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女盗賊ミランと盗賊団の黒蛇  作者: 三千
第三章 幼馴染の二人
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十四


「あー‼︎ お前、よくも、ミランにキスしたなっっ‼︎」


モニが大声で叫びながら、閉じ込められている籠を揺らした。


「あ、あ、あ、やめろって、やめろってばっっっ‼︎」


籠を揺らし過ぎて、ベッドの上でころんと一回転した。お陰で、ミランとルォレンの二人の姿が見えない。ただ、荒い息と会話だけは、大きな耳でキャッチしている。


「ミラン、俺はお前をずっと探していた」


「私はお前など、忘れていた」


「そんなつれないことを言わないでくれ」


「離せ、私に触るなっっ」


「そうだよっっ、ミランに触るなよっっ。ボクを本気で怒らせたいのか‼︎」


中でモニがバタバタと暴れ、籠がさらに回って、二人の姿が見えた。


「こらあ‼︎ ミランに触るなって言ってんのっっ‼︎」


モニがぎゃあぎゃあと騒ぎ立てる。


ついにルォレンは、白旗を上げた。


「うるさいな、話もろくにできやしないぞ。こいつ処分するか」


籠に手を伸ばすと、ミランがその手首をすかさず握った。


「やめろ」


「なら、黙らせろ」


ミランが、眉根を寄せた。


「モニ、静かにしていてくれ」


「でもミランっっ」


「お願いだ」


「……わかったよ」


ぶすっとした顔で、モニは頬を膨らましたりへこませたりした。


「ミラン、俺はメイファンの白蛇に連れてこられて、この盗賊団に入った。お前と離れて寂しかったが、今では良かったと思ってる。お前に頼ってばかりのひ弱な俺では、お前を幸せにすることなど到底できなかったからだ」


「…………」


「今の俺ならできる。お前を守ることも、そしてお前を、」


「ルォレン、私は誰かに守ってもらわなくとも、自分の力だけで生きていける。お前など、必要ない」


「ミラン、」


「裏切っておいて、今さらなんだっ‼︎ 私を置き去りにして逃げたお前を、私は決して許しはしない」


ルォレンの唇が歪む。ぎりっと歯の擦れる音がして、モニの耳を刺激した。


「お前が去って、私がどんな思いでここまできたのか、知らないだろう」


「ミラン、」


「心の支えだった」


「ミラン、俺だって、」


「お前は違うっ‼︎」


ミランは、緩んだルォレンの手から逃れて、ベッドの上に立ち膝で立つと、ルォレンの胸ぐらを両手で掴んだ。ぐいっと締め上げる。


「……お前を恨んでいる」


ルォレンが唇を噛む。


「お前を恨んでいるっっっ」


ミランが、ハアハアと深く息をつくと、胸ぐらを掴んでいた手を離し、そして後ろへと退いた。


「私を捉えるために翼人つばさびとの姫君を誘拐したのだろう。だったら、もう良いはずだ。彼女を逃せ」


「それはできない」


「こいつら、あの娘を売り飛ばすつもりだよっ‼︎ つ、翼を、は、剥ぐとか、言ってたんだ……うええぇ」


モニの言葉で、ミランの形相が変わった。


「なら、代わりに私を売り飛ばせ」


「それもできない」


「ルォレンっっ‼︎」


その声で、ビクッとモニの籠が飛び上がった。


「お前を許さない。私の代わりに誰かを傷つけるというなら、お前を一生、許しはしない」


低く抑えたつもりではあったが、それは成功していない。ミランの声はかすかに震え、そして少しの弱さが含まれていた。


(翼人の姫君を助けなければ……)


それは、ミランが決して非情になりきれない、大盗賊として名を馳せる四人の中に入れないわけが、そこにあった。


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