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サバイバルゲーム  作者: 秋元智也
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策士

高橋美智子の捨て身の特攻はあえなく撃退される事となった。グレネードを構えていた男の横にいた男に追撃されたからである。

それでもそばまで行けたのは奇跡としか言いようがない。倒れる間際、口許に笑みを浮かべたのには誰も気づかなかった。

「レッド。ヤバかったですね?くそっ、こんなガキに・・・」

そばで倒れた高橋美智子の死体を蹴りあげた。すると懐からピンの抜けた手榴弾が地面に転がると同時にその場ではぜた。間近にいた二人を巻き込んで・・・。



岩肌の窪みに降りているのはまたもや制服を着た集団。ボートを見つけると海の上をもうスピードで走らせていた。彼は浅野裕也(あさのゆうや)

活発な青年である。焼けた肌は健康的で長髪をなびかせてボートを走らせる姿はあまりにも似合っていた。

その横で座っているのは平田麻都佳(ひらたまどか)

彼の虜の一人だ。長い黒がみにスラッとした手足は理想的だった。

大人びて見える外見からナンパは絶えなかったが、一途な性格の為か全て断っていた。

それを岩影から眺めるのは久納悟(くのうさとる)

平野麻都佳に告白してあえなく撃墜した一人である。

「浅野さえいなければっ」

いつも影から平野麻都佳を見つめるストーカーでもあった。

自分は気づいてないが、周りからはキモいやつと噂されていた。

マッシュルームのような髪型が暗い印象を与え、性格も陰気な為か誰も近づいてこない。

しかし、平野麻都佳だけは違った。誰にでも普通に接してくるのだ。

嫌うわけでもなく、嫌がっている風でもない。

好き好んで話しかけて来ることはないが、話しかけるとちゃんと返事も答えてくれる。

他の女子は『キモいから来ないで』と言われたり、水をかけられたりと、散々なのだ。

そこから離れること数メートル。浅野裕也に熱い視線を送るのが永井芳子(ながいよしこ)

とその横の山口夕美(やまぐちゆみ)

何とか平野麻都佳を追い出せないかと手を組んでちょっかいをかけているのだが、ことごとく上手くいっていない。なぜならば、色々と仕掛けても知らぬうちに片付けられていたり、自分達にしっぺ返しがくるからであった。

どうにも納得がいかない。

「あんな女のどこがいいのよ!」

負けおしみをいうのは永井芳子。それに賛同し、考えを巡らせているのが山口夕美だ。

二人ともバカではない。だが、気づいていないのだ。平田麻都佳の計算高さに。

「みてろよ~」

「ざまぁみろ」

今まさにボートが岩肌に接近してそこから二人が降りてきたところである。岩の上に置いておいた二人用のタオル。しかし、永井芳子と山口夕美にとって平田麻都佳の方には泥がべったり塗ってあるはずだった。

しかし、こちらに歩きながら拭いているタオルは綺麗なままだった。

「なんで?」

「さっきすり替えたよね?」

永井芳子が、あわてて自分の鞄のタオルを確認すると鞄の中も泥だらけになっていた。

「うそー。悔しい」

「いつか、化けの皮を剥がしてやる~」

そんなに二人を横目に岩影の方に微笑む平田麻都佳は策士であった。

すり替えた張本人は岩影にいる久納悟であった。

話に夢中で全く気づかない永井芳子と山口夕美の横を悠々と通り、タオルを入れ換えたのである。

いつもそうやって平田麻都佳は微笑むことで、災難をかわしてきたのである。

何の為に気持ち悪い男に微笑むのか?それは女子の嫌がらせから自分を守る為でもあり。

そして、誰からでもいい印象を持たれるためだった。

そんな事を気づく人間は今だ誰もいない。

そうやって、堂々と浅野裕也の側にいられるのだ。

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