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107話 馴れ初め

※前回までのあらすじ


 魔蒼石が手に入った!



 とうとう四つ、全ての魔法石が集まった。



 レシピの上では、これで最上位アイテムであるレジェンド金ダライが作れる。



 でも詳細(プロパティ)を読むと、見るからにヤバそうな代物なので、レジェンドは封印しておきたい。



 その下位互換であるアルティメット金ダライ。

 それを作る予定だったのだが……。



 せっかくだから更に下位互換であるウルトラ金ダライも作ってみようか。

 段階を踏んでいかないと危険な感じがするし……。



 というわけで、早速実行に移そう。

 そう思って、コンソールを開こうとしたのだが……。



「ぷぷぅ……」



 パールゥが俺に向かって何か投げ掛けてきた。



 そういえば、魔蒼石が手に入ったのも彼女のお陰。

 まだ、その礼を言ってなかったな。



「この魔法石を探してたんだ。パールゥが持ってて助かったよ」



「ぷぷぷ……」

「え?」



 パールゥは消え入るような声で何か言いながら、大きな体をモジモジとさせている。



 相変わらず言っている事が分からないので理解するのが至難の業だ。



 ここはもう素直にプゥルゥに通訳してもらうしかないだろう。



「ねえ、パールゥは、なんて言ってるの?」


「……」



 すると、どういう訳かプゥルゥも恥ずかしそうに黙ってしまっている。



 二人して、どうした!?



 このままじゃ埒が明かず困っていると、ようやくプゥルゥが静かに口を開く。



「あのね……パールゥはね……セキニンをとってほしい……っていってるよ」

「責任? 何の?」



 何の事だか分からずいると、更に捕捉してくれる。



「あんなコトをされたのは、はじめてだったから……もう、おヨメにいけないって……」



「お嫁!?」



 突然、思ってもみない単語が出て来て声が裏返った。



 もしや……というか、完全にさっきのアレが原因だよな?

 彼女の体に手を突っ込んでしまったという……。



 俺には全くそんな感覚が無かったから、つい忘れてしまっていた。



 とはいえ、パールゥにとってはかなり重大なこと。



 俺は、これにどう対応したらいいだろう?



 まさか、このままスライムを嫁に貰わなくてはいけなくなるんだろうか……。

 なんだか複雑な気分だ……。



「それと、もうひとつ……いいわすれてたことが、あるんだけど……」



 プゥルゥが続けて言ってきた。



「ボクも……まえにオフロでマオウさまに……その……みられちゃったから……お

ヨメにいけないかも……」



「っ!?」



 まさかのダブルスライム婚!?



 思わず……大小二つのスライムに挟まれて、むにむにされている図を想像してしまう。



 案外、気持ちいいかもな……って、そうじゃない!



 この状況、どう対応したらいいものか……。



 色々方法を考えていると、



「ぷふ……」



 パールゥがなんだか寂しそうに項垂れていた。



 その姿を見ていると、こちらもなんだか似たような気分になってくる。



 と、そこで、一つの方法を思い付いた。



「パールゥには、我がダンジョンに来て欲しいと思っている」

「ぷぷ……?」



「一緒に住まないかってこと」

「ぷぷっ!?」



 パールゥは大きく飛び跳ねた。

 そのせいで辺りに結構な震動が伝わる。



 この反応なら俺でも分かる。

 とても喜んでいる。



 それに、ダンジョンに来てもらえば防衛力の向上にもなるだろう。

 一石二鳥だ。



「それはめいあんだね! ちょうどパールゥにもダンジョンをみせたいなーっておもってたんだ。マオウさまのダンジョンってすごいんだよ?」



 プゥルゥも納得したようだった。



 ふぅ……助かった。



「じゃあ、一旦ダンジョンに帰ろうか」



「ぷぷぅ!」

「うん! かえろかえろ!」



 パールゥはトントロの時と同じように魔法の扉Ⅱでダンジョンに移動してもらうことにした。



 なんでかって言うと、彼女の体の大きさでは、ダンジョンの通路に詰まってしまうから。



「パールゥの部屋は、リリアの部屋の上。第四階層ね」


「ぷぷぅっ!」



 嬉しそうに飛び跳ねる彼女。



 その丸い体全体から、()()の★が放射状に飛び出していた。




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― 新着の感想 ―
[一言] おや?おかしいな、ダブルスライム婚が魅力的に感じる自分がいる。 プゥルゥとパールゥが可愛くて仕方ない。
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