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サバイバルゲーム  作者: 秋元智也
29/61

失策

夕刻に差し掛かり一旦近くの家に車を止めると朝になってから地下シェルターを目指そう、と言い出したコウジに従って民家で一晩過ごすことにした。一軒家の電気を二階にだけ灯すと、そこから一番遠い民家に入った。

荒木俊介が電気を灯すと、直ぐさまコウジに消されてしまった。

「電気をつけるんじゃない。ここに人がいるって言ってるようなもんじゃないか?」

「あぁ、確かにな」

「コウジさん。さっき二階にだけ電気をつけたのは何でですか?」

荒木俊介と同等の金子亮太も分かっていなかったらしい。

「陽動作戦ですね?」

犬飼要は即座に指摘した。

「車が置いてあるのに誰もいないなんて思わないだろう?だったら、ここにいるよって思わせて別の所から見張った方が相手にこちらを悟られずに済むからな。こんなの常識だぞ。」

コウジは呆れると二人の頭をグシャグシャと撫でて、よーく覚えておけよ!っと。まるで教師のようにいなした。



その頃酒井学は一人で地下シェルターを見張っていた。

なかなか帰ってくる気配はなく一旦、場所を離れることにした。

少し行ったところにある空き家で夜を過ごそうとむかったのだ。

暗がりのなか歩いていると一件だけ二階の電気が付いていた。その側には車が停めてあった。

「ちっ、誰かがいるのか?」

その家を避けて他の家に入ろうとして足を止めた。誰かに見られているような嫌な感覚だった。

迷彩ジャケットを着ているのだから草むらは目立たないが家の側を歩くと異様に目立ってしまう。

顔をガスマスクで覆っていたので怪しさ満載だった。

こんなところで死ねないからな。この辺は諦めるか!と思いさっきあった車を拝借しようと手をかけた。

その時微かな息つづかいに気づいて振り返った所で腕に痛みと衝撃を受けた。

気づいた時にはもう遅かった。車に伸ばした手の先が無くなっていて、込み上げてくる鉄分の味に目眩がしたかと思うとその場に倒れていた。

「チキショー。こんなところで死ぬわけには・・・しんじの・・かた・きを」

近寄ってくる足音に意識は遠くなり、暗い、真っ暗な闇へと沈んでいった。



夜も更けた頃、一つの人影を見付けた。見張りをしていたのは荒木俊介だった。

「おい、起きろ。誰か来たぞ」

横で寝ている金子亮太を蹴り起こすと皆に知らせるように言う。

蹴られたせいか不機嫌だったが、状況が状況だったのですぐに皆を起こしにかかった。

「どうした?」

一番に駆けつけたのはコウジだった。

今ではすっかり頼りになる兄貴であった。

「侵入者です。見た限り一人だけのようです」

「そうか、俊介はここで引き続き見張ること、無線は開いとけよ」

「了解」

「嬢ちゃんは俺と共にこい。要と亮太はこの家の入り口を見張ってろ。誰も入れさすなよ」

「任せろよ」

金子亮太は元気よく返事をした。

しかし、犬飼要だけがどうしても気に入らない。

「俺も連れていって貰えませんか?」

「来たいのか?自分の身は自分で守れよ。それが守れるならついて来い」

「はい。」

「どうしたんだよ要らしくないじゃん?」

金子亮太は不思議そうに首を傾げた。

「いや、気まぐれだよ」

そういって誤魔化すと二人の後を追って駆け出した。

荒木俊介はその後も敵の行動を逐一報告してきた。

金子亮太は入り口の前でハンドガンではなくこの前変えたばかりのUZIを握りしめる。

スコープも欲しいところだが見つからないので今はサイトも何もついていない。

唯一つけれたのがグリップだけだった。

それでもないよりはましである。

直接戦闘に参加する訳ではないのでただ、入ってこようとした時に牽制で撃てばいいのだ。

「敵は車に乗ろうとしている」

実況がなおも続く。

コウジの『行くぞ』という短いかけ声に合わせて三人が敵を仕留めた。

「やったか?」

家の中にいる金子亮太には現場にいる人の声で判断するしかない。

「ガスマスクなんてはめやがって。顔を拝んでやる」

近づいてコウジはマスクを外した。

「まだ、若いな」

そのひと事に反応したのは犬飼要と奥田澪だった。

駆け寄ると驚きと悲鳴が漏れた。

「そうしたんだよ?」

「何があったんだ?」

家で待機の荒木俊介と金子亮太には理解が出来なかった。

しかし、その反応でコウジはひとつの可能性に行き当たった。

「同級生なのかい?君たちと一緒に拐われたっていう?」

「そうです。クラスメートの酒井です。いつも一人でいることが多かったけど、こんな時まで一人でいるなんて思わなくて・・・」

遺体を運ぶとお互い、黙ったまま誰も暫くは口を聞かなかった。

コウジは気を使ってか二階で見張りをしてくるといって上がっていった。


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