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216話 トーナメント

※前回までのあらすじ


 側室序列決定戦が始まった!


 というわけで、唐突に始まった側室序列決定戦。



 これに参加表明をした者達は以下。



 現四天王であるプゥルゥ、イリス、シャル、キャスパー。



 って、なんでキャスパー混ざってんの!?

 まあ、それはさておき……。



 他にはリリア、パールゥ、ライトニング、ラウラ。

 これに現参謀であるアイルを加えた総勢九名が名乗りを上げた。



「模擬戦をするのはいいとして、実際にどうやって決めるつもりなんだ?」



 俺は言い出しっぺであるラウラに尋ねた。



「それはやはり、勝ち抜き戦じゃろうな」

「ほう、トーナメント戦か。それは実力が目に見えて分かり易いな」

「じゃろう?」

「じゃ、それで」



 あっさりと対戦方式は決まったけど、この人数だと一人余ってしまうな。



「ということは……誰か一人、免除(シード)枠に入ってもらわないとか」



「「「「「「「!!」」」」」」」



 その時、皆の目の色が変わった気がした。



「ふふふ……それでしたら現状でトップの地位にいる私が、その枠に入るのが妥当かと思います」



 そう言ってきたのはアイルだ。



「せっかく名乗りを上げて下さった勇気ある者達を一回戦目から蹴散らしてしまうのは申し訳無いですから」

「あーアイル、ずるーい」



 シャルが膨れっ面で横槍を入れる。



「ず、ずるじゃないわよ! これは皆の為を思って……」

「皆の為っていうのなら、その枠は私でもいいんじゃない?」

「はあ!?」



「待って下さい」



 そんなふうにアイルとシャルがやり合っていると、リリアが口を挟んでくる。



「仮にも参謀と四天王たる者がそんなことで言い争うなんて、格好悪いですよ。それに免除枠で揉めるなんてセコいです。そんなセコい役回りは、やはり幹部ではない私が引き受けて、その汚名を被るというのが一番の解決法かと思いますよ?」



「は!? 何、もっともらしいこと言って奪おうとしてんのよ」

「リリアもずるーい」



 そこで、さっきから俺の肩に乗っていたライトニングが口を開く。



「やはり、こういうのは体の小さい者から優先して……」

「「「却下!」」」

「あうっ!?」



 彼女達三人にどやされて口を噤んでしまう。

 しかも、しゃべった事でキャスパーの注目を誘ってしまい……。



「しゃぁぁーっ!」

「ひぃぃぃっ!?」



 猫と鼠のじゃれ合いが始まっていた。



 そんな中、彼女達の様子を冷ややかに見守っていたイリスが溜息を吐く。



「ふぅ……」



 そこには醜い争いには混ざりませんよ的な雰囲気が漂っている。

 ある意味、彼女が一番冷静なのかもしれない。



 と、思ったら……。

 なんだか足下が覚束ない様子。

 どうしたんだろ?



「ど、どどどうしよ……。今? 今が言うタイミング? でも、やっぱり……」

「……」



 ただ単に、争いに参入するタイミングを失ってただけだった!



「みんな、あらそうひつようはないよ!」



 揉め事の最中、可愛らしい声が上がった。

 プゥルゥだ。



「そのワクじたい、いらないから」



「「「「「「「??」」」」」」」



 意味不明なことを言い出したプゥルゥに皆が注目する。



「いらないって、どういうことよ?」



 アイルが問い詰める。

 するとプゥルゥは、



「それはね……おーい、パールゥ!」

「はーい」



 ズシン



「!?」



 地響きを起こしながら巨体が跳ねて近付いて来る。

 そしてプゥルゥの真後ろで止まった。



 彼女の体がぷるぷるっと震える。

 それはまるで悪戯っぽく笑ったようにも見える。



「こういうコトだよ」



 言うとプゥルゥはパールゥの体に向かって飛び込んだ。

 すると、水面に落ちた水滴のように――、



 ぴちょん



 と音を立て、一体化してしまった。



「ね? これでもんだいないでしょ?」

「……」



 そんなのアリ?

 確かに一人減ったけどさ……。



 皆は呆然と立ち尽くしていたが、そのうちに我に返って、



「ええー……」



 と、なんとも言えない声を漏らした。




          ◇




 俺達が魔王城で、まったりとトーナメント戦を始めようとしていた頃、



 ここより遙か北の地で、神聖レジニア皇国の勇者が動き出そうとしていた。




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