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-2限目:実習初日Ⅰ-

「はじめまして、旧都大学の(いつき)かえでです。本日から3週間よろしくお願いいたします。」


窓の外は雲一つない青空で、心地よい風が吹いて過ごしやすかった。

朝の職員会議の時間を借りて自己紹介をした。

職員室で行われており中央付近は電球が切れかけていた。入り口付近に立っていた私は教務主任の合図で

教頭先生の席がある前方中央に立ち挨拶を行った。

あいさつの後、まばらな拍手とよろしくねという声がかかった。


「今月末には体育大会もあります。それぞれ、生徒たちに気を配りながら成功に向けて動いていきましょう。」


そのほかの業務連絡を朝の職員会議は終わった。

会議が終わり6畳ほどの部屋に案内された私は、3週間の流れや打ち合わせなどを行っていた。

教務主任は終始笑顔で話していた。


「まず、今回の指導教諭は田所先生っていう先生ね。樹先生の弟が去年卒業したんだけど、その教科担当でもあったベテランの先生だから、学ぶことも多いよ。」


私の弟の話はあまり関係ないとは思ったが、弟は学校でも有名だったらしく生徒や先生も覚えているらしい。一体何をしたら覚えられるのか。と内心思いながら聞いていた。

田所先生は国語教師である。そのほか生徒会や剣道部の顧問も兼任している。


「で、クラスは2年E組で担任は大野先生なんだけど、今日は出張で一日いなくてね。ごめんね~ なので田所先生がクラスへ案内してくれるよ。」


大野先生は女性の体育教師らしい。いろいろお話を伺えたらいいなと思いつつ、昔からバレー一筋であり、主任曰く明るく元気で活発な先生だという。

一通り説明が終わった後、指導教諭の田所先生に挨拶しに行った。


「樹先生、本日からよろしくね。いろいろ不安もあるだろうけど、それをたくさんの思いに変えてください。」

「はい、ありがとうございます。これから三週間ご指導・ご鞭撻のほどよろしくお願いいたします。」


自己紹介と軽い挨拶を終えた後、お世話になる2年E組のクラスがある2Fへと足を運んだ。

自分が在籍していた当時とあまり変わっておらず、教室内の独特のにおいや中庭のイチョウの木など、なつかしさを覚えた。


ここで、学校構内をざっくり説明すると、大きく北舎・中舎・南舎に大きく分かれている

北舎は主に職員室や、音楽室・理科室などの特別活動室があり、

南舎は主にクラス教室がある。

中舎は北舎と南舎を結ぶ通路であり、多目的スペースなどが存在している。

この学校の特徴としてノーチャイムがある文字通りチャイムが鳴らないのである。

そのため先生や生徒たちは時計を見ながら意識して行動している。


教室の前で少し待たされ、田所先生は教室に入っていった。生徒のにぎやかな声は教室のガラガラという

音とともに静かになった。廊下横には全員の名前と、個人ロッカーと一年の目標という題の用紙が個人ファイルごとに張り出されていた。


「皆さん、おはようございます。今日から教育実習で一緒に学ぶ先生がやってきました。どうぞ、入ってください」


その呼びかけとともに教室の中へ入った。入り口に入った瞬間全員の目が一斉にこちらを向いた。

一斉に向けられたので少し恐怖を覚えたが、中央へと移動するのに合わせて目線も移動していた。

黒板のほうを向いて、チョークで自分の名前を縦書きで書いた。

緊張からか少しバランスを崩してしまった。

書き終えた後、再び生徒の方を向いて自己紹介をした。


「みなさん、おはようございます!」


この挨拶に対し、元気な声でおはようございますと返してくれた。

「今日から3週間お世話になります。樹かえでです。皆さん、仲良くしてください。」

声は普通に出ており、紹介が終わると拍手で迎えられた。

後ろには一年の歩みと書かれた手作りのシートが張られていた。


「えー樹先生は国語の担当なので、私の授業につきます。それ以外はここE組で大野先生とみんなを見るので、そのつもりでよろしくお願いしますね。」


生徒たちのにぎやかな返事とともに、挨拶は終わった。


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