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サバイバルゲーム  作者: 秋元智也
31/61

選択

残りの生存者は50人。昨日の夜と何ら変わっていない。

誰も死んでいないと云うことだ。

シェルターの中に駆け込むと壁に背をつけ、姿勢を低くしてタオルを口許に巻いた。

所々に呻き声が聞こえてくる。

「痛い、助けてくれ~」

微かに聞こえる声が金子亮太のものであるのを知ると近寄った。

「何があった?」

「コウジさんから渡された回復があったよな?使ってくれよ」

「だから何があったんだ?」

「このままじゃ皆が・・・友達だろ?」

これでは話にならない。それからコウジを探したが見付けた時には虫の息だった。

これでは話を聞くことも出来なかった。

するとそこでいきなり足を掴まれギョッとしたが、それが荒木俊介のものだとわかると回復キットを開いた。あっという間に傷は回復して動けるまでになった。

「ありがとう。あと、何個有るんだ?」

「一つだ。回復キットだけだ」

「何があったかは後で話す。今はここを出るぞ。」

「要~早く俺も・・・」

体を引きずってこちらに来ようとしている金子亮太の姿があった。

しかし、今は回復出来るのはあと一人だった。

ここで選ぶとしたら奥田澪の方だった。

「悪いな、必ず生き残るから」

そう言うと荒木俊介は奥田澪を見付けると、まだ息が有るのを確かめ、抱き上げて入り口に向かう。

その後を追うようにして犬飼要も外に出た。

荒木俊介は『必ず戻ってくるから』と言い残すと出てきたのだ。

外に出ると誰も居ないのを確認してから回復キットを使った。

これでもう、回復は出来ない。奥田澪は目を醒ますと、いきなり周りを確認してから自分に怪我がないかを確認しているようだ。服は多少焦げたようだがそこまでボロボロという訳ではなかった。

「何があったか、話してくれるか?」

犬飼要にはまだ理解が追い付いていない。一体何があってこのような状況になったのか?っと。

その間に荒木俊介は皆を外に運び出すといって戻っていった。

奥田澪はポツリ、ポツリと、見た事を話し出した。

中には誰の気配もなかったこと。

血まみれの死体が転がって居たこと。

そして所々にトラップとして手榴弾がくくりつけられていたこと。

入り口のものはコウジが気づいて外してから進んだのだが、あまりにも多く、そして嫌がらせのように色々なところにくくりつけられていてそれの一つに誰かが引っ掛けたらしいのだ。

それで他のも一緒に爆発してしまったと。

金子亮太を連れて帰って来た荒木俊介にトラップの事を聞いたが引っ掻けた覚えはないというのだ。

そこで考えられるのは、金子亮太だった。

「亮太、しっかりしろ?」

「回復を・・・」

「すまない。もう、ないんだ。」

「もう一個持っていただろう?」

「それも、もう使ったんだ」

「嘘だろ?いてーんだよ。なんでこんなことになるんだよ」

足が吹っ飛んだのか、膝から下がなかった。血が溢れてきていて顔色がみるみるうちに土気色になっていく。痛そうなのはわかる。でも、助かるには必要な人選をしなくてはならなかった。

犬飼要の選択はコウジと奥田澪の二人を選ぶつもりだった。

しかし、コウジはもう息をしていなかったのである。

次に考えられるのは荒木俊介を選ぶべきだと直感的に思っていた。

「ごめんな。こんな選択しか出来なくて」

聞こえているかどうかはわからないが、意識が朦朧としていてほとんど反応が返って来なくなった。

「ごめん。でも、ありがとう。これでまだ戦える」

奥田澪は冷静に判断してくれたことに感謝した。

こんなところで男の友情ゴッコなどと言われては堪らないと思って言った言葉であった。

「そんなことはないよ。奥田さん、君が生き残れるのなら俺達を犠牲にするのは構わない。いや、それで生き残れるのならそうしてくれ。ここでやっていくにはそれがベストなんだ。それに、君には生きてて欲しいんだ」

犬飼要の言葉をどう受け取っていいかわからずにいるといきなり笑われてしまった。

「なっ、何が可笑しい?」

「いや、これでも告白のつもりだったんだけどなぁ~君の事が大事なんだ。」

「はぁ?何を世迷い言を・・・今だけの錯覚だろう?」

頬を真っ赤に染めて後ろを向いてしまった澪に犬飼要はそっと後ろから抱き締めた。

「錯覚じゃないさ。ここを出れたら、もう一度言わせてほしい。いいかな?」

「元の生活に戻っても同じ事が言えるなら言ってみるがいい。私は錯覚など認めん」

スタスタと歩いていってしまった。

「おいおい、どうしたんだよ?お前らしくないぞ?」

荒木俊介が近寄ってきてじっと見つめてきた。

「そうだな。でも、俺らしいってなんだろうな?」

「まぁ、今は生き残る事を考えるとするか?」

「あぁ、そうだな」


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