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ダブル・アビリティー  作者: はやぶさ7ごう
第一章 氷の王編
5/12

第四話「回転と領域」

こんばんございます。

ワターの能力の突破口はあるのか

(僕がこんな……こんな通りすがりの男に敗れようものなら、それは僕らの実力が底辺というレッテルを貼られるに等しいことだね……!この戦いは負けられないものとなる!)


「〈水針裂鬼(すいしんれっき)〉!!」


その一言のもと、ワターの周囲に展開する無数の水球がことごとくナイト目掛けて飛来する。

ナイトは剣と炎でガードを試みるが、想定以上の攻撃に恐怖する。

(この攻撃、ただ水を高威力でひたすらぶつけてると思っていたが……全然違う!この小さな無数の水球さえ、その一つ一つが"回転"して穿つ攻撃になっていやがる!ただでさえヤツの水に対して俺の炎では相性が悪いが、この攻撃は俺の〈炎壁(ファイアウォール)〉を優に貫通してくる……まずい、防戦では危険だ……)


「くっ!!〈炎壁(ファイアウォール)四重(クアドラプル)〉」


四重に展開した炎の壁、当然1枚1枚の防御力は変わらないため同様容易に貫通されるが、ナイトは寧ろ攻撃の隙を作るためにコンマ数秒程度の時間稼ぎをすることが目的であった。

(このまま中距離で攻撃を受け続けるのは危険だ、この一瞬で近距離に持ち込む!)


「お前は近距離戦闘が得意でない筈だ!悪いがそこを突かせてもらうぜ!」


ナイトは炎壁の脇から飛び出し駆け寄る。だがワターの表情は冷静だ。剰え笑っている。


「あいにくだね。確かに僕は近距離戦闘は得意じゃない。だが……」


ワターは地面に手をやる。


「〈水落つる(ウォーター・ハザード)〉!!」


半径5m圏内。ワターの絶対領域とでも言わんばかりにワターの周囲半径5mに水のドームが拡散する。そして入り込んだ者には制裁を。


「!!?ぐおわっ!!」


ナイトはその5m圏内においてワターの攻撃を受ける。拡散するドームに押し出されるように後方へ吹き飛ばされる。


「無鉄砲な近距離戦は僕の獲物さ。僕の〈水落つる(ウォーター・ハザード)〉の範囲は僕の領域。君の得意が近距離戦ならこの領域に踏み込み僕に一撃食らわす必要があるけど……まあ無理だね。この領域はただの水たまりじゃない。」


半径5mで展開される水たまりのようなその結界から、噴水のように水が6、7本鉛直上向きに噴き出す。さらにそれは大きくうねり、旋回し、そして吹き飛ばされたナイトに向かっていく。ナイトはすんでのところで回避するが、外れた後も水たまりから攻撃に扱う水が噴き出す。


「この領域は言わば"砦"だ。中の者に攻撃しようとする存在を拒み、一度侵入した者に攻撃を仕掛ける媒体となる。当然僕は君を攻撃し続けるがね。さあ、どうする?近距離が専門職だろう?」


「くそっ、厄介な能力だぜ……だが、打つ手はある。」


「ほう、見てみようじゃないか!相性が悪く強者たる僕に、君がどう立ち向かう?見ものだな!!」


「へえ、相性、ねえ……」


 ナイトは不敵な笑みを浮かべる。


「これから俺はお前より上だってことを証明する。そしてお前が目覚めた後、俺達はお前らこの城の人間より強いことを知る。覚悟しな!」


「望むところだ!!〈穿岩水砲(せんがんすいほう)〉!!」


 ナイトの立っていた位置の心臓の位置を狙った水の攻撃をナイトはくぐり避け、ワターの正面から飛びかかって斬りかかる。


「ハッ!そんな攻撃、僕が迎撃できないと思うのか?バカめ!!〈穿水閃(せんすいせん)〉!!」


 その一撃は眼前のナイトを切り裂いた………………かに思えた。人間的に、空中にいる人間は攻撃に対して無力である。………………はずであった。

 しかしナイトは、瞬時にワターの眼前から消えた。

 剰え、別の、極めて不愉快な感覚が、ワターの背中を走った。


 痛い。


 ワターは背を斬られていた。

次回、決着やいかに

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