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サバイバルゲーム  作者: 秋元智也
35/61

倉庫での格闘

足立亨は煙幕弾を取ると穴だらけになった扉から外に投げた。入り口付近は煙が立ち込めて視界が悪くなった。

「くそっ。煙幕たきやがった。そっちから狙えねーか?」

「こっちは待機する。今から下に行くぞ。人数は2人だけだ」

手榴弾を仕掛けようとした手を止めた。

「仲間との連絡?下にもまだいるのか?」

「なんか奴らも仲間が別にいそうだな?」

「そうだな、もし、仲間に任せて動くつもりがないなら手榴弾は仕掛けても意味がないな」

足立亨はすぐさま無線機で今聞いたことを話す。

「あんたたちは屋上の扉の付近で待機。下からは私たちが行くわ。美弥ちゃんはそのまま倉庫にいて」

香奈の指示が飛ぶなか美弥は走っていた。

「美弥ちゃん?今、何処に向かってるの?」

「管制塔。あそこなら撃てる」

階段を何階分もかけ上がる。

「やめなさい。あそこは向こうからもまる見えなの。そっちからも狙撃が出来るように向こうも同じ事ができるのよ!帰ってきなさい」

「嫌よ。私は外さないし、当てさせない」

上まで上がりきると柵も何も障害物もない、ただの鉄の足場があるだけのところに寝転がると屋上をレンズ越しに見た。入り口に向けて拳銃を構えているのは2名。

「殺るわよ」

「なっ、全くもう。私たちも援護するわよ」

伊藤香奈は自分もレンズに視線を移す。

パシュ。という音と共に一人のヘルメットが吹き飛ぶ。驚いて姿勢を起こしたところで香奈の弾が頭部に命中。

「もう一人。」

美弥はもう一人を捉えていた。そして、敵もまた美弥の姿をとらえている。

何故ならば屋上を狙えるのは管制塔しか無いからだった。

「させるかよっ!」

水谷優が煙幕の中から飛び出してきた。スナイパーライフルとM416なら、勿論M416のが早い。

現に敵は管制塔の方を狙っていたのであってまだドアの反対側にいるなんて思ってもみなかったのだ。

「ガキがっ」

先に足立亨がAK47で敵のライフルを撃ち抜く。

ダダダダダダダダーーーー。

次に水谷優が連射で寝転がっている敵へと弾丸を撃ち込む。

「やったぜ」

「死亡確認した」

ガッツポーズの優と、亨の冷静な状況が皆に伝えられた。

「まだ仲間がいるから気をつけなさいよ?」

伊藤香奈の指示が飛ぶなか、美弥はホッと撫で下ろした。

下を覗くと倉庫に入っていく人影を見付けた。

「倉庫に一名。今から追ってくわ」

一言無線に入れるとすぐに立ち上がった。

「表からは私たちが行くから、裏から来て。優たちは屋上から援護をして」

「わかった。優は弾薬の回収な」

「射程範囲外なんだろ?わかってるって」

亨は上からAKを構える。

その間に香奈と千博が機体から出て倉庫の方に向かう。入り口の壁にぴったりとついて中を伺う。

今のところ物音はしなかった。ゆっくりと左右に別れて中へと入る。

静まり返っているのがよけい不気味だった。

管制塔から降りると息を整えながらゆっくりと倉庫群に近づいた。

千博がゆっくりと近づいたとき前の方に人影を見た気がした。

確かめる為にゆっくりと、慎重に角を曲がった瞬間に目の前に敵の姿が!?

しかも、こちらに銃口を向けて構えていた。

ダダダダダーーーー。

引き金を引くよりも咄嗟に戻って隠れてしまった。

「どうした?」

「2個目の倉庫だ。急いでくれ」

隠れたはいいが足が動かない。弾丸は多少かすったが動けない程ではない。

痛みとかじゃなくて、これは恐怖だった。

ゲーム感覚になってきたところがあったのだが、今のでしっかりと死の恐怖が芽生えたのだ。

「動けよ。俺!こんなとこで死ぬなんてカッコ悪いって」

音もやみ、近づいてくる足音。だんだんとこちらに向かってきている。

千博は後ろへとずりずりと下がっていく。息を呑む音すら大きく聞こえる。

『静かにしろ。隠れるんだ。皆が来るまで待てばいい。』

心の中で反芻しながら時を待つ。

目の前に敵が表れた時にはもうダメだと思った。

すると奥から足音と共に銃弾が飛んできてコンテナに当たり跳弾した。

ダン。ダン。

カキーン。キーン。

敵はマスクが跳ね返った弾丸に当たり落ちた。そんな事を気にも止めず、すぐさま飛び退いていった。

『助かったー』

安堵していると、すぐそばに香奈が来ていた。

「立って、こんなとこで腰抜かしてんじゃ無いわよ。ほら、追うわよ」

「あぁ、今行く」

さっきまでの恐怖で全く立ち上がれなかったのに、香奈が来たお陰か、その心強さに動けるようになっていた。さっき見たのは女性だった。

そう、マスクが取れたとき見えたのはブロンドの成人女性だったのだ。

てっきりむさ苦しい男ばかりと思っていただけに香奈が撃ってきた後にしばし、止まっていたのだ。

返り討ちに出来る距離でもあったのだが、どうしても撃てなかった。

それは恐怖とかじゃなくて、ただ単に驚いたのと、相手と目が合ってしまったからなのだと思う。

二人で追っているとサプレッサーの音が聞こえた。

牧野美弥が撃ったものだ。

今まで彼女は外したことはない。と言うことは、何を意味しているのかを悟った。

追い付くと、そこにはブロンドを乱して倒れている女性と美弥の姿だった。

「ナイスショット」

「ありがとう」

まるでゴルフでもやっていたかの会話に千博は戦慄を覚えた。

これで残り37名となった。


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