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サバイバルゲーム  作者: 秋元智也
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決死の覚悟

屋上で見ていた足立亨から車の接近を知らされた。

「ジープで接近中。運転席に一人だが・・・」

それ以降の返答がないので聞き返そうとすると、牧野美弥から補足が入った。

「下に潜り込んで運転している模様。狙撃は無理。車ごと破壊する気で撃ち込めば別だけど・・・」

「そこまではしなくてもいいわ。侵入してから対処しましょう?」

伊藤香奈も暫く接近するまでは放置することにした。

もう、マップには居場所が示されて居ない為、さっき居たところからどちらに動くかを考えながら動く必要があった。

「足立くんと、優はそのまま来ている車を見張りながら対応して、美弥ちゃん?これから裏のもうひとつの橋の方へ移動するわ。そっちからも数名来ていた筈だから。」

「分かった、でも後から来るのは一人だよ。さっき銃声がやんだときに人数が減ってたもん」

「了解、行くわよ」

呼ばれて、横から立ち上がると荒川千尋はそのあとを付いていった。


ジープに乗り込んだ男はもうやけくそと言った感じだった。

なぜならば先程まで3人でいたというのに、先に行った先発隊はあっという間に殺られてしまったからである。

レンズ越しにずっと眺めていたが、全く近づける気がしなかったのだ。

どうしたものか?と思いメニューから離脱を選ぼうとしたがどういう訳か選択出来なくなっていた。

「くそっ。どうなってやがるんだ!冗談じゃないぞ!強すぎだぞ。一体どんな奴等が居るって言うんだ?」

考えた末、ジープのハンドルを固定すると、身を屈めて中に入り込むとアクセルを押し込んだ。

体にクッション代わりにと、ベストや洋服を丸めて固定した。

そう、このまま壁に穴を開けるつもりで突入するのだ。

狙撃は体勢が低く当たることはないだろう。

車ごと破壊という手も有るにはあるがよっぽど何人かで打ち込まないと無理だろう。

先程の狙撃でサプレッサー持ちが一人管制塔の上に、そしてスナイパーライフル持ちが屋上に一人とこの二人は連携がとれているため仲間に違いなかった。

しかし、それ以外に何人かが隠れ潜んでいるが、果たしてこちらにとって吉と出るか凶と出か・・・。

そのまま壁に激突していった。



裏に回ると倉庫の並ぶ通りを抜けて平屋の事務的な施設が入っている建物に差し掛かると気配を感じて千尋を引っ張った。

「誰かいる」

香奈に言われて緊張が走る。

ここまで生き残れる実力者か、隠れてやり過ごした運任せかは別として、ここにいる以上は殺りあう為に来ているということだった。

男であろうと、女であろうと容赦はしない。

ついさっきそれを痛いほど実感した千尋は油断しないように身構える。

相手もバカではない。足音も全く聞こえて来ない。

ほんとに来ているのかと疑問になったが香奈の勘に賭ける事にした。

キィーーー。っと静まり返るなか奥の扉が開いた。

ここの扉は鉄で出来たがっしりした物であるため、風で開く事などあり得ないのだ。

小声で『回り込むからあんたはここに居なさい』と言われた。

離れていく香奈を見送り、千尋は刻一刻と近づいてくる誰かに焦りを感じていた。

やはり一人で迎え撃つのは怖いのである。

今無線を使えば確実に敵にも聞こえてしまい、こちらの人数もばれてしまう為そんな愚策は取れない。

だからといって今一人でいるのも心許ない。

バクバクと鳴る心臓の鼓動が段々と大きくなっていく気がして、相手にも聞こえているのではないかと心配になってきた。

扉のスキマから覗くと黒い影がこちらに近づいてくる。まさに取っ手に手をかけたとき奥から香奈がショットガンを撃ち込んだ。すぐに横に飛んで避けるとサブマシンガンで応戦してきた。

千尋の出番は扉の裏に張り付いて敵が入ってきた後ろを撃つことである。

今加勢してしまうと計画が変わってしまう。

しかし、香奈一人で大丈夫なのかと不安で仕方がないのも事実だった。

だからといって自分に何ができるかと言われると何も言えなかった。

一旦静かになるとジリジリと近づいてくる音がした。ゆっくりと扉が開き低い姿勢の男がゆっくりと屈みながら入ってきた。

千尋が暗闇に隠れているとも知らずに・・・。

部屋に入ってきて扉を閉めたタイミングでM249通称ミニミの引き金をオートにして撃ちまくった。

千尋に気づいて驚きの表情を見せたが直ぐに物言わぬ死体へと変貌した。

撃ちすぎなくらい撃ち込んだために誰だか分からないくらいに惨たらしい死体になってしまった。

香奈に止められ。終わったよ。と言われるまで撃ち続けていた。

手にはまだ撃ったときの震動なのかそれとも恐怖から解放された震えなのか分からないが手は痺れてガクガクと震えが全身を駆け巡った。

香奈にぎゅっと抱き締められて、その柔らかさと温もりにホッとするといつの間にか震えは止まっていた。

「落ち着いた?」

「なぁ、俺さぁ~カッコ悪いよな?」

無理矢理笑うとどこかひきつった笑いになってしまった。

「そんな事ないよ。最後はあんたが仕留めたんだから!胸張っていいのよ」

「女の子を囮にしてか?」

「そんな事気にしないの!結果よければ全て良しってね」

頬に香奈の柔らかい唇が当たるのを意識すると千尋は慌てて真っ赤になって口ごもった。

「あっ。・・・あの、えーっと、俺とさ」

「帰ってから聞いてもいい?」

「もちろん」

千尋は香奈の腕を掴むと自分の方へと抱き寄せた。

香奈も拒む事なく大人しく千尋の腕の中に収まった。



「このままだと突っ込むぞ!」

亨の掛け声で一階で見ていた優が窓際から急いで離れる。

するとそこに派手な音をたてて窓に突っ込むぞジープがあった。

「優、大丈夫か?」

「あぁ。無事だ。今から敵を拝みに行ってくるぜ」

そう言ってゆっくりとジープに近づいた。

中にいる人は衝撃で気絶でもしたのか全く動きはなかった。

優はゆっくりと助手席のドアをゆっくりと開けた。中を覗き込もうとしたがこちらに銃を向けているのに気づき即座に横にずれる。

ダダダダダダダダーーー。

いきなりの連射にドアはボロボロになったが未だにこちらに出てくる気配はない。

視界に入らないように匍匐前進して反対側に回ってから仕留めた。

どうやら突っ込んだときにエアバッグが開いてそれが予想外に締め付けて身動きが取れなくなったようだった。

たまたま助手席側から出ようとしたところでドアが開いたので撃ってはみたが優に避けられてしまい、身動きが取れない運転席の窓ごと銃撃されて息を引き取った。

憐れにも間抜けな特攻男であった。

「全く迷惑なヤローだぜ。こっちは構えてたのに突っ込まれたらビビるだろうが!」

「無事だったから良かった。怪我はない?」

美弥は優の心配をしてくれた。

「大丈夫だって。結構丈夫に出来てるしな。これで帰れるな!」

ニコッと笑顔を見せると美弥も嬉しそうに微笑んだ。

「そろそろいいかな?お二人さん?」

横からさっき下りてきた足立亨の姿があった。

「そっちはどうだった?」

無線で香奈と千尋に呼び掛ける。

「ちゃんと倒して生き残ってるわよ~」

なぜかいつもと声色が違う事に疑問を感じたがあまり気にしない事にした。

「じゃー一旦合流すっか?」

優は背伸びをすると香奈たちの方へと歩き出した。

そこでいきなり真っ暗な空間に立っている事に驚きを感じた。

「これはどーなってるんだ!」

優の声に香奈が反応した。

「優?そこにいるの?」

香奈の無事を確認すると、先程まで近くにいたはずの美弥の存在が心配になった。

「香奈か?美弥ちゃんは?」

「ここにいます」

直ぐに返事が返ってきて安心した。声は近くで聞こえるのだが、人の気配が全く分からない程の暗闇というのも不安を増長させるのであった。

「俺もいるぜ」

「忘れないで欲しいな」

全く心配されてないことにわざとらしく千尋が声を出すと、それに同調するように亨も無事を知らせた。

「おぉ、いたのか?」

「って、優の癖に生意気だ」

「後でとっちめてやる」

声のする方へ、手を伸ばす千尋だったが空を切るだけで終わった。

「声からすると近いんだがな。掴めないのが何だか気に入らないな」

冷静に亨が周りを手で探るが何も掴めない。






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