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vs風雷魔竜ベルバンゴルド1

「主任!ボス部屋内の魔物反応二つとも消えました」


「それは、本当かい...どれどれ...ええっと..本当だ、消えてる、ってことは」

その知らせが届いたのはご主人が中に入ってからかなり時間が経ってからだった

どうやらご主人様は魔竜二体を無事に倒したようだ


「良かった」

ここにいる皆はご主人様が魔竜を倒したことをしるとお祭りのように喜び騒ぎだした

そして、全員が『英雄』のご帰還を待つように扉を見つめた


「どう...なってる?」


「おい、何故扉が開かないんだ?中はどうなってる!?」

一向に扉は開かず、ご主人様が帰ってくる様子はなかった

中を調べ始めた研究者はしばらくすると...「.......ボス部屋内に大量の魔力が残っています」と言ってきた

どういう意味だろうか?


「どういう事ですか?」


「.....分からない、でも、普通なら倒された魔物の魔力は迷宮に変えるはずなんだ」

研究者でも今どうなっているか分からないようだった

ご主人様が大丈夫なことは奴隷契約が切れていないため分かっていますし....信じています

でも...やっぱり不安はする...そして....


「.....思い出した」


「何をです?」


「古い文献に書いてあったことだよ、確かその文献には狭い空間に膨大な魔力があると魔物が誕生するって書いてあったはずだ」


「え?....じゃあ」

それじゃあご主人様は...二体の魔竜と戦い、消耗した状態で新たな魔物と戦うってこと!?

更なる不安によって胸が痛くなった私は胸を押さえながらしゃがみこんだ


「主任.....どうやらその通りみたいです」


「.....魔物反応が出たのかい?」


「はい....観測されていた二体の魔竜の魔力量、それを足したより多い魔力を持つ魔物反応が出ました」


「推定ランクは?」


「.....Sランクです」

Sランクはどれくらいの強さなんだろうか

私は立ち上がり...研究者に聞いてみた


「あの...Sランクどれくらいの強さなんでしょうか?」


「Aランク冒険者20人で勝てるか勝てないか位ですね、さっきまでいた二体の魔竜はどちらもAランク、Aランク冒険者5人で倒せなくはないレベルです、だから先程の2対一の状態ですと10人でやっと勝てる嫌いでしょう」


「.....それじゃあご主人様は?....ご主人様はどうなるんですか!?」


「落ち着けルキナ君」

研究者の答えに気が動転した私は研究者に問い詰め、主任に止められた

Aランク20人でも勝てない?そんな化け物倒せるはずがない...だってご主人様はAランクに勝てるほど強くはない、きっと二体の魔竜を倒した事態奇跡なんだ


「.....至急、Aランクを集められるだけ集めてくれ。大至急だ!」


「はい、わかりました」

主任の命令により研究者の何人かが迷宮を出ていった、きっと命令通りにAランクを呼ぶのだろう

.....最悪の場合を想定して呼んだのだろうけど....これじゃあご主人様が...帰ってこない...みたいじゃないですか


「ルキナ君、私達はもう彼を信じるしかない、Sランクの魔物を一人で倒す奇跡が起きることを待つことしか出来ない」


「.....はい」


「それしか出来ない私達が...彼より先に諦めて良いのかい?、いや絶対にダメだ、だから最後まで信じてあげよう、君は彼の大事な奴隷なんだろう?、優しい彼が君を置いて死ぬなんてあり得る筈がないんだから」


「はい...そうですよね...取り乱してすいません」

そうだ...私が諦めたらいけないんだ

今なお戦ってるご主人様より先に諦めるなんて、ただ待つだけしか出来ない私がしちゃいけないんだ


「まあ、大丈夫さ、不滅魔竜を倒せるんだSランクの魔物位いけるさ」


「はい」

きっと勝つご主人様は、だって『英雄』なんだから

誰もなし得たことの無い記録を次々に打ち立てて行くお人だ...きっと今回も

でも...やっぱり...だから誰も聞こえないように呟いた


「死なないでください、逃げても構いません、ですから....生きて戻ってきてください」

そう願うルキナの姿は物語(英雄譚)勇者(主人公)の帰りを待つ聖女(ヒロイン)のように儚く美しかった








☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆







「........マジかよ」

目の前に現れた三体目の魔竜、そのステータスをみた俺は絶句した

レベルが測定不能で、解説も何も無かった.....つまり....両者の間には圧倒的な差があったのだ

フレスベルグ魔竜襲撃事件の時、俺はLv21の時にLv75の魔竜を調べる事ができた

つまり....レベル差が50程度では鑑定が出来ないほどに離れては居なかったという事だけだ



「コイツは....あのアルルグや不滅魔竜と同等の強さなのかよ」

いや....より強いかもしれない

だって目の前にいる魔竜はアルルグの様に手加減をしてくれる訳でもなく、不滅魔竜の様に致命的な弱点が在るわけではないのだから

だから....最初から全力で行くしかない


「風剣乱舞【集の型】」

それを発動すると雷魔竜の時みたいに風の剣が大量に出現し、その穂先は魔竜に向いていた

すると魔竜はブレスを軽く溜めてから撃ち放ってきた....


「【エアロバリア改】」

風の壁を念のため3重に展開させて防いだ

そのブレスは薙ぎ払うかのように作った風剣を壊していき、3重に展開させた風の壁を全て壊した

幸い壊れるときにはブレスが俺に当たる角度ではなかったのでどうにもならなかったが..もし二重で終わらせていたらと思うと冷や汗が止まらない


「....どんだけ化け物なんだよ...」

あり得ない....こんなの勝てるわけがない

雷魔竜の最大威力のブレスを1枚で防ぐエアロバリア改を少し溜めただけのブレスで3舞をぶっ壊しやがった

それにこれを見る感じだと風剣乱舞の使用はさせてくれないだろう

じゃあどう倒す?剣で?いや無理だな、あいつは雷魔竜の特性を受け継いでる

だから金属での攻撃は一切効かない、そして魔法も今の見て分かる通り通じない


「完全に手詰まりじゃねえか」

魔竜は俺を見ながらバカにでもするかの様に鼻で大きく息を出し、その直後俺と同じように風剣を何本も展開され始め穂先を俺に向けてきた.....そう、俺の風剣乱舞を真似するかのように

そして、それは当たっているようで風剣は全て同時に動きだし俺へ向けて空中を走る


「くそがああ!」

スローになる視界で俺は両手剣を双剣に変えて近付いてくる風剣を片っ端から叩き落としていった、

その数は俺が作った風剣の数とは比べ物にならない程多く、壊れる度に新たに作り飛ばしてくるので切りがない

そして魔竜は何を思ったのか風剣を作るのを止めた


「はあはあはあ....くそが..はあはあ、何で止めた..?」

聞いたところで魔竜は答えてくるはずもなくただ...なんとなくだが感じ取れた

こいつは俺で遊んでいるんだろうか?、ならわざわざ俺と同じ技を使用しないししたところで止める必要はない

でも何故?


「今はそんな事どうでも良い」

どうやったら勝てるか?それが一番の問題のはずだ、

多分、風剣乱舞はさっきと同じで簡単に壊されるだろう、じゃあ新しい魔法を作る?何属性で?

風が効かないなら氷か?いや、無理だな、魔竜が放つ風剣に壊されるだけだ

思いつかない訳ではない、単純に俺が強くなれば良いだけの話だ、そしてその方法も分かってはいる

だが....


「寿命が減るけど...やるしかねえよな」

操作を間違えれば即刻アウト

操作が上手く行っても全身を傷付ける、体の内部までも、だから...外で待っていて、俺が勝つと信じてるルキナを信じよう


「この戦い俺は勝っても負けても死にかけるだろうからさ、後処理は頼んだぜルキナ」

何故か待っていてくれる魔竜を目の前にし俺は深呼吸を行う

身体中を駆け巡る魔力に思考を深く集中させていき...いつもの掛け声で発動させる








「さあ、一か八かの(ゲーム)賭けを始めようか」











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