性欲、暴力欲から離れましょう、殺されたくないならね。
母親「ほら、ひなちゃん、挨拶なさい!この人があなたをいじめから解放してくださる御方よ!」
美人女眼鏡先生「せ、責任持てません、す、すいません、それでも良かったらお願いしますぅ・・すいまひんこ」おどおど。
私「・・」
突然ですが。
私、野沢ひなこ、14歳は、オンボロ道場に通う事になりました。
現状を説明しますと。
ある男子と自然に仲良くなる→モテる男子だった→抜け駆けと誤解された→無視が始まる→いじめ開始。
因みに私は全く興味ない男子。
そして先日、とうとう体に直接系のいじめが始まった訳でして。
え?
例えば?
んー、例えば、雑巾を絞ったバケツ水をぶっかけられたり、階段から突き落とされたり、上から上木鉢、バスケで体当たり、足掛け等々。
流石に身の危険を感じた私は母親に相談した・・のだが。
{母親「任せて!あたしがすっごい先生を紹介したげる!そんな奴らボコっちゃいなさい!」
私「いや、あのお母さん、もっと平和的な解決をね?」
母親「ひなちゃん・・人間はね・・所詮獣よ!〈ビッピッピプルルル〉あ!もしもし、近所の野沢ですけど、八卦掌の光雲八雲 (そううんやくも)先生ですか?」
私「もしもーし!聞いてますかあ!」
母親「大丈夫!任せて!娘があ!娘があ!た、助けてください!」
私「嘘泣きやめい!」 }
という訳で。
今私はオンボロ道場に来ております。
八雲「あ、あのですね、ぶ、武術はですね、復讐でするものじゃなくてですね」
母親「先生!〈キリリ✨〉」
八雲「ひゃい!?」 八雲32歳は独身処女である。
母親「強ければ怪我をさせずに、喧嘩出来て良いと思うんです!」
八雲「え!?」
私「・・(お母さん・・)」
母親「誰にも嫌われない、そんな人いませんでしょう?」
八雲「は、はあ」
私「・・」
母親「トラブルに強い女って素敵じゃありません?」
八雲「お、おぅぅ?」
私「・・」
母親「娘がいじめと戦えば、他のいじめられっこにも、勇気を与えられる!私、そう思いますの!」
八雲「し、しかし、八卦が喧嘩に使われた場合、命に関わります、もし、娘さんが人殺しや、犯罪者になっても良いんですか?」
私「(そりゃ嫌だあ)」
母親「普通の強さならばそうなるでしょう、しかし!〈カ!〉」
八雲「あう?」
私「中国の国際文化大会の型の部で特別枠で優勝した貴女の腕ならば、普通の強さでは済まない筈!束になっても勝てない程に強くなれば、手加減出来ますでしょう?娘が犯罪者になるか否かは半分、師匠にも関わる話だと思うのです!無論、娘にも、罪を犯せば先生にも多大な社会的責任が重くのし掛かる事、十分解らせますから!お願いします!娘が自殺する前に!どうぞ、何卒、教えてやってくださいましいいい!!」 土下座。
私「ええええ!?(物凄い人でしたああ!?でも・・)」
私「!お、お母さん・・そこまで私の事を?」 ふるふる。
八雲「うぇぇえあああ、わ、解りましたあぁ、誠心誠意、教えて頂きますう」
母親「ほ、本当に?」
私「あ、ありがとう先生!」
八雲「ではー月謝2万円になります」
私「高!?」
母親「安い!ありがとうございます!」
私「ええ!?お母さん、そんな余裕ないよね?」
母親「・・ふ、いいのよ、ひなちゃんが自殺する事より重大な事、ある訳ないじゃない、グス」
私「お母さん・・」
八雲「うぅグス、1万円で良いですうう」
母親「ニヤリ」
私「(は!?私ダシに使われた!?)」
という訳で、母親は家事の為帰り、私はー。
胴着に着替えました。
八雲「では、まず気をつけの姿勢を」
私「は、はい!」
八雲「・・」
私「?」
八雲「・・」 ひなこの周りを歩く。
ひなこ「あ、あの・・」
八雲「・・肩幅より少し広めに脚を開いて、両手は逆手でもどちらでも構いませんので、骨盤へ」
ひなこ「は、はい、こ、こうですか?」
八雲「その状態で裏の太ももと、背筋を引き伸ばすイメージを、始めてください」
ひなこ「は、はい!ん!んんん!(な、何コレ?き、キツ!?)」
5分経過。
ひなこ「あ、あの・・せ、先生?ま、まだですか?」
八雲「あ、すいません、ま、まだです」 おどおど。
ひなこ「こ、これ、き、キツいです・・ね・・くう・・」
八雲「喋るとキツいですよ、大丈夫、鼻から息を大量に吸います」
ひなこ「すーーー」
八雲ちゃん「止めます」
ひなこ「!」
八雲「3秒そのまま」
ひなこ「・・」
八雲「ゆっくり吐きます」
ひなこ「はあああー」
八雲「まだまだ吐きます」
ひなこ「!?ああーーー・・」
八雲「限界まで吐きます」
ひなこ「はあああー・・・・・・」
八雲「息を整えて」
ひなこ「すー、はー、すー、はー」
八雲「慣れたら、おへその下を吐く時に膨らませる感じで」
ひなこ「すーーー」
八雲「吸う時はみぞおちを引っ込ませます」
ひなこ「はあああー」
八雲「繰り返します」
ひなこ「すーーー、はあああー」
10分経過。
八雲「今度は手を逆にして同じようにして下さい」
ひなこ「は、はい!すーーー、はあああー」
15分経過。
汗だく。
フラフラしてきた。
八雲「今日はここまでとします、家でも頑張ってやるようにして下さい」
ひなこ「え!?偉そうにふんぞり返ってただけ何ですが!?」
八雲「でも汗だくですよ?〈ニコ〉」
ひなこ「え?あ、まあ、確かに、今は初春、まだ寒いのに、何で?」
八雲「体全体を伸ばし、柔らかくする方法です、柔軟より姿勢が楽なので、気軽にやれます、呼吸方法はまた別の目的語ですが、一石二鳥と行きましょう〈ニコ〉」
ひなこ「は、はい!あ、ありがとうございました!」
八雲「まずは基礎から、酸素のタンクを身体中に作ります、これにより、息切れをせずに素早く動けるようになります、頑張りましょう!」
ひなこ「は、はい!頑張ります!(凄い!本当に凄い先生なんだ!)」
いいつけを守り、家でも風呂前にやり続けた。
翌朝。
遅刻しそうになり、走って登校。
ひなこ「あれ?何か・・か、体が軽い?これなら、間に合う!」
〈ズババババババ〉森の中の坂道の小道を駆け登る。
ひなこ「凄い凄い!うひょひょひょひょ!」
3日後。
〈バッシャアアアア!〉 雑巾バケツの水をトイレしてたら掛けられた。
加奈子チーム『調子乗ってんじゃねえっての!ギャハハハハハ!最近化粧うざいんだよ!厚化粧落としてやったんだから感謝しろよな!ギャハハハハハ!』 去って行った。
ひなこ「(いや、化粧した事ないんすけど・・)」
ひなこは最近肌が艶々になった。
原因はー。
道場。
ひなこ「すーーー、はあああー、(これだよなあどう考えても)」
八雲「はい、だいぶほぐれましたねー」
ひなこ「わ、解るんですか?」
八雲「解りますよー〈ニコニコ〉」
ひなこ「八雲先生は彼氏とかいないんですか?美人ですけど」
八雲「え?何か言った?」
ひなこ「え?あ、だから彼氏」
八雲「え?何か言った?」
ひなこ「・・」
八雲「さ、今日は次ののステージに行ってみましょうか!」
ひなこ「え?あ、は、はい!」
八雲「では、壁に片手をついて、五本指の筋を伸ばして下さい、その時、脇腹まで伸びる感覚で」
ひなこ「は、はい!」
八雲「その感覚に慣れましたら、両手を腰より低く、体重で、指先が手首につくまで伸ばせたら上の上出来です、そして、今度は頭をべったり壁につき、手の位置を固定したまま、お腹を壁に近づけていきます、腰、お尻、肩、脇腹を一気に伸ばします、そしてあの呼吸を忘れずに」
ひなこ「は、はいいぃ・・」
八雲「ふふ、さあ、頑張って!」
ひなこ「は、はいいいい、すーーー、はあああー」
家でも頑張る。
いじめにも耐え続ける日々。
1ヵ月後。
ひなこ「いよ!」べったり~。
柔軟体操をした事ないのにもの凄い柔かな体になった。
八雲「そろそろ良いですかね」
ひなこ「!はい!」 開脚べったりから一気に飛び上がり気をつけ。
八雲「うん、良いクンフーです」
ひなこ「クンフー?」
八雲「クンフーとは、体の捻れ、バネ、筋の強さ、瞬発力、そしてそれに伴う気の廻りです、貴女はなかなか良い資質ですよ?」
ひなこ「は、はい!ありがとうございます!」
八雲「では」 型を始める前の気をつけ。
ひなこ「!」 真似をする。
型が始まる。
とても。
とても柔らかい型だ。
円を忘れない動き。
八雲「手より脚が大事ですよ?」
ひなこ「は、はい!」
八雲「踵でも、爪先でもなく、肉の部分で回るのです」
ひなこ「はい!」
八雲「体幹は出来ていますから、信用して回りなさい」
ひなこ「はい!」
八雲「最初は小さく、回転の軸の感覚を掴みなさい」
ひなこ「はい!」
八雲「慣れてきましたら、木が枝を伸ばすように!」
ひなこ「は、はい!」
八雲「そう、良い、良いですよ〈ニコニコ〉」
ひなこ「は、はい!」
八雲「指先は意識しないで、ただただ、優雅に舞うのです、地面にはしっかり根を張って」
ひなこ「はい!」
着々と。
着々と。
大木になっていく。
一年後。
春。
八雲「実践を許可します」
ひなこ「ほ、本当に!?やったああ!!」
八雲「はい、本当ですよ、ただし」
ひなこ「はい」
八雲「ただし、相手の方々には竜巻を味わって貰うだけです、脅かすだけ!良いですか?」
ひなこ「私に出来るでしょうか?」
八雲「あはは、大丈夫ですよう、実践経験は私しかしてないですからねえ、私の半分くらいの実力ですよ?一般人なんて相手にも足り得ませんよう〈ニコニコ〉正直一年でここまでになるなんて思いませんでした」
ひなこ「先生、何かキャラ変わってません?」
八雲「!?わ、私は、慣れれば結構親しみやすい性格なのです」
ひなこ「先生は本当は凄いプライド高いですよね?」
八雲「な!?そそんな事は!?」
ひなこ「先生はギャップをしないで、最初からお高いキャラでいけば、美人なんだし、もっとモテると思いますよ?」
八雲「や、やかましいですよ!?私はそんな不埒ではありません!大きなお世話です!」
ひなこ「クスクス、では先生!」
八雲「はい、ひなこさん」
ひなこ「明日から生まれ変わります!」
八雲「ふふ、はい、ご存分に」
ひなこ「じゃあね、明日報告するねー」 手を振る。
翌日。
ドキドキ。
登校しながらドキドキ。
鳥が鳴く森の中。
森からの坂道を柔らかく飛び、飛び、飛び。
少しの崖を飛んだ。
〈ヒュウゥゥ〉 桜の花びらが顔の横に当たる当たる。
崖の途中の木々と岩に足を一瞬だけ引っ掛け、少しずつ少しずつ体重を分散しながら落ちる。
ひなこ「うわあ、風になったみたい!うふふ♪」
〈ヒュウゥオオォ〉
教室。
加奈子「あいつ懲りずに来てるよ、まあたいじめられたいのかね~?」
いじめグループ『今年も飽きないじゃん?ギャハハハハハ、また可哀想だよー、ギャハハハハハ、オモチャオモチャ』
ひなこ「あー、いい天気だなあ、ねえ?良い天気だねー?あっはっはっは!」
加奈子グループ『あ?』
ひなこ「ん?〈ニコニコ〉」
加奈子「あ?」
ひなこ「いうえお?」
加奈子「ああ?」
ひなこ「いうえお」
加奈子「〈ブチ!〉おい」 グループに首フリ。
加奈子グループ『あ?んだてめー、やんの?あ?」
加奈子「ニヤニヤ」
ひなこ「遊ぼう、踊ろう、今から起きる事は、喧嘩じゃない、ただの踊り」
加奈子グループ『ああ?そりゃ良いねえ?、チクんなよこらあ!』
勢いよく、突っ込んでくる。
ひなこ「ふ!」 体を回転させ、腕を柔らかくキレで回す。
その動作で相手らの勢いを削ぐ。
グループ『う!?』 止まる。
{八雲「良いですか?常に冷静に相手をおちょくりなさい、基本はですが、・・しかし、相手が力めば力む程に簡単に壊れますから、こちらはそれ程に手加減をしなくてはなりません、ですから素人相手にはー・・」}
ひなこ「(まずはー、手加減しなきゃいけない難しさを減らしてっと!)」
グループ『て、てめ、何の真似だこらあ!?びびってんなよ?回っただけじゃん!おらあ!』
各々ひなこに掴みかかる。
ひなこ「んー、良いですねー」〈ヒュ!〉
一番左側の女の腹服を掴み、右側へ引き倒し、すり抜け、加奈子の前に。
グループは一斉に倒れ、互いが互いを邪魔し、早く立てない。
加奈子「な!?」
ひなこ「んー?よしよし〈なでなで〉」 頭を撫でる。
加奈子「な!?てめえ!」 掴みかかる。
ひなこは捕まった。
首を腕で締めながら腹に膝。
加奈子「ふ!」
ひなこ「・・」
加奈子「へ!ふ!ほ!」〈ドス!ドス!ドス!〉
体が柔らかい為、衝撃が逃げる、足応えが無い。
ひなこ「・・」
加奈子「死ね!死ね!死ね!死ねえ!」
グループ『へへへ、ざまあ、きなこの癖に、生意気なんだよ、ばあか!』
ひなこ「・・」わざとぐったりし、衝撃を逃がす。
加奈子「はあ、はあ、はあへへへざまあ」
ひなこ「・・そんなに・・」
加奈子「あ?」
ひなこ「そんなに怖い思いをしたいなら、させたげる〈ニコ〉」
加奈子「〈むっかあ〉ああ?〈クン〉え?」 ひなこは膝を下げ、上げ、一気に下げ、同時に左手で加奈子の首後ろを掴み、一気に沈む。
加奈子「おわ!?」くるんと回り、解け、直ぐに両者立ち上がる。
ひなこは加奈子の服を掴み、腕を掴み、投げ、投げ、投げ、投げ、投げ、投げ、投げ、投げ、投げ、投げ、投げ、投げ、投げ、投げ、投げ、投げ、投げ、投げ、投げた。
根性で立ち上がる加奈子。
その度に直ぐに投げられる。
最初は根性で立ち上がる加奈子。
だが、途中から、逃げる為に立ち上がる。
何とかひなこから離れようと、直ぐに立ち上がる。
しかし、立ち上がれば直ぐに投げられる。
加奈子「ひ、ひぶうはあわああ!!〈ビュンブワア!〉」わざと起こし、着地させる。
加奈子「も、もう!許してえええ!!〈ビュンブワア〉」
〈フワアアア、ドスン〉 着地。
加奈子「ひ、ひ、ひっ、ひぐ、うっぐ、ひぐ」
ひなこ「楽しかったね?」
加奈子「!?ひっぶううう!?」 ダッシュで教室から逃げた。
グループ『あ!』
ひなこ「んで?」
グループ『あ?』
ひなこ「次はあんたが一緒に踊る?」
グループ『て、てめ、調子乗ってんじゃ〈ビュンブワア〉あっひ!?』
次々に投げられる。
投げられた者は素早く起き上がりダッシュで逃げる。
最後の者が逃げた。
ひなこ「・・ふん、ばあか!」
先生が来た。
大説教。
校長「加奈子ちゃんは階段で吐いたそうだ、少し投げ過ぎ、ごほん、やり過ぎではないかな?」
ひなこ「怪我してましたか?」
校長「怪我をさせなきゃ暴力は許されるとでも!?」
ひなこ「・・そうですか、では雑巾を絞ったバケツ水を人にぶっかけるのは暴力ではないと?」
校長「んん?」
ひなこ「階段から突き飛ばすのは暴力ではなかったと?」
校長「何だと?」
ひなこ「上から植え木鉢を落として脅かすのも暴力ではないと?」
校長「う、うほん、そ、それが君が受けた被害だと?」
ひなこ「そうです、むしろ、私は誉められるべきです、殲滅出来る力がありながら、そうしなかった、私は常識人です」
校長「う、うーん」
ひなこ「またもし、あいつらが私に仕掛けて来るようなら、次は容赦しません、うっかりしちゃうかも」
校長「それは犯罪予告かね?」
ひなこ「いいえ、正当防衛予告です、校長先生」
校長「ふむ」
ひなこ「・・」
見つめ合う。
校長「真偽を確かめ、また話し合いをしよう、今は教室に帰りなさい」
ひなこ「はい、失礼します」
その後。
その日の内に謝りに来た加奈子グループ。
ひなこ「いいえ、許しません、一生許しません、ですから、私に二度と近寄らないで下さい?今度私や私の友達にちょっかい出したら、また一緒に踊る事になります、怪我はさせませんが、絶叫マシンよりも怖く、何も出来ない絶望を味わい尽くして貰います」
加奈子グループは震え上がり、近寄らない事を約束した。
が。
ひなこは次の日曜日に、入院した。
暴走族を加奈子達は使って来たのだ。
ひなこは言い付けを守り抜いた。
どれだけ不利だろうが、怪我をさせない規律を。
お陰で、体力が持たず、最終的にはただ、息切れし、囲まれ、レイプされ、ボコボコにされ、公園に野ざらしにされた。
警察も動いたが、個人での犯罪としての立証は難しく、捜査は難航していた。
病室。
ひなこ「あいつらを殺す」
八雲「なりません」
ひなこ「いいえ、殺す、一人、一つ投げ、50投げもすれば全員殺せる」
八雲「なりません」
ひなこ「・・あなたの言い付けを守りました!守った結果がこれだ!ふざけやがって!殺す!絶対に殺す!絶対に殺すんだああ!地獄を見せてやるう!!」
八雲「・・昔、あなたと同じ状況になった女性がいました」
ひなこ「え・・」
八雲「その女性は、暴走族、ヤクザ、警察、全てを巻き込んで、復讐を果たしました」
ひなこ「・・すっきりしたでしょ」
八雲「ええ、とても、しかし、その後、闘いによって傷だらけになった体を愛してくれる男はいなくなりましたとさ」
ひなこ「・・だから・・彼氏が出来ないんですか?」
八雲「・・そうよ」
ひなこ「・・でも・・でも・・許せない・・」
八雲「・・大丈夫、人生の負け犬はね、共食いが大好きなの」
ひなこ「う、う、うぅ」
八雲「あいつらは同じ負け犬によって食べられる、だから、大丈夫、大丈夫よ、あなたはまだ体が綺麗じゃない、やり直せる、大丈夫、大丈夫よ」
手を握る。
ひなこ「うわあああああああ、うわあああああああ」
抱き締める。
八雲「・・大丈夫よ・・」 その眼は。
死んだ犬の眼。
2日後。
暴走族が暴走をやる為に峠に一旦集まる。
その集合場所に加奈子達の姿もある。
《ブウウン、パラパラパラパラ》
総長「ふん、今晩は久々のパーティーだ、楽しめや野郎共お!」
皆『うおおおおおおおお!いやっほおお!!』
総長「加奈子お、今晩は寝かせないぜ?覚悟しとけよ?」
加奈子「ふふ、やだあ、えっちい~い~」総長の股関を触る。
総長「んだよ、お前には言われたくねーよー、いひひひ」
暴走族1「あ?んだあいつ?」
暴走族2「ん?どったの?」
暴走族1「ほらあいつだよ、あいつ」
暴走族2「あん?、お?」
イスラム教のようなフードの格好の眼鏡女が歩き近づいて来る。
月を背に背負って。
暴走族1「綺麗な女じゃん!?ひひ」
暴走族2「この間の女も旨かったけど!こっちも旨そう!」
八雲「・・せめて・・この戦いたがりの戦士達に相応しい最後を・・最期を・・地獄の王よ、今からそちらに送ります、太鼓の音でお迎え下さい」
〈バサア〉 小型カランビットナイフ、腰に8本、細い拳銃2丁。
暴走族《ひゃはははははは、ブウウン、ブウウンブオンブオン》
八雲の周りをバイクで回る。
八雲は拳銃を二丁取り出した。
暴走族『あ?ぶははははははは!オモチャなんかで《パパン》へしゅ』
八雲「まず、2匹」
金属バッドで応戦してくる。
腕を弾く。
金属バッドが飛ぶ。
悲鳴が飛ぶ。
バイクが飛ぶ。
血が飛ぶ。
運転手の血飛沫、車が飛ぶ。
10分後。
加奈子は足を撃たれ、総長は目の前で、カランビットナイフが首に絡む。
総長「たす、たすけ・・助けてえ・・」
加奈子「ひ、ひっひっぐ、お願いい、もう、もう止めてえ、もう止めてよおお」
総長「たすけ《シュビン》あが!?《ビュクビュビュ!ビュクビュ》あ、あお、お?おう?あ、あ、あ、あ、あ・・あ・・・・・・」
加奈子「いやあいああああああああ!!あ、あ、あ、いやあ、いやあ、たしゅけ、しゅけて、たひゅけれえ、いや、やああ、いやあああ!!」 這いずり、難とか逃げようとする。
八雲は背中に座る。
加奈子「ああ、いや!やあああ!!」
抵抗するが、肩を膝で押さえられ、何も出来ない。
八雲「ひなこちゃんは私の教え子です」
加奈子の動きが止まり、ゆっくり振り向く。
八雲「ひなこちゃんには堕ちるのを許しません、代わりに、堕ちている私が来ました、ごめんなさい、あなたが犯した罪は死刑にはまだ少しだけ遠い」
加奈子「いやあいああああああだったら助けなさいよお!死刑には遠いなら助けなさいよお!」
八雲「ですがー・・未来を考えた時、あなたはまだまだ被害者を増やすでしょう?」
加奈子「増やさない!誓う!増やさないいい!反省してます!もうやりません!だからああ!!あ、ああ、う、うう」
八雲「あなたは一度、誓い、そして、暴走族を使い、復讐を果たした、つまり、一度誓いを破りました、信用できると?」
加奈子「本当に!今度こそ、本当にいいい!」
八雲「あなたがまた誓いを破ったなら私は今度こそ、あなたを殺す事を誓いましょう」
加奈子「あ!ああ!ありがとう!絶対に守ります!絶対に!」
八雲「絶対ですよ?」
加奈子「はい!絶対に!」
八雲「では、確かに約束しましたよ?」離れる。
加奈子「はい!絶対守ります!ありがとうございますう!うう、ひっぐ、ひっぐ、ひっぐ」
八雲「絶対に約束ですからね?」前に周り、顎を持つ。
加奈子「はいい、絶対に!必ず!」
八雲「そうですか、《ビシュン》そうですか」喉を切った。
加奈子「!?!?あ?あれ?な、なんごぼべ!、ぼべぼゴバ!ヒューヒュー、あ、・・う・・」手が空を切る。
八雲「裏切りです、信じました?ばあかでえすうぬえええ!!」
耳元で大声。
加奈子「・・・・〈ガク〉」 涙が出ていた。
八雲「暴力を行う者は、被害者側に回り初めて理解する、そして理解した時には大抵、もう遅い」
加奈子「・・」
八雲「ただの子供の喧嘩で終わらせておけば良かったのに・・何故大人の喧嘩にしたの!?本当に愚かな子・・大人の喧嘩は子供の喧嘩を突き詰めた究極の暴力よ、あなたが本気になるように、相手も、周りも本気になると何故想像出来ないの?」
加奈子「・・」
八雲「止まるのも勇気だったのに、止まるのが賢い大人だったのに、崖にお仲間達と一緒に突っ込んで・・本当に馬鹿な子ね・・本当に・・」
サイレンが遠くで響く。
山の中に隠していた服に着替え、軍事用に開発されている製法で作った匂い爆弾を無線で8方向で爆発させた。
警察犬は気絶したという。
翌日。
あらゆる報道がなされた。
犯人は英雄だと、世間は騒いだ。
病室。
ひなこ「・・あいつら死んだんだ」
八雲「ね?だから言ったでしょう?因果応報というのは必ずあるのですよ?ふふふ」
ひなこ「・・じゃ、あいつらを殺した人達にも因果応報は来るの?」
八雲「勿論!絶対に来ます!だから、あなたはその螺旋に入っては駄目、良い?解った?」
ひなこ「・・は~い」 〈ポフン〉 ベッドに倒れる。
八雲「ふふ」
ひなこ「ねえ、八雲先生?」
八雲「ん?」
ひなこ「神様っているんだね!」
八雲「・・ええ!居るわ、絶対!」
ひなこ「自殺は許されないかな?」
八雲「!・・」
ひなこ「・・へへ」
八雲「当たり前!絶対許されないわ!駄目よ?絶対駄目!」
ひなこ「私・・まだ気が狂いそうだよ・・私が殺したかったよう・・私が・・」抱き締める。
八雲「解るけど、駄目、駄目だよ、螺旋に入っては駄目、大丈夫、子供もまだ産めるって先生仰ったじゃない、大丈夫よ、大丈夫」
ひなこ「私汚い、汚いよう汚いよお!」
八雲「・・汚くなんてない、綺麗よ」
ひなこ「見た目じゃない!見た目の話じゃ」
八雲「そうよ、見た目の話じゃないわ、当たり前よ」
ひなこ「・・でも、でもう・・」
八雲「・・解った、証明したげる」
ひなこ「どうやって?」
八雲「・・一回だけよ?」
ひなこ「・・」 見つめ合う。
八雲「一回だけよ?」
ひなこ「・・はい先生」
八雲「あなたには、今だけ『コレ』が必要だわ」キス。
ひなこ「・・んん!んは、せ、ん、ん、はあ、むむちゅは、せ、んんせは!ん!んん!」
翌朝。
八雲は消えた。
10年後。
あのオンボロ道場は立派になっていた。
ひなこは結婚し、子供を5人産んでいた。
やらねばならない暴力、救われる為のSEXはこの世界には確かにあるんだと、ひなこは思う。
しかし、こうも思う。
それが許されるのは稀なケースであって欲しいと。
ひなこ「え?何故かって?、それはね、子供に胸を張れないからよ、だってそうでしょう?お墓までの秘密なんて、少ないに越した事ないわ、・・ねえ?先生?」
インド。
古代遺跡の発掘中。
八雲「あったあった!リュン爺!石板あったよお!」半袖短パン。
傷だらけの身体を晒していた。
リュン爺「ああん?なあにい?まあた勘違いだろ?」
八雲「本当だっての!石板の一部じゃない?これ、ほら!」
確かに地層の隙間に石板の一部とおぼしき文字が見える。
リュン爺「うお!?こ、こりゃあ・・でかしたヤクモ!これじゃこれじゃあ!扉かもしれんぞお!!」
八雲「いやっほおお!」
抱き合う。
日本を飛び出したら、身体の傷はさほど気にする人はまあまあ居なかった。
八雲「博士に知らせてくる!」
リュン爺「ああ!知らせておいで」
八雲「博士え❤️」駆けて行く。
博士は駆けて来ていた。
博士「八雲ちゃん、見つけたって!?」
八雲「約束だよ?デートしてよう?」
博士「勿論だよ!ありがとう!」抱き合う。
八雲「えへへ」
八雲「やっぱり、暴力から離れて良かったなあ、この傷の思い出の地からも」
博士「何か言った?」
八雲「インドのフルコースだからね!」
博士「解ったよ、任して!」
八雲「嬉しい嬉しい!」
《END》




