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195話 凱旋帰還

※前回までのあらすじ


 レオを亜空間に葬り去った!


「ご苦労だったね。アイル」



 俺は画面上に映る彼女に向かって述べた。



「いえ、そんな! 魔王様のお考え通りに出来たのかどうか……」

「勇者をダンジョンに侵入させないことが目的だからね。それが達成出来ているんだから充分過ぎる結果だよ」


「あ、ありがとうございます」



 アイルは謙遜しながら頭を垂れた。



 それにしても……勇者を蹴っていた時のアイル……だいぶ気分が高揚していた感じだったなあ……。

 やっぱり相手が勇者だとサディスティックな部分が刺激されてしまうんだろうな。



 俺は別の画面に映っているスケルトンに目を向ける。



 今回の作戦が成功したのも彼女の恩恵が大きい。

 あとで労う必要があるだろう。



「回復さんもご苦労。休憩してね」

「カタカタッ」



 彼女は顎の骨を鳴らして喜びを表現していた。



 アイルのアフレコが無くなると、ちょっと味気ない感じになるよね。

 それにしても肉体のある状態がある程度持ってくれて良かったー。



 レオも最後の最後で驚いただろうな。



 と、二人に対してはひとまずそれで良しとしてだ……。

 一応、事後処理というか、現場を確認しておいた方がいいだろうな。



 そんな訳でモニター上に落とし穴の底に設置してあるトイレを映し出す。



 画角は回復さんの視覚を借りてるので真上からの状態。

 そこからはトイレの排水口が良く見える。



 相変わらず、穴の奥には暗黒が漂っているだけで辺りは静寂に満ちていた。



 やはり完全に吸い込まれたみたいだ。

 穴の中から這い出してくる……なんてことがあったら怖いからね。

 念の為、そのトイレは城床ブロックで埋めておこう。



 後は廊下の方だな。



 俺はカメラ映像を広間に面している廊下へと切り替える。

 そっちは兵士達が向かったトイレの方だ。



 画面には通路上に等間隔に並んだ扉が映し出されている。

 そこに人影は無かった。



 トイレ内設置のカメラからも様子が窺えたが……複数あるトイレのどこにも兵士達の姿は無かった。



 恐らく、全員吸い込まれてしまったと思われる。



 大丈夫そうだ。

 しかし、これらのトイレは作戦の為に設置したものだから、こんなに沢山はいらない。

 こっちも埋めておこう。



 さて、これで今回の勇者は全て倒したはずだが……。

 ちょっと気になることがある。



 これはモニター上から映像と声を拾っていたから分かったことなんだけど……。

 レオが魔王ゴーレムを倒した際、魔王の心臓を探していたことだ。



 奴らの目的が他の国々のように魔王城下の資源ではなくて、俺の心臓であるっぽいって事が分かったけど……。

 それが神聖レジニア皇国の意志でもあるんだろうか?



 何にせよ、命が狙われていることには変わりはない。

 尚一層、用心しなければならないな。



 レジニアについてはそうだけど……。

 リゼルに関しては、ひとまず安心していいのかな?



 森の外で待機していたリゼル王も瞬足くんの正体に薄々気付いて撤退したようだし、あの様子だと再び侵攻を強める可能性は低いだろう。



 他にもこの地を狙っている国はあるらしいから、気は抜けないけどね。



「ともかくは一旦、城に戻るか」

「凱旋帰還ですねっ」



 側にいたリリアが嬉しそうに言ってくる。



「まあ、そういうことになるのかな?」



 レオ達は俺が火山の山頂でモニタリングしてただけで、実際には魔王城に居ないだなんて夢にも思わなかっただろうな。



「じゃあ下山しましょうか」

「そうだね」



 その一言を呟いた途端、山頂に突風が吹き抜けた。



「わわわ……」



 風の勢いでリリアは少しだけバランスを崩す。

 そして、その突風を起こした張本人が俺達の目の前に舞い降りる。



 それは翼の生えた竜人の少女。

 イリスだった。



「迎えに来た……」



 彼女は俺に向かってボソリと言う。



「あ、ああ……早いね」


「……」



 彼女はポッと頬を赤らめる。

 そして、両手を広げて俺を迎え入れるような仕草をして見せた。



「じゃ……抱っこ」


「ああ……」



 相変わらず俺の登山と下山の方法は、彼女の抱っこ運搬に委ねられているのだった。




                           〈神聖皇国編 了〉




いつもお読み頂きありがとうございます。

この話で3章が終わりになります。

ここまでお付き合い頂きありがとうございました。


そして――、

皆さんにお陰で、あと少しで総合ランキングに入りそうです!


引き続き4章も読みたい! 少しでも面白い! と思って下さった方は評価ポイントを頂けると嬉しいです。

その際、ページ下部の☆☆☆☆☆を★★★★★にして頂けたら幸いです。


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― 新着の感想 ―
[良い点] 見事勇者を返り討ちにできましたね。 [気になる点] 何故に勇者は魔王の心臓を欲していたのでしょう。 [一言] 面白かったです。 続きが楽しみです。
[一言] ヤター本日2本目だ!
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