、勇者に対して攻撃らしい攻撃はしてないし、他にそれっぽいことをしてたのはキャスパーの物真似で演舞をしてたことくらい。でも、あの演舞を見た限りでは、キャスパーには遠く及ばないと思うんだよね」

「恐れ入ります」



「採掘の際に土壁を壊すくらいの剛腕だってことは分かってるけど、それだけじゃ少なくとも勇者に対抗出来るとは思えないかな……」

「確かに……?」



「それに防御力が高いのは魔紅石を使うゴーレムリーダーだけってことも有り得る」

「なるほど、その可能性も無きにしも非ず……ですか」



 ちなみに魔紅石の在庫は残り221個。



 火山に行ってまた採ってくればいいんだろうけど、あの時一緒にいたイリスの感じからして、そんなにたくさん採れるようなものでもなさそうだし。



 それに他にも魔紅石を使うレシピがいくつかあるので大事に使いたいところ。



「なのであんまり攻撃に期待出来ない。となると、防護壁として使うのが一番有効だと思うんだ」

「それならば普通の石壁を作った方が宜しいのでは?」



「それはどうかな」

「と、言いますと?」



「石壁だと地面を掘ってトンネルを作られたらお仕舞いじゃない」

「な……」



 キャスパーは絶句した。



「ゴーレムだったら目の前で穴掘り出したり出来ないでしょ」

「それはそうですが……」



「問題は森の外周を埋めるほどの量を今の所は作れないってこと。近い将来、可能になるとは思うけど。という訳で、とりあえず一万体だけ作って配置してみようと思う。普通のゴーレムだって、それなりの防御力があると思うし、居るだけでも威圧感があるからね」

「はっ……仰せのままに」



 キャスパーはやや圧倒された感じで一礼した。



 さて、それだけのゴーレムを等間隔に配置すれば、今回やってきた勇者に対しての威嚇にはなるかな。



 またやって来たとしても、一度、自分の攻撃が効かなかったという経験があるから、ゴーレムを目にしたところで、そう簡単に踏み込もうとはしないだろう。



 但し、賢明な人間ならゴーレムに対する何らかの対処方法を得て戻って来ると思う。



 それに備えたいと思っている所だが、こちらはまだ準備中で、ダンジョンや城の周りも手薄。



 手薄と言えば、あれを忘れちゃいけない。



 シャルと一緒に外で食材探しをしていた時、採った食材を食べる為に火を起こそうとしてスキルを放った。



 あの時、力の加減を誤って、森の木々を一直線に焼き尽くしてしまった。



 あれは恐らく森の外まで行っちゃってるだろうな……。



 ということは、森の外から城の袂まで、すごく歩きやすい道を作ってしまったのと変わらない。

 魔物が徘徊する森をわざわざ抜ける必要が無いんだから。



 防護壁とかいう以前の問題だ。



 見つかって、そこから侵入されるに決まってる。

 一先ず、それを何とかしないと……。



 作ったゴーレムをその辺を中心に守らせる?

 いや、それだと、あからさまに何かを守っているようでバレバレだな。



 ん……? バレてもいいか。



 逆にその道を利用するというのはどうだろう。

 そこ以外の防御を固めて、勇者をその道に誘い込むように仕向ける。



 露骨に罠っぽいけど、足場の悪い森を進むのにもリスクはある。

 共にリスクがあるなら、心理的に視界の良い方を選択するだろう。



 こっちはその細い道に対抗策を集中させることが出来るので、少ない材料や人員で対処することが可能だし、監視もし易い。



 うん、試しにそれで行ってみようか。



 もし失敗したとしても……いざとなったら、()()()()もあるし。



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