共闘
荒木俊介と犬飼要と奥田澪の三人は回復キットがないと心もとないと結論付けると、次の目的地を北上したところの病院に決めた。
隠した車を出してくると犬飼要が運転して向かうことにした。
途中で民家によりながら弾薬や包帯を回収した。
包帯は巻いてしばらくすると消えてなくなり、巻いたところの傷も消えていた。
多少ならこれで十分だった。
しかし、重症を負った時にはそうはいかない。
医療キットは傷は治るが表面上だけのようだ。
そして、回復キット、コレが疲れも傷も出欠も全部を治すのだ。
違いは内部の貧血までも治してしまうところにある。
戦っている最中なら回復キットの方が体力も完全に元に戻るのですぐに戦闘に戻れるのだ。
ケースの色で別れているようだ。
白いケースにみどりの十字架が医療キット、赤い十字架が回復キットという具合だった。
病院にに着くと陰にバイクが隠して停めてあった。
「先客がいそうだな?」
「警戒しながらいかないとな?」
「そこにいるのは誰だ?さっさと出てこないとこちらから行くぞ!」
澪がいきなりバイクの近くの茂みに銃を向けた。
「出てこない気か?」
ジャリっと、また一歩近づく。すると奥から両手が延びてきた。
真っ直ぐに上に手をあげて出てきたのは小島健二だった。
「撃たないでくれ」
「そんなところで何をやっている?ただのかくれんぼというわけではあるまい?」
「・・・隠れてた、こんなこと誰がやりたいんだよ。冗談じゃない。俺は帰りたいんだ。死にたくなんかないんだ。グフッ・・・」
いきなり叫びだした小島健二の鳩尾にグリップを叩きこんだ。
「静かにしろ。死にたいのか?」
「澪の言うとおりだ。ここで騒ぐようなら容赦はしない。」
澪に続いて要も忠告をする。
荒木俊介だけが近づいてってポンポンと背中を叩く。
「俺達と行くか?このままここにいてもどうしようもないだろう?仲間は?まだいるのか?」
「・・・」
黙ってしまったが澪に睨まれると、素直に白状した。
「達也さんと和彦が中にいる。俺はそんな勇気はない。敵がいるっていうのに入っていったんだ」
「なるほどな、それで一人でここにいたって訳か・・・俺らも中に行くから健二も来い。共闘した方が安全だろう?」
犬飼要の言うことに荒木俊介も賛同して誘ってくる。ただ、一人を除いては。
それから一緒に行動することになり一階から散策することにした。なのも残ってなかったせいかスムーズに進んでいく。別館の方で銃声が聞こえた。
「近いな。行ってみるか?」
「そうだな」
澪が先に先頭切って安全確認と前方を見る。後方は荒木俊介と小島健二だ。
澪の傍らには常に要が付き従った。連携も大分と取れるようになってきていた。
相手と反対をいつもきにかけて確認する。
同じ方向を見ていては時間的にも敵を素早く見付けられないからである。
「息が合ってきたなぁ~アイツら」
「えっ?」
ボソッと漏らした俊介の言葉に健二は聞き返した。
「あの二人だよ。最初はあんなんじゃなかったんだけどな」
微笑ましく眺めていた。まるで保護者かっという突っ込みをいれたくなる光景だった。
「いたぞっ。止まって」
いきなり澪が止まると角の先を見つめた。向こうは交戦しているようだった。
敵は後ろを向いている。今ならチャンスだった。
「要、さっきのっ」
「わかってるよ、さっきの分かれ道から反対側に回れって言いたいんだろ?」
「そうだが、よくわかったな?」
「それは、君だけを見てるんだから当然だろう?じゃー行ってくる」
恥ずかしげもなく言ってのけるとすぐさま戻っていった。
後には頬を真っ赤に染めた澪の姿があったことなどつゆにも知らず、残された方は恥ずかしくて何も声をかけることも出来なかった。
「あのさ、あんな奴だったか?」
小島健二の問いに荒木俊介は首を振ると。
「それ以上言うな」
と、返事を返した。
反対側に回り込むと要が合図をした。
それに合わせて澪が動き出す。犬飼要のショットガンで後ろからの牽制をして、ついでに手傷もしっかり負わせて逃げられないようにした後に澪が的確にトドメをさしていく。
三人はあっという間に倒すことに成功した。
余りの鮮やかな戦いぶりに健二は怖くなった。
このまま達也さん達と合流して共闘するのはいいが、そのあとは・・・。
使い捨ての駒にされるんじゃないか?と。
不安は消えることなくだんだんと膨れ上がっていくのだった。
生存者残り34人。次第に少なくなる中で駆け引きが始まる。




