ホットアイランド
まだ意識がはっきりとしていないのかぼんやりと周りを見ていたが視点は合っていない。
犬飼要は荒木俊介の頬を強めに叩いた。
パーン。
と平手が頬を赤くする。
「いってーな。何すんだよ!」
いつもの反応にホッとした一同にまだ理解が追い付いていない荒木俊介はおいてけぼりを食らっている。
「今の状況は分かるか?」
犬飼要の指摘で荒木俊介が顔をしかめた。
「要に平手打ちされた。俺にも叩かせろ~」
そんな会話の途中で奥田澪がいきなり荒木俊介の胸ぐらを掴んだ。
「お前は何をしていた?師匠に謝れ!」
涙を浮かべ、殺気に満ちた目で見つめられてやっとさっきまでの事を思い出した。
周囲を見渡すと、見知らぬ男がロープで縛られており、その横には自分を撃った靴の持ち主が倒れていた。そのすぐ先のベンチに寝かされているのは内田紗耶香だった。
「紗耶香、無事だったのか?」
紗耶香を見ると近くに行こうとしたが奥田澪が離さなかった。
「お前がどんくさいからだ。足を引っ張るならここで死んでしまえ」
余りにもキツい言い方だが、それだけ大事だったのだろうと犬飼要も金古亮太も止めはしなかった。
いきなり腹部を蹴りつけるとやっと手を離した。
「グハッ。いってーだろ、何なんだよ。俺が何したってんだよ」
体重が軽いせいかそこまで酷いダメージにはならなかった。ただ、痛いだけだ。
痛みをこらえながら腹部を触ると血でベットリとしていた。
しかし、そのわりに痛みが少ないと思い服をめくり上げると傷らしい傷は全く無かった。
ただ、包帯が巻かれているだけだった。
怪我してねーのに包帯巻くなっての~。
「覚えてないのか?」
犬飼要に真剣な顔で問われてさっきの事を思い出そうとした。
「ついさっきまで紗耶香と話していたんだよなぁ~、それから銃声がしたけど今は行くなって止められて・・・。あれ、俺はいきなり紗耶香に突き飛ばされて、それから目の前に知らない奴が立っていて。スッゲー脇腹に痛みを感じたときには真っ暗になって・・・」
段々と顔色が青くなっていく。
「紗耶香はどうなったんだ?」
恐る恐る聞いてくる荒木俊介に奥田澪の殺意の混じった瞳が映る。
金古亮太は視線を反らし、犬飼要は横に首を振った。
「嘘だろ?何でこんなことになるんだよ」
ロープで縛られている男に近づくと引っ付かんで殴り付けた。
「何で殺したんだよ、なんで・・・。」
何度も、何度も殴りつけた。止まらない涙が頬を伝い流れ落ちる。
「そろそろやめとけって」
犬飼要は止めさせるとぎゅっと抱き寄せた。
「泣きたいなら泣いておけ。だが、今だけだ。さっさとこんなクソゲーを終わらして帰るんだ」
「うわぁぁぁーーー」
荒木俊介は犬飼にすがり付くように泣き崩れた。
金古亮太は男に近づいて頭を下げた。
「助かったよ、ありがとな。あんたが教えてくれなかったら俊介は死んでいたよ」
「そりゃーどーも。なら、俺のお願いも聞いてくれよ」
「!?」
「ちゃんと教えてやっただろう?」
奥田澪が割り込んできて銃口を向ける。
「これとそれは別の話だ。それに、貴様の目的は何だ?私たちのようにいきなり拉致された訳ではなかろう?」
一斉に視線が集まった。
「拉致されただぁ?何言ってやがる?ここはサバイバルゲーム用に作られたホットアイランドって呼ばれる人工島だ。命知らずや、ならず者が集まる島だ。ここではこの時期にサバイバル王。いわゆるトップが選ばれて、どんな違法な望みでも叶えてくれるって話だ。主催者は 《神》 と呼ばれていて姿を見たやつは最後まで生き残ったやつだけだ。そこでだ5人一組でグループ参加するんだが、今回俺たちは4人で参加したって訳だ。ちょっとメンバーが集まらなかったからな」
「ちょっと待て、実弾使ってるのに死なないのか?今回はってことは生き残れるのか?」
「途中棄権だ。この島の中に棄権ポットが設置されていて、ヤバイと思うとそれで脱出するんだ。ポットの位置は手元の時計に出るはずだぞ」
そういうと時計のメニュー画面を弄れと言い出した。目の前で金古亮太が言うとおりにいじると。
「おおー。それだ、そこを押してくれ」
言うとおりに押すとerrorとメッセージが流れた。
「どうなってやがる?」
「それはこっちが聞きたいよ。おっさん、ほんとにそんなのあるのかよ?」
「あるに決まってるだろう?じゃないとほんとに全員での殺しあいなんてやってられるか」
「死んだ人間はどうなる?」
「不慮の事故って事で片付けられる。兄貴もそうだった。しかし、残り10人に残ってからの離脱だと賞金が出るんだよ。だからこういう建物の中でじっとしてるのさ。まぁ、今回はやれそうだと思って動いたんだが、この様さ」
男は余裕が出てきたのか、ペラペラと話し出した。




