表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
227/239

220話 ラウラVSリリア

※前回までのあらすじ


 シャルVSアイルはアイルが勝利した!



 四回戦目はラウラVSリリアの組み合わせだ。



 既に彼女達は舞台の上に上がっていて、相手が動くのを見計らっている様子だった。



 この対戦は俺もちょっと楽しみ。

 なんでかって言うと、元勇者同士の戦いだからだ。



 一体、どんな戦いが繰り広げられるのか?

 楽しみに待っていると、二人はほぼ同時に動いた。



「!?」



 刹那、二人の姿が消え失せたのだ。

 俺達、観戦者の視界に彼女達の姿は無い。



 ――そういえば、彼女達のスキルはそんな系統のやつだったもんな。



 ラウラは影の中に潜み、ターゲットを狙うスキル、潜影(ラーク)



 リリアは気配を消し、姿を認識させないスキル、隠密(ステルス)と、罠など隠れたものを発見するスキル、感知(パーセプション)の二つを持っている。



 そんな二人が対戦すると、まるで化かし合いみたいな戦いになる。



 ――さーて……ここからどう出る?



 俺は両者の動きを固唾を呑んで見守っていた。



 だが――、



 ――数分後。

 二人とも全く動く様子が無かった!



 ――えっと……これって、ずっとこのままなわけ?



 身を隠す系のスキル持ち同士が戦うと、動いた方が負け! みたいな雰囲気になってしまって、なんにも始まらなかった!



 このままじゃ、ずっと勝負つかないじゃん!

 っていうか、二人ともどこにいるのか分かんないんだけど!



 でも俺は魔王。

 自分の配下登録してる者の場所くらい分かるんじゃないのかな?



 そこで俺は配下リストを開いてみた。

 ラウラとリリアの名前の所をタップしてみると、色が変わってオンオフみたいな感じで切り替わるのが分かる。



 その動きに合わせるように、隠れていた二人の姿が幽霊のように浮かび上がった。



「お、やっぱ出来た」



 とは言っても、これが見えているのは俺だけ。



 彼女達は真剣な眼差しで互いの出方を窺っているのが分かる。



 ラウラは燭台が映し出すパープーの巨大な影の中に潜んでいた。

 舞台の半分くらいを占めているその影の中に、まるで水中に潜ってる人みたいになっていて、大鎌を構えながら相手の気配を探っている。



 一方、リリアはというと彼女は体全体が消えているので、相手に見つかる心配がない。

 しかし油断は禁物。ラウラの居場所を探るように舞台の上を慎重に歩き回っていた。



 勝負が付かない理由が目に見えて分かったのだが――、



 リリアにはラウラには無い有利な能力がある。

 それは感知(パーセプション)だ。



 恐らく彼女はそのスキルを利用して、影に潜むラウラを捉えようとしているっぽい。



 弓矢を床に向け、まるでモグラ叩きのモグラが、どこから出てくるのか狙っているような感じだ。



 そこでリリアは気配を微かに捉えたのか、動きが変わった。

 目標目掛けて真っ直ぐに、且つ忍び足で進み始める。



 ジリジリと二人の距離が縮まる。



 これにラウラはヤバい雰囲気を悟ったのか、そろりと影の中を後退し始めた。



 リリアが少しずつ前に進む度に、ラウラが同じだけ下がる。

 それの繰り返し。



 このままそれが続くのかと思われたその時だった。



 リリアの足がピタリと止まったのだ。



 ――ん? どうしたんだ?



 そう思った直後、リリアが手を挙げて宣言する。



「えーと多分、私が勝ったっぽいですよ?」

「へ?」



 影の中から気の抜けた声がした。

 ラウラの声だ。



 するとリリアがこう付け加える。



「舞台から出ちゃってますよね?」

「……」



 そう言われると、段になっている舞台外の床から、ラウラが顔を半分だけ覗かせ、周囲をキョロキョロと見回した。



 パープーの影があまりに巨大で自由に動き回っていたら舞台外に出てしまった感じだ。



 これに気付いたラウラは青ざめた顔を見せた。



「あわわわ……妾としたことが……いつの間に出てしまったのじゃ?」



 その姿を見たリリアは自信ありげに笑う。



「ふふっ、勝負ありですね?」

「……」



 決勝まで残ると思われていたラウラが、意外にもここで敗れてしまっていた。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ