殺す覚悟
意識が覚醒し目を開けると、医務室と思わしき天井が目に映った
ウィンドサーチからの情報でも医務室と分かり、体を起こしてから椅子に座り、ベッドに顔を乗せて眠りについているルキナの頭を起きないように軽く撫でた
「そうか...俺...」
風雷魔竜を倒したあと...直ぐに倒れたんだっけ?
それで倒れた俺をルキナが看病してたんだろう、誰がここに連れてきたか分かんないけど
"ガラガラガラ"
音がしたので撫でるのを止め、開かれた扉の方を見ると、フラミさんがいた
え....何で、まだ王都にいるんじゃ...フラミさんが居るってことはリンクさんやルウガさんも帰って来てるんだろうか?..だとしたら、そうか...きっと三人が俺をここまで運んできたんだろう
「おや、ユウト君が起きているとは...体は大丈夫かい?」
「おはようございます、そうですね、痛くはないですし大丈夫です、ただ...魔力が少し使い辛いです」
「そうかい、まああれだけ魔力回路がズタズタになっていたんだ、こんな早く回復するだけでも上等と思った方が良いだろうね」
まあ、マジックバーストで魔力を無理矢理爆発させ引き出したんだし仕方無いか
でも...魔力回路か...そんな物やっぱりあるんだな
「そうですか....あ、そう言えばフラミさんは王都に居た筈ですよね?」
「ああ、そうだね、だけど君がSランクの迷宮ボスと戦っていると聞いてね、急いでこっちに来たんだ、リンク達もね、グレン君は..アイツなら大丈夫だろとか言って、来なかったけどね」
「そうですか...Sランク迷宮ボス?...あれそんなに強かったですか?」
たしか。。。SランクってAランク20人で勝てないほどの化け物だよな?...
俺が戦った感じじゃそこまで強いとは思えなかった...どういう事だ?
普通に疑問に思い、フラミさんに聞いたがフラミさんはくすっと笑うだけだった
「え...?何か可笑しいですか?」
「まあね、君は君がどれだけ怪物なのか気付いてないのか、それを思うとね」
「怪物って...」
「君がもし我々の敵になっても止められる気がしないほどまでには強くはなっているよ、」
そんなわけないだろう、だって俺は三人には一度も勝った事無いんだし
フラミさんが言うほど強くなっていたら勝てるだろう
「そんな強くないですよ、現に俺を一度も...」
「あれは模擬戦だろう?君は私達に対しては一度も本気になった事がないし、殺そうとしなかった、そんな攻撃では私達にはどうやっても勝てない、だがもし君が私達を本気で殺しに来たら...間違いなく私達は負け、殺される」
「........」
そうなのかな?
たしかに本気は出したことはない、いや剣だけの縛りでっていう条件でなら本気は出しているが...
俺が出せる手を全て使ったか?と言われてばそれは否で....使えない..使っちゃいけない魔法ばかりだから
エアロバーストやエアロプリズマは打てないし、リバウンドやバニッシュは剣術の修行にならない
あの戦いで作った風剣乱舞なんて殺意に道溢れたような効果だ...使える筈がない
「まあ、君は本気を出せないだろうね、だから...誰も聞いていない今、言っておこうと思う」
「え?」
「殺さないで良いなら殺さない方が良い、それはそうだろう、だが絶対に殺さなければいけない場面になった時、例えばルキナ君が殺されそうになった時とかね?そう言う時本気を出せないと後悔するだろう、今の内に人を殺す覚悟を持った方が良い」
「......はい」
人を殺す覚悟....か、やっぱり持っておかないとダメ...だよな
ここは地球じゃない、この世界じゃ人を殺しはしてはダメだが...絶対にしてはいけない訳じゃない
なら...持っておかないといざと言う時に後悔する...それを言ってきてる
「君はきっと人殺しがあまり無い、平和な世界で育ってきたんだろう、だから殺す事に嫌悪感があるのかもしれないが...一度考えてみると良い」
「はい.....え?」
「君は転移者だろう?知っているよ、大丈夫まだリンク達は気付いていない、」
何で?どうして分かった?とは思わない
どっかでボロを出したんだろうし、フラミさんは鋭い..気付いても可笑しくはないだろう
「君はこの事を秘密にしたいんだろうから私は誰にも言わない、そして私には相談してくれて構わない、」
「何の事でしょうか?俺が転移者?何言ってるんですか?」
「....そうか、いや何でもない、忘れてくれ」
危ない危ない、これがブラフだと一瞬気付かなかった
いや..多分80%位の確率で思ってたんだろうけど、このブラフで確定にしようとした
だって...この世界で俺が転移者だと知っているのは王様だけだ、そして王様が漏らすはずがないだろうし、盗み聞きいた可能性も極めて低い
「それじゃ、私はもう行くよ、ルキナ君が起きたらよろしく言っておいてくれ」
「はい」
そう言いフラミさんは部屋を出ていった
その後ろ姿を目で追い終わった後、フラミさんが伝えてきた事を考える....
「守るために決めないといけない覚悟か...」
まだ眠っているルキナの頭をまた撫で始めた
今の俺で、彼女を..ルキナを守れるのだろうか?...守れないかもしれない
俺には殺す覚悟が無いから...じゃあそれをつけるために人を殺すのか?いやそれは出来ないしやっちゃいけない、だからどうしようも無いこと何だろう、だけど...身に付けなければいけない物でもある
八方塞がりである
「どうしたら良いんだよ」
愚痴るが..やっぱりどんなに考えても分からなかった
仕方無く頭を切り替え、まだ確認してないステータスを表示した
八神 悠斗 (16)
Lv 98
聖霊契約 風聖霊リヴ(仮)
MP 1250/1250(1200+50-0)
『ステータス』
STR(A+2)INT(A+4)VIT(A+1)AGI(A+3)DEX(A+6)SEN(S+9)
『スキル&魔法』
中級双剣術
中級両手剣術
超級風属性魔法 ウィンドセイバー(5)エアロバリア改(5)エアロバウンス(10)
ウィンドペネトレイト(10)風剣乱舞(100)風剣乱舞『集の型』(20)風剣乱舞『砲の型』(20)
風聖霊の加護
風絶魔装
変幻自在
無属性魔法 身体強化(時間×5)魔力爆発
氷属性魔法 アイススピア(70)
次元魔法
生活魔法
鑑定
七つの命
危険察知
共通翻訳機能
......めちゃくちゃレベルが上がってる
可笑しい....いや、風魔竜、雷魔竜、風雷魔竜を倒したって事を考えると考えると可笑しくはないのだが
あの二体の魔竜を倒した時にはレベルは上がらず風雷魔竜で上がった事を考えると風雷魔竜の経験値だけのはずなのに...二体の魔竜分も貰っている気がする...損があるわけでないし苦労分貰ってるんだから良いんだけどね
それに...全部Aに上がり、もう少しでSENがSを超えそうだ
Sを超えればどうなるのか分からないが、?か新たなランクにはなるだろうな
次にスキル&魔法だが...両手剣術が初級から中級、まさかの身体強化と魔力爆発が無属性魔法に昇格した
ん?.....あれ?何で属性って名前ついてるんだ?
前までは風魔法とか氷魔法だったのに....今は何々属性魔法ってついてる....意味わからん
「んんっ......」
お...起きたみたいだ。俺が撫でていた手を離すと、ルキナは目を擦りながら体を起こした
.....ヤバイ..すごい可愛い...こんな無防備な姿見ると....って何考えてんだよ
「おはよう、ルキナ」
「はい、おはようございます。ご主人様....え?」
「どうかした?」
徐々に覚醒していったルキナは体を起こしている俺を見ると固まった
そして、だんだん目を潤ましていき、微笑んで
「起きたんですね、ご主人様」
「ああ、もう大丈夫だよ、心配掛けてごめん」
「本当ですよ....でも、良かったです」
そう言うとルキナは俺の胸に抱き付くように甘えてきた
最近こういう事多くなったな、時には思いながら抱き締め返し撫で、サラサラとした金色の髪を指で何度もなぞる
しばらく堪能するとルキナから離れて
「今、何時でしょうか?」
「えっと...8時かな」
時間と関係無いのだが...腹に合った風穴が無くなっている
多分ルキナが聖魔法で治したんだろうけど...それを考えるとルキナ聖魔法は回復魔法と言うより再生魔法に思えてくる、それに....俺が風雷魔竜と戦い、気を失ってから一日も経ってない...
今日は念のため休んでおくか...腹に風穴が空いて、魔力回路がズタズタになったんだ、何処か悪いところがあるかもしれない
「それじゃ朝御飯食べに行きましょうか?あ、体を動かすのが辛いなら持ってきましょうか?」
「いや、大丈夫、ルキナが起きる前にフラミさんが来てたから、起きたこと皆知ってるだろうけど、一応ね」
「分かりました、では行きましょうか?」
「うん、ありがとう」
手を出してくれたのでその手を掴みながらベッドから出て立ち上がった
動かしてみた感じ違和感は無い、これなら走ることなら出来るだろう
「....どうかされました?」
「いや....その着替えられないんだけど...」
立ち上がったまま動きうとしない俺に疑問に思ったのだろう、そう聞いてきたルキナに当たり前の事を言う
今の俺は私服ではなく病後服を着ている(着ていた服は穴だらけだからだろう)だから私服に着替えたい...だけどさすがにルキナの前で着替えるのは無理だ
「あ....お、お手伝いしましょうか?」
「いいよ!?いらない自分で出来るから!?早く出ていってくれるかな!?」
「そ、そうですよね!?では失礼します」
親切心で着替えを手伝うと思ったのだろうけど....俺が病後服の下が下着だけの事に気付いたのか顔を赤くして部屋を出ていった
着替えたのち、ベッドの横に立て掛けられていた両手剣を腰に下げてルキナが待ってる部屋の外へ出た
「お待たせ、それじゃ行こうか」
「はい」
ちょっとしたトラブルは合ったものの俺達は飲み屋に向かった
遅れました。すいませんm(__)m
本編で魔法にいきなり属性をつけた理由ですがネタバレにならないので言いますね
簡単に言えば魔属性のせいですw
属性をつけないと魔魔法になって変なので属性をつけて魔属性魔法にしました
これなら変と思う人も減るかなぁとw何故今までの方を修正しないか?って?
.....めんどいんです!....白い目はおやめください
えっとそんなわけで説明終わります
では、また( *・ω・)ノ))バイバイ




