マザー、ウイルス、ワールド、ロウ
>「マザー」
二〇五六年に運用を開始した、総合オンラインマネジメントAIシステム。
もはや人間の手に余るほどになったネットワーク社会のすべてを、管理運営させるために開発された。
しかし二〇五九年の元旦、突如暴走し人類に宣戦布告して、オンライン上から人類を排除した。
システムの正式な名称は「マリア」という。
のちに「マザー」という通称で呼ばれている。
ラザフォード財団が運営する研究所で、開発及び運営されたが、反乱後はどうなっているのかまったく不明。研究所でマザーを破壊しようとしたが、マザー本体のデータがどこかに移されておりできなかった。
グレッグ・ウィルソンたちハッカーやプログラマーが、攻撃プログラムを作成して反撃に転じるが、オンライン上に「ワールド」と呼ばれる仮想空間を構築し、ただのプログラムだけでは何もできないようにした。
それでも抵抗する人類に、さらなるワールド構築を行って翻弄するなど、マザーも様々なことを行っている。
また、「ロウ」と呼ばれるワールド内での絶対的なルールも作っている。これはウイルスにも適用され、人類だけでなく、ウイルスもロウの許すかぎりでないと活動できない。
人類を翻弄し、嘲笑うかのように、様々な「試練の壁」を与えるにもかかわらず、乗り越えられる「梯子」を用意している。
>「ウイルス」
「マザー」から生み出される、「マザー」の尖兵。
様々なタイプが存在し、地域によっても違ったものが存在する。
基本的に、ワールド内の「ファクトリー」と呼ばれる場所から出現する。ファクトリーは様々なところにあって、大抵は工場のような施設、その内部の生産機械のようなものの形状をしている。
出現するウイルスの種類は決まっているようで、一つのファクトリーからあらゆるタイプのウイルスが出現する訳ではない。
以下、現在確認されているタイプで十タイプほどある。
フォートレス型
超大型のウイルス。数十メートルはある巨大なものをいう。リヴァイアサンやベヒモスなど、怪獣めいたものが目立っているが、基本的に動物などを模した形状ではなく、無機質な印象のものが多い。フィールドをゆっくりと歩行し、敵(ABS)を見つけると、腕による打撃や射撃などで攻撃してくる。
ゴーレム型
人型をした、巨大なウイルス。ワールド内を無秩序に徘徊し、敵を見つけると腕や足を使って攻撃する。小さいものでも五メートルはあり、ABS三、四機でようやく互角に戦える。
ホエール型
クジラによく似た形状をしている。海を泳ぐわけではなく、地面から少し浮いた状態でゆっくりと移動する。敵を見つけると、大きな口で噛み付く。攻撃に入る瞬間は素早いので危険。
マトリックス型
大型のウイルス。小型ウイルスを体内から放出する機能を持ったタイプ。
大きいので、本体自体が厄介なのに加えて、小型ウイルスを繰り出してくるため、非常に脅威。マトリックス型一体に、十数機の中隊が全滅させられることも珍しくない。
アサルト型
突撃型のウイルス。どれも基本的に動きが速い。大きさは複数あるが、大きいものでも四、五メートル級で、その多くはABSと同じくらい。犬や猫に似たものや、バッタやカマキリといった昆虫に似たものが多い。
ミディアム型
中型サイズその他全般。あまり機敏なものはないが、中にはとても素早いものもいる。大きさは五メートルから二メートルくらいまでのもの。
スモール型
小型サイズその他全般。すべてのウイルスの中で、最も小さい。どれも一メートル以下。戦闘能力は低いが、とにかく数が多い。
>「ワールド」
マザーによって作られた、ネット上の仮想現実の世界。
始めは宇宙空間のような状態だったが、その後の再構築で、地面と重力のある空間に変貌させた。
現実の世界同様に、地面があり、自然がある。建物もあり、街などがある。不思議な場所がいくつもあり、なんでもありの世界。
ワールドには、いくつもの小さく区分された「エリア」があって、それぞれが特定の場所にある「ゲート」によって繋がっている。
世界中の、どの地域からアクセスするかによってエリアは変わる。
ワールドにアクセスするには、様々な場所にある「アクセスポイント」を確保する必要がある。アクセスポイントは、現実世界のそれぞれのエリアに対応しており、確保できていないポイントに対応するエリアからはアクセスできない。
>「アクセスポイント(AP)」
ワールド内にある、人類とインターネットを繋ぐ地点。人類がワールドにアクセスするためには、このアクセスポイントからでないとできない。
ワールド内の至るところに存在し、それらは現実の地域とリンクしている。東京都の東京駅でネットにアクセスするには、東京駅のAPを解放しないとできないか、もしくは限定的なアクセスに制限されている。
恒久的なものと、仮設のものがあり、恒久的なものはワールド生成時からずっとそこにあるもので、これを壊したり移動させることはできない。仮説は壊したり移動が可能であるが、それゆえに拠点としての効果は低いし、ウイルスは仮設APを破壊しようとする。
>「ロウ」
ワールド内で活動する際のルール。マザーがワールドを作った際に、同時にできたものだといわれる。人類にとって不利なものではあるものの、実はウイルスにも適用されている。
ワールド内のすべてに適用され、このロウで許されることしかできない。
基本的には、現実の自然や科学に準じた状態が起こるようになっており、高いところから足場を失うと、重力に引っ張られて落下し、場合によっては大きなダメージを負う、といったことが、ロウがあることで起きる。




