表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

153/239

151話 クッキング教室

※前回までのあらすじ


 岩塩を手に入れた!


 イリスと俺は無事、岩塩を手に入れ、魔王城に戻って来ていた。



 早速、予てから考えていた料理を作りたいところだが……。



 このダンジョン、キッチンが無い。



 食堂はあれど、あそこはテーブル席と形ばかりのカウンターがあるだけで調理施設は無い。



 だって料理は全部、合成で出来ちゃうから。



 でも、今回は手作り料理だ。

 なんとかして調理場を確保しなくてはならない。



 一応、城の方には簡単な竈と鍋くらいはあった。

 焼いたり茹でたりする程度の調理はしてたらしいからね。



 作業台に使えそうなテーブルもあったし、そこを使って料理をすることにするか。



 で、いざ料理をしようとしたら、



「魔王様だけにそんな作業をさせる訳にはまいりません!」



 とアイル達に言われてしまい……。

 だからと言って調理方法は自分しかしらないので、俺監督の下、皆に料理を手伝ってもらうことになった。



 というわけで、狭い調理場に四天王とアイル、そしてリリアが集まっていた。




 シャル「ちょっと押さないでよ、もっと向こう行って」

 キャスパー「これ以上は詰められませんよ」

 リリア「ここ、暑いですね」

 アイル「文句言わないの」

 イリス「むしゃむしゃ……」

 プゥルゥ「あーっ! マオウさま、イリスがつまみぐいしてるっ!」 




「……」



 なんだろうな……児童の遠足を引率してる気分だ。



「ほら、静かにして。やるよ」



 言うと皆はピタッと静かになる。

 こういう所は凄く統制が取れている。



「これ、場所も狭いし、皆が各々に作業をし始めると訳が分からなくなっちゃうから、仕事を分担するよ」

「それは良いアイデアですね」



 アイルが感心して頷く。

 俺と目が合うと起こる動揺は少し落ち着いたようだ。



「料理別に班を分けたいと思う。それでいいかい?」



「「「「「「はーい」」」」」」



 皆揃って手を上げた。



「じゃあ、アイルとシャルはハンバーグ班、キャスパーとリリアはラーメン班、プゥルゥとイリスはコロッケパン班ってことにする。俺は随時、皆に作り方を指導して行くからね」



「「「「「「はーい」」」」」」



 ではまず、全ての料理で使いそうな食材から。

 それは草牛(ムートリ)の肉だ。



 草牛(ムートリ)は牧場から一頭、拝借してきて既にアイテムボックスに入っている。



 捌くのは手作業ではなく合成レシピだ。

 肉を合成するレシピは持ってるからね。

 動物を捌くのは大変だから、合成レシピがあってホント助かった。



 早速、アイテムボックスに取り込んだままの状態で合成実行。

 あっという間に、



 草牛(ムートリ)の肉×100



 が生成された。



 一頭から結構取れるんだなあ。

 一つの塊を取り出してみると三キロくらいはある。

 見た目も牛肉に近い。



 量はあるけど、アイテムボックス内なら腐ることもないから余った分は保存しておこう。



 で、この肉はというと、ハンバーグとラーメンのチャーシューに使うので、一塊ずつハンバーグ班とラーメン班に渡す。



「アイル、はい、これ」

「あっ、ありがとうございます」



「それをミンチにしてくれるかな」

「ミンチというと……あのミンチ?」

「ああ、そうだ」

「はい、了解しました!」



 彼女はウキウキしながら、その肉を持って作業台に付く。

 シャルのその後に続いた。



「キャスパーにも同じ物を」

「はい、恐れ入ります」



「で、リリアには骨を渡しておくね」

「ほ、骨!?」



 突然、草牛(ムートリ)の骨を渡されたシャルは少し動揺していた。

 肉を作ったら、アイテムボックスの中に骨が残ったので、それを渡したのだ。



「スープの出汁を取るのに使うんだよ」

「へ、へえ……」



 この世界の住人にとっては余り見慣れない調理方法だから驚きもするよな。



「マオウさま、ボクたちにはー?」



 自分達の分が無いと悟ったのか、プゥルゥが悲しそうに言ってくる。



「プゥルゥには、まずパンを作ってもらうからね。イリスと一緒にこの小麦粉をこねてもらえるかい?」



 そう言って俺はアイテムボックスから小麦粉を取り出した。

 草牛(ムートリ)の背中に生えてる小麦から生成したものだが、最初から紙袋に入っていて扱いも便利。一袋に1kg入ってる。



「これに水と砂糖とバターと少しの塩を混ぜてこねるんだ。あと、酵母菌ってが必要なんだけど、それは俺がジルジルの実を発酵させて作っておいた。これも少しだけ混ぜてね」

「はーい」



 気持ち良く返事をしたプゥルゥ。

 その横でイリスが指を咥えていた。



「混ぜたら……食べていい?」

「ダメ!」



「くすん……」



 パン種を焼かずに食べようとするイリスだった。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] イリスには一度激マズ素材を食べさせて調ky……………教育しないといけないですね。 なんのなく激マズ素材も「美味しく頂きました」となりそうな気もするが
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ