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サバイバルゲーム  作者: 秋元智也
22/61

移動

「これで取りあえずは安全を確保出来たわけだな」

犬飼要はホッとすると、コウジの今後の事をなんとかしなくてはならなくなった。

帰ってきたときにはロープがほどかれていたのには驚いたが、金古亮太と荒木俊介と仲良く待っていたのでもう縛る必要はないと判断した。

残された問題は奥田澪の説得だった。

「おっかしいなぁ~どうなってんだ?」

何やらトラブルらしい。

「コウジさん、どうしたんですか?」

「あぁ、俺のことはコウジでいい。メニュー画面に離脱が消えてるんだよ。こんなの初めてだ」

「やっぱり、死ぬか、生きるかって事なのか?」

金古亮太は離脱に期待していただけにガックリと項垂れた。

「でも、見てみろよあと65人になってるんだぞ。今回は減り方が早い方なんだ。もっと減るまでここで隠れていればいいんじゃないか?」

コウジはここを拠点に隠れているつもりらしいが奥田澪だけが反対した。

「それはダメだ。すぐにここを発つ」

金古亮太は隠れている方を選んだようで聞き入れる気はなかった。

「どうしてだよ。ここにいれば安全じゃねーか。」

「ダメだ。死角が多すぎる上に入り込まれたら、対処出来ない。数人ならいざ知らず、チーム単位で二チームに入り込まれたら先に撃ち合いをした方が負ける」

コウジは奥田澪の話を聞いていて ヒュー。っと口笛を吹いた。

「しっかりとした嬢ちゃんだな。確かに嬢ちゃんの言う通りだ。チーム単位で入り込まれたらアウトだ。それならもっと最適な場所へ行くってのはどうだ? 」

金古亮太と荒木俊介はただ、話されている事を聞くだけだった。

「いい場所があるのか?」

犬飼要が興味深そうに聞き返した。

「最適な場所がな。山一個越えたところに地下シェルターが有るんだ。出入り口は一ヶ所。中は広いし障害物もあるから身を隠すのにも最適だ」

「手榴弾を投げ込まれたらどうするつもりだ?」

奥田澪がすぐに切り返した。確かに一番警戒しなければならない事であった。

「そのためのシェルターだよ。手榴弾ごときで崩落はしない。危なければ隣のシェルターに移ればいいいくつかが連なってるからな。ただ、先に入られちまってると不利だ。行くなら急ぐ事だな」

「他のプレーヤーとの遭遇確率は?」

「多くはないな。こんなゲームでも逃げたり隠れたりするよりは、狩りを楽しむやつらの方が比率的には高いんだよ」

「なるほど・・・分かった。案内しろ」

奥田澪の口調も態度も変わらない。内田紗耶香が居なくなってから余計に酷くなっている気さえしてきた。

「お前、大丈夫なのか?内田の事で・・・」

犬飼要は心配になっていた。強がってはいるが女子なのである。

きっと、心寂しいことだろうと。

「心配は無用だ。紗耶香ちゃんは私の師匠だった。友達も出来ず誰とも馴染めなかった私に色々な事を教えてくれた。だから、師匠を取り戻すのは弟子の役目。」

迷いのない目にドキッとしてしまった。

呆れた師弟愛。純粋な分、無茶をしそうで怖かった。

「少しは俺らを頼れよな。確かに不甲斐ないかも知れねーけどさ」

「確かに、力不足だな。しかしながらサポートは任せるしかあるまい。一人では戦えない。師匠の・・・紗耶香ちゃんの口癖だったからな」

犬飼要はそんな寂しそうな奥田澪の頭をそっと撫でると、俺がついてるから。っと小声で囁いた。

ショッピングモールを出ると側に車が停めてあった。

「これ、俺が持ってきたやつだよ。早く乗れよ」

金古亮太は鍵を出すと運転席に乗ろうとして止められた。

「俺が運転するよ。高校生だろ?」

コウジに高校生だと指摘されて鍵を渡す事になった。

「いや、よくやったよ。ここまで運転してきたんだろ?亮太の癖にスゲーじゃん」

「亮太の癖にが余計だ。泣きべそかいてた奴に言われたかねーよ」

「いったな~このやろ~」

荒木俊介と金古亮太との取っ組み合いが始まろうとしたところで両方の頭はそっと後ろから持たれると、いきなり二人の距離が近づいた。その瞬間お互いがぶつかりリップ音がした。

「なっ・・・」

「なんてことを」

押した犯人二人はさりげなく視線を外して車に乗り込んだ。

予期せぬアクシデントに驚く二人をよそに涼しい顔をして密かに笑みさえ浮かべていた。

犯人は勿論、奥田澪と犬飼要であった。

そんなやり取りを運転席で見ていたコウジは、ほのぼのとした気持ちになった。

「君ら中がいいんだねぇ~羨ましいよ。そんな風に話せる友人ってさ。大事にしなよって言ってもこんな状況じゃー無理もないか?」

5人が乗り込むと車は出発した。目的は地下シェルター。

このまま何事もなく、無事に済む筈もなく危険と隣り合わせの逃避行は続く。

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