表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
女盗賊ミランと盗賊団の黒蛇  作者: 三千
第六章 首領ルォレン
24/54

二十三


「しかし、ヘマしたもんだなあ、ルォレンよ。白蛇がカンカンだったぞ」


「……カイヤ、その話はやめろ」


「ラオレンに気にいられいるとはいえ、あまり派手にやるなよ」


スプーンですくったスープを、ルォレンはじっと見つめた。


そんなルォレンを見つめる男が二人。もちろん、二人の男も目の前にある料理と酒を口に運びながら、今回の騒動の話をしている。


一人はルォレンが盗賊団に連れてこられた頃から一緒に育てられたカイヤ。そして、もう一人は白蛇ラオレンの孫、シンだ。


お喋りでチョロチョロとじっとしていないカイヤに対して、シンは寡黙な上、表情を出さない。シンは盗みの手口は大胆だが、その鉄面皮が原因で、下の者が懐かなかった。白蛇が引退して、白蛇の孫シンが後を継ぐのだと誰もが思っていたが、そのことが理由で首領選びから外され、白蛇が後継に選んだのは、下から好かれ信頼も厚いルォレンだった。


(……だが、ラオレンに俺は信用はされていない)


もともと、ルォレンはラオレンを好きではなかった。


初めて自分が盗みを働いた時、暴漢から助けてくれたとはいえ、半強制的に盗賊団に連れてこられた時以来、良い印象を持ったことが一度もないからだ。


「何というひ弱な男だ」


盗賊団のみなの前で、笑われたこともあった。


それからは、剣の鍛錬に励み、そして盗賊団一の力自慢の男に、身体の鍛え方を教わった。


(強くなって、ミランを守りたい。偉くなって、ミランを……迎えにいく)


一心に、勉学にも力を入れた。学のないルォレンにとって、意義を見出せない数字の計算などは最初は苦痛でしかなかったが、もともと飲み込みが早い性質があったため、すぐに盗賊団トップの成績となった。


一般の勉強が終わると、帝王学、経営学、哲学にまで手を伸ばし、ひたすら知識を入れ、その知識を利用して今までは力任せだった盗賊団を頭脳派の組織に改変したのだ。


「ひ弱だというなら、なぜ俺を連れてきた?」


ラオレンに一度だけ訊いたことがあった。


「お前の、あの睨みが気に入ったのだ」


ミランの腹を満たすはずだったバナナを、暴漢に足で踏みつけられた時。


初めて。心の底から人を殺したいとまで思った、あの時。


「…………」


黙り込んだルォレンを見て唇を緩める。そして次には白蛇が笑いながら問うた。


「では、今度は俺が訊こう。なぜお前は俺の後をのこのことついてきたのだ」


「何を言っている。半ば、強制だっただろ」


「逃げる機会は幾度もあったはずだ。ここに留まったのは、お前の意思のはずだ」


「……俺は、」


ルォレンは思いを馳せた。誰とも言わず、ルォレンは目を伏せた。


「強くなり、対等でいたかったからだ」


白蛇はその後、ルォレンに盗賊団の全てを叩き込み、そして引退した。


(ミランのために……ミランを守り、俺がミランを幸せにする)


ルォレンはその場で腰に下げていた剣を抜いた。


その腕には盛り上がった筋肉が隆々と存在する。太い腕や肩幅。背が高く細身ではあるが、それだけで相手を威嚇する要素があった。


カイヤやシンが飲んでいた酒を、テーブルの上に置いて、お互いの顔を見合わせた。見合わせると、二人は立ち上がり、そして腰に差していた剣をスラリと抜いた。


「お前には負けねえ」


その二人の腕も、相当に鍛えられた筋肉の特徴が見られる。


ルォレンが、ニヤと笑った。


剣の腕前は、カイヤとシンには劣るが、盗賊団の中でも片手の中に入るようになり、自信がある。


「ちょいとっっ、アンタたち‼︎ 喧嘩なら外でやっとくれっっ‼︎」


店の女将が大仰に手を振った。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ