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224話 えっ、この勇者弱すぎ……。

※前回までのあらすじ


 ゼンロウの勇者が二人とも弱かった!



「やはり口先だけだったな」



 モルガスは倒れているカルラにそう言った。

 すると彼女は、急に大きな声を上げる。



「しまったー! 分身しすぎたでござるっ!」



 ――なに? どうした?



 モニター越しの俺も困惑である。



「この技は分身すればするほど能力が半分になってしまうでござるよ」



 ――めちゃめちゃネタバレみたいな事を自分から喋っちゃってるよ! この人。



 で、分身すると力が半減だって?

 ってことは、さっきの場合、一人当たり四千九十六分の一の能力しかない分身ってこと?



 それは一振りでやられもするわ!



「調子に乗りすぎたーっ! 六人くらいにしておけば良かったでござるぅ」



 ――そういう問題でもないと思うけどね!

 六人でも多分、結果は同じだったんじゃないかな。



「この程度で勇者とは、勇者の質も落ちたものだ」



 モルガスは嘆いていた。

 そして、とどめを刺さんと動き出す。



「残念だが、次の攻撃で終わりにさせてもらう」



 戦斧を肩に担ぎ上げると、カルラに向かってゆっくりと歩み始める。



 これに彼女は反応して、すっくと立ち上がり、素早い動きでユウキの傍まで下がった。



「足掻いても逃れられはしないぞ?」



 モルガスが言うと、カルラの口元が僅かに緩んだ。

 そして、唐突に腕を振り上げる。



 その手の中には丸い玉のようなものがあった。



 ――あれは、もしかして……忍者だし、あれじゃないか?



 俺がそう感じた直後、思っていた通りのことが起こった。



 カルラはその玉を足下に投げつけたのだ。

 途端、玉が破裂して、大量の煙が舞い上がった。



「ぬ……煙幕か!?」



 モルガスは彼らを見失ったようだ。

 メダマンによる上空からの映像でもかなりの範囲に煙が舞い上がっているのが分かる。



 さすがにこれほどの煙幕になると、モルガスも容易に相手を見つけられないようだ。



 そんな最中、煙の中から飛び出した二つの影を発見した。

 ユウキとカルラだ。



 彼らはモルガスとは反対方向に全力で走っていた。



 俺は彼らに合わせてメダマンを飛ばす。

 すると、二人の会話が聞こえてくる。



「あれはヤバいでござるよ! 無理、無理!」

「ええ、今はとにかく逃げましょう! 全力で!」



 ――逃げるんかーい!



 俺達の前で見せたあの威勢はどこへやら。



 ともかく、彼らの逃げ足だけはモルガスに勝っていた。



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