決戦
橋のたもとにいたのは2人だった。
しかし、マップを見た時にはもっといたような気がしていた。
澪は周りを見回したが何も見当たらない。おかしな違和感を感じつつも後ろを振り向いては確認する。
「何そわそわしてるんだよ!目の前にいるっつーの」
俊介は澪の反応に気づくと集中してくれと促す。
向こうは距離もあり手榴弾を投げられる距離ではない。となれば後はゆっくりと仕留めればいいのだ。
そう思っていると敵の背後の山が動いていることに気がついた。
「おい、山が沈んでないか?」
澪の言葉を受けて俊介は先程来た方角を眺めたあと、驚愕の色を浮かべた。
まさか、島ごと沈んでいるのかと・・・。
橋の中央に亀裂が入ると慌ててこちらに走ってくる人影に澪は照準を合わせる。
「絶好の的だ」
引き金を引くのと、近くの橋の下からコロコロと何かが投げ込まれて来たのが同時だった。
タタタッ。タタタッ。
と橋の上にいた2人を倒すのを優先した為に気づくのが遅くなってしまった。
「隠れろ」
澪の言葉に一転歩遅れて俊介が車の後ろに身を隠すが、澪は間に合わない。
そこで強い閃光が走り、辺りを包み込む。
それとほぼ同時に キィーーーーーン。
という音と共に、耳に膜でも出来たかのような現象がおきた。
そのあとは平衡感覚もままならない、立っているのもきつくなって地面に手をついた。
耳も未だに回復する気配もない。しかし、敵が近くにいるのは確かなのだ。
目もはっきりとは見えない。手榴弾の中でもたちの悪いものだった。
スタングレネード。閃光が走り鼓膜が暫く痙攣する。
その事で近くにいる者を一瞬で動けなくする。
殺傷能力はないが視覚、聴覚、平衡感覚さえも使えなくさせられてしまうので生きたままの捕獲に使われるものだ。
しかし、ここでは生きたままではクリアにはならないので、どこかから狙っているのだろう。
動けない体を必死に起こし、立ち上がろうとするが、なかなか体がいうことを聞かない。
聴覚が宛にならないのならどうしようもないと思うと車の下に潜り込んだ。
回復するまで隠れたのである。
近くで銃声が響きわたった気がした。
誰が撃っているのか等、知るよしもなかった。
それと同時刻、俊介は車の後ろに隠れて耳を塞いだのである。なぜならば、ただの手榴弾が投げ込まれたのだと思ったからだ。
しかし、いっこうに衝撃が来なかった。
目をぎゅっと瞑っていたお陰か全く影響を受けなかったのである。
ある意味奇跡としか言いようがなかった。
それから橋の下から出て来ようとしている人影に向けて牽制で撃っていたのだ。
澪は前で踞っているため反撃は出来そうになかった。
何か様子がおかしいが、そんな事に構っている余裕などない。
こちらに引き付けておかなければという正義感で撃ち続けている。
残りの弾薬も少ない。撃ってるうちは隠れているが撃つのをやめるとこちらに来ようとする。
このままだとじり貧だった。
ゆっくりと澪の方を見ると車の下に入り込もうとしていた。
一旦撃つのをやめると車の後ろに隠れた。
橋の下から少し頭を出したかと思うとまた、なにかを投げてきた。それもいくつもだ。
手榴弾の応戦か?と思うと煙幕で前が全く見えなくなってしまった。
「バカじゃねーのか?自分だって見えねーじゃん。晴れた瞬間が勝負だ」
俊介はAKを構える。
しかし、煙が充満したなかで敵はガンガン撃ってきていた。
「当たるかよ」
余裕で見ていることが出来た。
カーン。カーン。カーン。カーン。カーン。
車にあたって全弾、弾かれている。澪が必死に這い出てくると俊介の腕を掴んだ。
「走れーーー」
何が起きたか理解できなかった。
俺達は有利な状況だろうというのに逃げる意味がわからなかったが直ぐにそれを理解することになった。
カーン。キーン。ボシュッ。
引火する音がして車が炎上。そのあとで起こることと言えば・・・。
ドッカーーーン。
大きな火花を巻き上げて爆発したのだ。
爆発の影響を受けて地面に叩き付けられた。澪は転がって衝撃を和らげるとスカーを構えた。
タタタッ。タタタッ。タタタッ。
と敵に放つが倒せたのは一人だけだった。
舌打ちをすると、弾倉を入れ換えて装填すると引き金を引いた。
嫌な音がして弾薬が詰まった音がした。
こんな時に詰まるなんて!と愚痴りたいがそんな余裕はない。
すぐさま銃を捨てると腰のハンドガンを取ったときには体に痛みを感じた。
「このぐらい何だと言うのだぁーーー」
敵を狙うが視界が霞んで旨く当たらない。
「こんな時に・・・」
隣の俊介は衝撃で未だに地面に転がっている。
銃は吹き飛ばされたのか近くにはなかった。
薄れいく意識の中、今だに諦めず銃を握る自分の手を見つめていた。
俊介は爆発の衝撃で息が出来ず苦しんでいた。
息を吸い込もうとしては、うまくいかず咳き込んでしまう。
落ち着け自分。何度も言い聞かせながらゆっくりと呼吸を整える。
やっとのことで息を整え、起き上がろうとすると目の前に見知らぬ男が近づいて来ていた。
銃を探すが吹き飛ばされたのか見当たらなかった。澪はどこだ?
と探すと、男の足元で血まみれで横たわっていた。
「嘘だろ?」
俺に出来ることはないのか?
必死に周りを見渡すが何もない。腰に手を当てるとハンドガンがまだ残っていた。
相手の持っているのはショットガンなのでハンドガンで太刀打ちなどできようはずもなかった。
それでも、今出来ることは相手に少しでもダメージを与えること。
「うまく相討ちにでも持っていけたら上出来だよな?」
そう心の中で問いかけると、腰のハンドガンを引っ張り出した。
引き金を引くのと敵のショットガンの弾けるのが同時に響いた。
バシューン。パーン。
敵の頬には一筋の擦り傷が出来ていた。
生存者は残り7人になっていた。




