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契約獣

意識が覚醒したとき胸の辺りに違和感があった

違和感に添えられている手を動かすと「ううん」といった鳴き声みたいなのが聞こえてきた

手にはさらさらとした心地良い物が触れており撫でているとやめられなくなりそうだ


目を開け、触れている物を確認すると....


「なんで俺...ルキナを抱き締めてるんだ?」

胸の辺りに顔と手を当てて眠っているルキナがいた

え?...なんで俺抱き枕にしてんの!?...ええ!?.........


「ああ...そっか...あのまま寝たのか」

眠りにつく前の事を思いだせた俺は幸せそうに寝ているルキナを撫で続けた

そういや....こういう事しても...怖くならないんだよな...ルキナとは

なんでだろうか?


「どうでも良いか...別に」

それよりも今何時だ......

9時.....って4時間しか寝てないじゃん....どうしよう

ルキナ寝てるし...その間に迷宮攻略しておくか...ボス部屋にワープをはればルキナを連れていく事も出来るし


「それじゃ行ってくる、すぐ戻ってくるよ」

起こさないようにそっと離れてベッドから出た俺は部屋にワープの陣を設置してから迷宮へと向かった

70階層のボスを魔力を使わず剣術のみで倒し先に進む

剣術だけなのは水中戦をするのだから何があっても良いようにMPを節約したからだ


階段を降り、ウィンドフィールドで風の壁を作り水が入らないようにしてから水の中に入った

どうする?迷宮...迷路なのだから壁に手を着けて歩けば必ず次の階層へとたどり着けるだろう

5分毎に迷宮のルートが変わるがな、

もし最初に行き、行き止まりだったところから正解ルートに変われば5分間は攻略不可能になる

じゃあどうするか?だが....やり方は思い付かない

がむしゃらに5分間にすべて回るってのは効率が悪すぎる


「はあぁ....右壁に沿って歩くか」

何もないよりはましだ

早く移動すれば良いだけの話だし、入り口は絶対に地形変化を起こさないのだからワープを設置できる、もし5分以内にたどり着かなければ入り口に戻って再攻略だ


転移陣ディ・サークル..んじゃ行きますか!」

それからは何度も何度も行き止まりにぶつかりつつも走っていった

魔物とはまあまあな頻度で出会したが、水の無いウィンドフィールド内にウィンドフィールド壊れないよう慎重に入れつつ、何も出来ない魔物を倒していった

迷宮の74階と75階、79階では一回だけワープを使い、72階では2回ワープを使ったがそれ以外は使わずに済んだので使った時間は約1時間だ


「ボス部屋に着いたわけだが.....ここにも水で埋まってるんだな」

その癖何故かギルドの人は居て、俺を見ると手を振ってきた

スタンプを押してもらいと俺は試しにボス部屋に入ってみた、すると....

目の前には海竜って良いのかな?、そんな感じの所々ヒレをつけた大蛇が俺を待ち構えていた


海蛇龍ダイダロス

lv90

ソロ推奨レベル110

無限迷宮80階層の固定ボス

倒されれば新しい個体は出てくるがこの種以外は出てこない


「おおおぉぉ....カッケェェ....」

海竜は俺を見ると叫んだのかな?水の振動がやって来て...ウィンドフィールドを壊された

うーん...やっぱり低圧縮だとすぐ壊れるなぁ


「ううんまあ、【ウィンドフィールド】...【フリージングウェーブ】.....【アイスブレイク】」

風領域を作り俺がいる空間だけ水を無くし、こちらに向かってきた海竜を水ごと凍結させた

それからはもう分かる通り氷を破壊させ水を無くした

天井部分には呼吸するために水の無い空気の通り道があるので氷でボス部屋内を埋め尽くす事はない

降り積もった自作雪の上に移動して海竜が出てくるのを待つと、どばーんと雪?を吹き飛ばして海竜が出てきた


「どうだ?いきなり自分の水の中(世界)(敵の領域)にされた気持ちは」


「GYAGAAAAOOOAAOEEEEJJAAKMMAAAAA」


「【エアロバリア改】【風剣乱舞】」

叫ぶと同時に海竜の口から放たれた大量の水をハニカム構造で出来た風の壁で防ぎ、風剣乱舞を展開させた

フリージングウェーブ使ったせいでMPがキツいし魔力爆発(マジックバースト)が使えないんだよなぁ

そうだなぁ....


「風剣乱舞【蝗の型】」

展開されていた50近くの普通の風剣を短剣にさせて一個の剣から5つ作り...系約250個の風剣を海竜に向かわせたy


何故蝗....イナゴにしたかと言うと..小さい生き物で群で移動するって言ったら一般的には蟻や蜂だが...人間の驚異になるとしたら当てはまらない気がした

だから群れを作り田畑に甚大な被害をもたらす蝗にしたのだ

それと...別の読みで蟻はギ、蜂はホウ、蝗はコウなんだが...ギは言いにくいし、ホウは砲の型と被るからやめておいた


何本かは避けられたが殆どの風剣を体に受け止めた海竜は...外そうとぐねぐねと本当に蛇のように体を捻らせたが..余計奥に刺さるだけだった


奥に突き刺さるだけだと分かった海竜はその後動こうとはしなくなり

早く殺せと言わんばかりに弱々しい叫び声を上げる


「GYOAJAKAMAMNAKAK...HAAA...AAA」


「.......そういや...お前は生きてるんだよな」

そう、たとえ迷宮に作られた魔物であっても生物な事には変わりはない

なら...迷宮攻略という生きるために必要でも無いことで殺して回っている俺はなんなんだろうか?

痛みに苦しんでいる海竜を見てそう思った、確かに俺の仕事は今迷宮攻略だ....でも


「【風剣乱舞】解除」

風剣乱舞を霧散させ俺はいまだ痛みに苦しんでいる海竜に頭を乗せて撫でた

海竜は口を開けて叫ぶが...何を言っているかはわからないでも、きっと「何故殺さない?」だろう事は予想つく


「少し待っていろ、治してやるから 転移陣ディ・サークル【ワープ】」

この雪の上に転移陣を貼り付けてから宿に設置していた転移陣にワープした

ベッドにはルキナは居なかったが、外に出てウィンドサーチを行うとギルドに居ることが分かった

そこに行くと


「ルキナ!」


「あ...ご主人様....えっと今までどちらに?探したんですよ!?」


「ごめん、迷宮攻略してた、まあそれは置いといて、来て欲しいところあるんだ」

声をかけられたルキナは俺を見てそう叫んだが

今は急いでいるのでルキナの腕を掴み、海竜がいる80階層へとワープした


「迷宮攻略って....え...まっ!?......え?」


「待たせたな...まだ生きてる...よな?」

呼吸するために体は上下に動いてるが遅い...雪の回りには夥しい量の血が染み込んでおり真っ赤だ

その海竜を撫でながら


「ルキナ...こいつを治せないか?」


「え!?...でも...これ迷宮ボスなんじゃ...」


「うん...でも、出来るならやって上げて欲しい」


「はい...わかりました【エクストラヒール】」

ルキナも海竜に近付きヒールをかけ始めた

体が大きいせいで動き回って治すことになったが...傷はすべて塞がった

血を流しすぎたせいか...傷を治しても立ち上がる気配はなかった


「なんで.....」


「あの...一度ボス部屋を水いっぱいにしてみてはどうでしょうか?」


「分かった、やってみる【ウィンドフィールド】【ヒートフィールド】」

俺とルキナ、海竜をウィンドフィールドで守り、ヒートフィールドで雪を溶かしていった

序次に溶けて言った雪は数分で元の迷宮の姿に変わり...海竜のウィンドフィールドを解除した

だが海竜は水中を漂うだけだった


「....ダメか」


「いえ...もう大丈夫だと思いますよ」


「え...!?」

さっきまで目を閉じていた海竜はまだ水中を漂っているだけだが確りとこちらを見つめていた

ああ....そういう事か....だからこいつが80階層のボスなのか

きっと水中ではこいつは回復能力を持つんだろう

だからルキナでは無理だった血の回復も自分の能力だから出来る人間の能力より魔物の能力の方が優れているのだから

水はゲームによっては癒しの属性でもあるしな


「.....ナゼ、ワレヲタスケタ、ニンゲンヨ」


「喋った?....さっきまで叫ぶだけだったのに?」


「ワレノトイガサキダ、コタエロ」

何故助けたか?か....ただの気紛れだ

なんか可哀想に思ったから助けた、自分で傷付けた傷をな


「特に理由はない、ただ...可哀想に思っただけだ、さあ答えたぜ、俺の質問にも答えろよ」


「ソウカ...キマグレカ、ワレガナンジラノコトバヲハナセルノハ、ナンビャクネンモキキツヅケタカラダ」


「何百年も?お前は前にもAランカーに倒されただろう?」


「ワレハキオクヲウケツイデイク、サイショハデキナカッタガナンドモナンドモツクラレタオサレヲツヅケテイクウチニ、コノノウリョクヲエテイタ」

そうか...魔物だって生き物だ、何度も同じものを作られ、殺されていく内に進化したのだろう

別の意味で不滅魔竜と一緒だな、不滅魔竜は死ななかったが、こいつは記憶が死なない

きっと、自分が殺される記憶も何個も持っているんだろう


「なあ、お前はこのままで良いのか?」


「ドウイウイミダ?」


「お前はこれからも何度も死に蘇るだろう、それで良いのか?」


「イイモナニモ、ワレハソトニハデルコトハデキナイ、ソトノセカイノコトハナニヒトツシラナイカラナ」

もし...ここで俺がこいつを迷宮外に連れていったらどうなるのだろうか?

当然魔物は居なくなったが死んではない、なので作る事は出来ないだろう

なら80階層のボスは今後どうなる?....試してみたい気がする


「もし、もし外に出る事が出来るのなら、お前はどうする?」


「.....デテミタイモノダ、これからナンビャクネンナンゼンネンモココニイツヅケルノハ...ツライカラナ


「そうか....なら出てみようぜ?」

多分ワープを使えばこいつを迷宮外に連れて行くことは出来るだろう

そしてすむ場所だが...前にもルキナと自然公園?に行ったがあそこには大きな池があった

取りあえずはそこに入れば大丈夫だろう


「.....イイノカ?」


「ああ、もしかしたら出来ないかもだし、死ぬかもしれない、だけど出れるかもしれない」

もし、迷宮がボスや魔物を迷宮外出ないようにしているなら無理だし

最悪死んでしまう設定をしているかもしれない

だけど...それがなかった場合コイツは解放される、迷宮ボスという運命からな


「フッ....イママデナンジュウトイウヒトヲミテキタガオマエノヨウナヤツハハジメテダ、ヨカロウナンジノカケニワレモノッテヤロウ」


「なら少し待っててくれ」


「ヨカロウ」

ルキナの腕を握り宿にワープした


「あのご主人様....」


「ん?どうかした?」


「いえ...良かったのですか?あの海竜は魔物ですよ?ヒトヲミテキタガ襲うかもしれないですし...すむ場所も」

確かにその可能性もある...だがあの海竜はそんな事しない気がする

勘だけどな、まあ大丈夫だろう、その時は俺がなんとかすれば良い


「大丈夫だよ、すむ場所も決めるてるし」


「そうですか...なら良いのですが」


「それより早く行こう」


「はい」

自然公園の池前についた俺は一応ウィンドフィールドを使って池の中の大きさを調べたが

問題は無さそうだった、

池のなかに転移陣を貼り付けてから地上に戻った


「大丈夫そうだな」


「......」

そういや...自然公園についてからルキナはずっと無言だな、何かあったのか?

それに...俺が海竜と話していた時もずっと無言だし


「どうかした?」


「自然公園で良いのでしょうか?、ここは子供達が大勢遊ぶところですよ?」


「大丈夫だから、安心してあの海竜はそこまでバカじゃないよ、そんな事より海竜の所へ行こう」


「......はい」

海竜がいる迷宮80階層に行き、海竜と一緒に自然公園の池にそのままワープを行った

あの質量が水に入って大丈夫か?と今更ながら気付き水面に行ったが元々全部水で満たしている池ではなかったため

ギリギリだが溢れる事はなかった

俺達は陸地に移動して水面から顔だけを出している海竜と話を始めた


「どうだ?住み心地は」


「フム、ショウショウミズノナカノマリョクガスクナイガ、モンダイハナイダロウ」


「そうか、なら良かった、しばらくはここで我慢してくれ、今はまだ海に行く予定は無いが...今後お前が自由に過ごせる海に行ってきてやるから」


「ワカッタ...ソレデココニイテナニカマモラネバナラヌコトガアルノデハナイカ?」

やっぱり...この海竜は賢いな

ナンビャクネンと行き続けたからだろうか?知恵がある

喋れる事だけでも賢い事は分かっていたが....ここまでとはな


「まあな、取り敢えずは人の前には出るな、人を襲うな、自然を壊すな、もし、子供が池に落ちたとき助けてやれ、バレずにな」


「フム、ヨカロウ、ソノケイヤクウケタマワッタ」


「もし、問題を起こせば俺は出来る限りのお前を守るが...人を殺したりすれば...逆にお前を殺すことになる、良いな?」


「アア、ワカッタ、ワガマスターヨ」

マスター?....どういう事だ?

海竜は俺をマスターと言うと、俺と海竜との間に魔力の線を作り....

その魔力の線が輝き始め...しばらくして魔力の線ごと消えた...ルキナの表情を見る限りルキナには見えていないようだが...これは?


「何をした...」


「ご主人様?」


「ナアニ、ケイヤクヲシタダケダ、ワガマスターヨ、コレカラワレハマスターノケイヤクジュウトナリオマエノメイレイハカナラズキクトシヨウ」

ケイヤクジュウ?....契約獣か!

え...じゃあ俺こいつの主になったってこと!?


「どういう意味だ?契約獣ってなんだ」


「コトバドオリダガ?、ワレハマスターノチュウジツナルシモベニナッタダケダ、コウスレバワレハマスターのサキホドノメイレイヲカナラズマモル、」


「....そう言うことか」

つまりは..これでお前は俺を信じることが出来るだろう?的な意味だろうな

だが...契約獣って何ができるんだ?

なんか遠くにいても呼び出せて、終わったらもとの場所に戻れるのか?


「ケイゾクテキニオマエノマリョクヲモラウガ、ソノカワリオマエノメイレイハカナラズマモル、ソシテオマエガノゾメバドコニイヨウトオマエガワレヲヨビダセルダロウ」


「つまり、海についたらわざわざ転移しなくても良いって事か?」


「ソウイウコトダ、ダガワレハミズノナカデシカタタカウコトハデキナイ、ソレハオボテオイテクレ」


「分かった、ありがとう、.....そうだな....ディアダロス」

海竜で名前で考えたけど...確かティアマトが水の神だったような気がする

だからティアマトとダイダロスを合わせてティアダロス...でも迫力無いからディアダロスにしてみた


「ディアダロス...ワレノナカ?」


「嫌だったか?なら普通にダイダロスって呼ぶけど...」


「イヤ、ディアダロスデイイ、マスターカラサズカッタナダツカワセテモラオウ」


「そうか...これからよろしく、ディアダロス」

そんなこんながあり俺と迷宮80階層ボスは契約を行った

これで海の中を潜る必要になったとき魔法を使わなくて済む


余談だが....今後この自然公園の池は神秘的な何かがあると言われるようになる

それは間違って入った子供が池に溺れても怪我1つなく無事に陸に戻ってきたからだ

まああくまでもこれは余談で、物語にはあまり関係ない話だ



















蝗の型はイナゴのガタではなくコウの型です

海竜を助けた理由ですが...まあ今後役に立つからでしょうね

使うかどうかは。。。まだ決めていませんがw

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