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ダブル・アビリティー  作者: はやぶさ7ごう
第一章 氷の王編
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第九話「実力と要塞」

こんにちは、はやぶさ7ごうです。


カメラにハマりました。

 人体を容易く砕く膂力。

 常人を圧倒する機動力。

 堅牢の限りたる防御力。


 まさに隙なし、である。


(くっそっ、ナイトもモーニンもまだ着かない……。パワーもスピードも氷の王(アイツ)が上、俺の攻撃は氷に阻まれてろくに通じない……やれやれ、勝ち目が見えねえじゃねえか。)


「観念したか?いかに貴様の能力が奇怪であっても、私の氷は優越しない。」


 王は孤高に佇み言い放つ。

 そして両手を返すように動かした。瞬間、ランチの腕を鮮血が走る。


「がああああっ!!!……くっ、床から…」


 見ると、エドワードが先ほど発動した氷の床から氷の槍が伸び、ランチの両腕を貫いていた。


「安心しろ、今から私は貴様を殺す。その両腕の痛みは直に消えるだろう。」


「く、テメエなんぞに殺されてたまっかよ!俺は、俺達はまだこれから世界最強への旅をしなきゃなんねーんだよ!!」


「問題無い。貴様の兄弟も同様に処分するからな。私の部下が処分している筈だが……まあいい、できておらずとも、私の敵ではない。」


 エドワードは〈四肢獅子(ししじし)〉を解除する。

 こらえたものの少し前のめりに倒れかけて、再び視線をランチに向ける。


(なぜ技を解除した?ガードできない俺を殴れば殺せるだろうになぜ……?

まさか、こいつは、自分の能力をまだ完全に制御出来てないのか……?)


「……くっ、貴様をこのまま殴り殺せればいいというのが本懐だが……今の私では叶わぬようだ……」


 エドワードは震える左腕を押さえる。見ると、能力を解除したにも関わらず、手が部分部分凍てついている。


 間違いない。エドワードは能力を完全に扱えていない。


 その考えが浮かんだランチだった。が、実際のところ()()()()()()()という話だ。ランチは今両腕を押さえられ、身動きが取れない。その気になれば、エドワードが能力を使わずに剣で首を飛ばせば殺せる。

 だが、エドワードは無闇に攻められない。なぜなら、ランチという男の能力が掴めないからだ。急激な膂力の増強、浮遊、一体何の能力なのか?それが掴めない以上、無闇に攻めるのはカウンターのリスクになる。






 先に動いたのはランチの口だった。


「……お前は、俺を殺せない。」


「……ほう?そのような根拠に乏しいことを、なぜ言える?」


「お前は、俺達を戦力にしようとしている。戮滅の王ってヤツを倒すために。そこで無為に俺を殺すヘマはしないだろ。それと、俺の能力を恐れてる。違うか?」


「……成る程、確かに私は先程まで貴様等を戦力に取り込もうと画策した。だがもうその必要はない。貴様等は強情だ。取り込んだ後に反乱を起こされても仕方がない。」


「反乱?お前は王だろ?氷の王、エドワード・G・カリキュラム。軍の一つも統制できずに王を騙るつもりなのかよ?」


「黙れ!私はこの国に再び平穏を与えるため、奴を倒すのだ!貴様等にはわかるまい!」


「ああわかんねーよ!俺達は流浪人だ、この国に縁もないし、お前らの復讐劇にも興味はない!だが、その戮滅の王が強いヤツなら、俺達は必ず倒しに行く!お前みたいに俺の能力二つにビビり上がってる王なんか蹴散らしてな!!」


「……っ!私が貴様の能力に恐怖しているだと………?ふざけるな!貴様を殺す手を試行し終えた。もう貴様の命は終わりだ!」


 互いの気が昂る。

 エドワードの腕に再び氷が張り、ランチは残された足を構える。


 突然、エドワードから氷の槍が発射され、ランチの足へと向かう。

 まさに当たろうかという瞬間、ランチは両腕を貫く氷の槍に重心を置いて足を浮かせて避け、さらにその足で両腕の氷を砕き折る。


(へっ、会話の時間で氷にしがみついて重力を消しといてよかったぜ)


 と、ランチが安心したのも束の間、エドワードは〈四肢獅子(ししじし)〉形態と化して迫る。痛みを抑え込んで迫るその表情は、まさに獅子だ。


「やっべッ」


「遅い!食らえッ!!」


 エドワードの右ストレートがランチに炸裂する。ランチはガードするも、左腕がメギリという音を立てて折れ、そのまま強く吹き飛ばされる。


「ぐぅぅぅっっ!ったく、腕がもたねぇっての……」


 減らず口を叩くが、ランチの状態は逼迫していた。既に出血が多く、いくらか骨も折っていた。あまり長くは戦えない。ただ今思い付く方法は、なるべく粘ってナイトとモーニンの到着を待つことと、再び能力の過剰使用で隙を晒す瞬間を攻撃するぐらいしかなかった。そのいづれも今のランチの状態では厳しい。




 すると、策を講じれず悩むランチを包む土煙に、突如青白い光が差す。

 何事だ、と思ったランチに、瞬間、絶望が襲いかかる。


 それは、エドワードの腕から、能力の攻撃、いや、もっと言えばそれは能力そのものに近しい、氷の力の砲撃だ。


「貴様は私の能力の限りで殺す!この技を受けて凍て死ぬがいい!!

 〈極凍砲(ごくとうほう)〉!!!」



 氷のエネルギーが、真っ直ぐランチ向けて放たれる。

 重力消去分で殴ったところで凍らされるだけだ。

 逃げようにももう間に合わない。

 ナイトの姿も、モーニンの姿もない。



 この状況下でランチは、あっさりと"死"を受け入れられた。

 攻撃を受けて成す術無く死ぬ。そう、エドワードもランチも思っていた。

人物紹介


エドワード・G・カリキュラム

能力 氷を操る/硬質化

自在に氷を操り、その氷を強固なものにしている。その防御性能は高く、また凍結能力も強靭なことから、「氷の王」の通り名で畏れられる。




次回で第一章はほとんど終わりです。

乞うご期待。

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