本選の始まり
壊れかけた石の柱が何本か倒れていて足場は悪く見晴らしも悪い。そんなところに5人は立っていた。
腕にはめられた時計には今の生存者の数が表示されている。
100人。また、始まってしまったのだ。
「休憩とか無しかよ」
八つ当たりのように呟いたが何にも変わることはなく、メニュー画面を探した。
注意事項と書かれた赤文字が表示されていた。
押すと画面が灯影されて皆で読めるようになる。
「こんな機能があるんやね?あたしはさっさと死んじゃったし何にも出来なかったから今回は期待しててよ!」
内田沙耶香はそう言うと準備運動をし出して奥田澪は文字を読み出した。
今回のルール。
1、制限時間は24時間以内とする。
2、最期のチームが残るまでとする。
3、離脱は残り10人迄になる前までに限る。
4、1時間毎に行動エリアが狭まっていく事とする。
5、チームの変更および人数変更はできないものとする。
6、兎に角、殺しまくれ。それが君達に課せられた使命だ。
「って、何これ?」
伊藤香奈の疑問に澪が答えられる範囲で補足をした。
離脱の事や途中でのチーム変更が前回の時には出来た事等を事細かに話した。
「お前らよく知らない奴と組んでられたな?」
「仕方ない。皆が納得したからな。私は反対だった。沙耶香を撃った奴など・・・」
「あっ、わりぃ。」
「構わない。沙耶香を生き返らせてくれたんだ。それだけで十分だ」
水谷優は自分の失言に反省した。
前回の戦いでは自分達以外はどんな死に方をしたかわからないが、たまたま自分達は誰一人欠かす事なくクリア出来たのが奇跡であると自覚した。
「1時間毎にエリアが狭まるってのが気になるわね?」
牧野美弥が言葉を繋いだ。
賛同した香奈も読み返してみる。
「まずはさ、ここにいたって仕方ないじゃん?武器を探しに行こうよ。あたしら、まだ丸腰なんだよ?」
沙耶香の言う通りで武器は何一つ持っていなかった。
「じゃー手分けしてこの遺跡を探して、あとさこの近くの建物に行かないか?ほら、ここに何軒か有るしさ?」
優が提案すると沙耶香は荷物をごそごそ探したあとに皆に提案があると言い出した。
「ここってマップの中央辺りに位置するじゃん?ならさ、先にあそこの山に罠だけ仕掛けて来てもいいと思うんだよね?ほら?これもなんか一杯有るし?」
というと、腰に吊るしたポシェットからは手榴弾がポロポロと出てきた。
弾を無限にとはいっても手榴弾までとは思わなかった。
その提案に香奈と美弥は賛成すると勝手に決まってしまった。
優には選択権はないらしい。女性がほとんどのチームになってしまったので以外と肩身が狭い。
そう決まると沙耶香と澪は山の方に向かって歩いていってしまった。
無線の使い方はお互い知っているのでそこまでは心配はしていないがさっさと人数的有利は消え去ってしまった。
「優、私たちも行くわよ?」
「優くん、行こう。」
香奈と美弥の声に促されて後を追うことになった。
遺跡の中にはS686、S1897が落ちていた。どちらもショットガンなので近距離でしか使えない。
ないよりはましと言うことで香奈と美弥が持っている。優は未だに丸腰のままだった。
グリップやストック、スコープ等の補助的な物は有るのだがなかなか他の武器はなかった。
やっとこさ見つけたのがハンドガンである。
優は早速弾を込めると腰に差した。
「ちゃんと安全装置ロックした?こんなところで暴発なんて洒落になんないわよ?」
「わかってるよ。ちゃんとかけたって!」
いちいち細かく注意される。確かに素人なんだから仕方ないと言えば仕方が無いことだった。
民家の方に歩いていると丘の向こうの方で銃声が響いてきた。
「あっちではもう、殺りあってるのかよ。なんか早くねーか?」
そういって生存人数を見て驚いた。もう、85人になっているのだ。
「嘘だろ?まだ1時間も経ってないんだぜ?」
香奈は呆れたような目線で美弥は少し微笑んでいる。
「あれ?おかしな事言ったか?」
「前回のは予選で今回のは本選って言ってたでしょう?どういう事か分からないの?予選を勝ち抜くような実力者しかここには来てないって事よ!」
「嘘だろ?」
「あんた、分かってないで来たのね?ほんとに呆れた。」
「大丈夫。私達がついてるから」
美弥は自信満々に答えてくれる。そして・・・。
「ショットガンだけじゃまだ心もとないけど・・・」
と付け加えた。




