第2章後日談2
入ってきたのは...
「お、ここで会うとはな」
「ですね。王様」
王様だった。
まあ、男性用なので夕食後に出会すのは可笑しくはないだろう。
それに俺にとってはわざわざ仕事場に行かなくて済むので好都合だ。
王様が俺の隣で湯に浸かると
「今日の報奨式どういうことですか?」
「何がだ?」
とぼけるか普通...
分かってるくせに
「10倍までに上がった報償金、そして婚約者候補についてです」
「それか...別に困るものではあるまい?」
「ですね。でもそれは報償金についての事だけでは?」
確かにお金が10倍までに上がった事については俺にデメリットは無いだろう。
だけど婚約者候補については別だ。
この人は俺が消えるって知っておきながら自分の娘を...
「そうだな。君が世界を救うことが出来た場合。君は元の世界に帰るのだろう。そうした場合娘は悲しむだろうな」
「じゃあ、わかっててなんで!?」
「気付いておるじゃろう?娘はお主の事を好いておることを。わしも止めたかった。だけど娘には出来るだけ笑っていて欲しかったんじゃ」
「だから婚約者候補の事は受け入れたと?候補に止めたと?」
「そうじゃ」
なんだよそれ....自分の娘に知っていて尚叶わぬ恋を歩かせるのかよ..
もし、俺が消えたとき候補ならば諦めてくれるだろうと望みを賭けて....
「.........」
「そう落ち込むでない。そなたのせいではないだろう?。これは娘の問題だ。」
「そうですけど...」
「わしに言えることはただ一つだ。娘と仲良くしてくれ。泣かせるな。とは言わん。ただ。お主が消えるまで夢を見させてあげてくれ」
「...........」
なんだよ....それ...
俺が居なくなるまで夢を見させてあげてくれって...
夢が覚めたらどうなる?それを考えてあげろよ..
淡い恋心の内に諦めさせろよ...
「出来れば。出来ればじゃ」
「.......?」
「世界を救い家族を救えても。この世界に残ってほしい。戻ってきてほしい。そう、思っておる」
「それは....」
確かに神に頼めば出来るだろう。
でも...家族を置いてなんて...出来るわけ..
「無理なのは解っておる。そもそも好みとか世界には家族を救うために来たんじゃ、置いてくるなって出来んじゃろう。じゃが、一度考えてみてほしい。此方で暮らす選択も。」
「....はい」
王様は言い終わると立ち上がった。
「じゃあ、わしは先に上がるぞ。さっきの件考えるだけでも構わん。」
「はい...わかりました」
すたすたと音を立てながら王様は風呂場を出ていった。
俺は絶対に胸ぐらいまで浸かってたのを肩までに姿勢を変え
「この世界で暮らす選択か...」
それは良い考えなのかもしれない。
確かにこっちでは不便な事は多い。文明レベルも高いとは言えない。
でも人々は皆暖かかった。そして魔物と戦えるのなら。地球よりも生活はしやすいだろう。
毎日座ってパソコンを内、肩と腰と目を痛め、ストレスを感じながら生活するより数倍良い楽な生活が出来る。
でも....家族を置いて生きたくない。
もし、この世界で好きな人が出来たとき...そして、その人と涼思いになれた時、
俺はどっちを選ぶべきなのだろうか?
「わかんねえよ....」
俺は守れれば。それで良かった。
守った後の事なんて考えこともなかった。
これから先もたどり着けるかどうかも解らない事を考えながらお風呂を出た。
風呂場を出た。俺はレイシアの部屋に戻らず裏庭に来ていた。
お風呂に入った後にまた汗をかくのはどうかと思ったがクリーンがあるし。最悪入り直せば良いだろう。
今は迷宮入りしそうな考えを振り払いたかった。
「はあはあ....」
取り合えず全部終わらせたけれど...考え事は振り払えたと思う。でも新たに問題も出来た。
それは最近じゃもう今のメニューじゃ物足りなくなってきた。
負荷を体に与えるために全身に魔力を纏わせて行うという風に段階的に上げてきたのだが...
そろそろ体が最終段階にも慣れてきた....
「どうしたもんかね.....」
単純に練習量をも増やしたり
スクワットやシャトルラン等を取り入れたりするのも良いだろう...
だけど、そろそろ別な奴がしたい気もする
.......ん?誰かが俺のウィンドサーチ内に入ってきた
「あ、アルマスさん、お久し振りです」
「さすがですねユウト様。気配を殺していたのに簡単にお気付きに。それで?ここで何を?
やって来たのはアルマスさんだった
最近はアースガルドに所属する町々を調査に行っていたらしいが。
もう帰ってきていたらしい。
「日課の修練を。今は練習メニューを増やそうかと思って考えてたんです」
「ふむ...一度その練習メニュー見せても頂いても宜しいですか?」
「あ、はい。お願いします」
さっきのやったメニューをもう一度行い、見せると
アルマスさんは深く考え始め
「そうですね...今は体全体の魔力を纏わせていますよね?」
「え?あ、はい。そうです」
「なら、次の段階として部分的に強化してみたらどうでしょうか?」
「部分的に?手だけとか足だけとかですか?」
「そうです。そうすれば全体を纏うより多く魔力を込められるし魔力操作が鍛えられます。そして鍛えたいところを重点的に鍛えられるので良いかと」
なるほど...部分的にか..
有りかもしれない。魔力を纏えばその分だけ体は強化され足ならば早く走ることが出き、手ならば重いものを持ち上げることができる。
そしてただ強化しているだけなので元に戻せばその時にかかった負担が帰ってくる。
「良いですね...やってみます。ありがとうございました」
「いえいえ、それじゃ私は国王様に報告があるので。では。また」
「はい、」
アルマスさんは俺に一礼すると裏庭を出ていった
俺は近くにあるベンチで魔力操作をしていた
魔力を一ヶ所に集めるか....
「キッツいな...」
出来なくは無いのだが直ぐに霧散するというか散らばるというか
長いこと出来ない。
今は手のひらに集めることをしているが中々上手くいかない...
それに頭痛が凄い...
MP消費量も凄いせいでもう殆どスッカラカンだ..
「はあ...そろそろ部屋に戻るか...」
クリーンを発動してから俺はレイシアの部屋に戻った
二人に遅いと言われたが...修練をしていたことを伝えると呆れながらも許してくれた。
軽く一冊読み終えてから俺たちは眠りについた。
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朝を二人揃ってメイドに起こされるという普段通りの朝を向かえ
全員が朝食を食べ終わってメイド達が片付けたあと、王様が
「ユウト殿」
「はい」
「今日の朝食が終わり次第護衛の任を解く。理由は...」
「アルマスさんが帰ってきたから。ですよね?」
「え?アルマス様が?それに護衛の任を解くって...」
それを言うと驚いた顔を見せるが
「やっぱり気付いておったか」と言いそうな顔をしていた。
一方レイシアはアルマスさんが帰ってきたので嬉しいがもう俺と一緒にいれないから寂しい?
なのかな?なんか複雑な顔をしていた...いや...寂しさが勝ってる気がする...
気のせいだろう...うん.きっとそうだ。
「レイシアよそもそもユウト殿にした依頼は結婚式を行う日を過ぎるまで。だったはずだ。それをユウト殿が依頼金はそのままで特別に依頼続行していただけだぞ?」
「そう...ですけど..」
「でも。本来の護衛役が帰ってきた今。俺がわざわざ護衛する必要はない。そういう事ですよね?」
「そうだ。それに彼はもうすぐ大きな依頼が来るだろう」
「「え....?」」
大きな依頼?
え.....何が起きんの?嫌な予感しかしないんですけど!?
王様もしまった。みたいな顔しないでくださいよ...
「もういいか。言ってしまったのも仕方ない。ユウト殿。お主にはもうすぐAランク昇格の依頼が来る」
「Aランク昇格の依頼ですか?」
はい。俺死ぬの決定!
まあ。フラミさん達が言っていた条件通りならだけども
D→Aにいきなり昇格するにはそれなりにキツい依頼を受けることになるだろうな..
いやだな...俺5日前に不滅魔竜倒したばっかりなんですけど...
「条件は?」
「無限迷宮のの完全攻略じゃ」
「お父様!?いくら何でもそれは無茶ぶりです。」
「娘よ...私もそれは知っておる。Aランク20人でも攻略不可能迷宮じゃ。普通ならば無理だろう」
「では、何故!?ユウトさんに死ねと言ってるんですか!?」
「それは.....」
いやいや......詰まらせないでよ...
て言うかフラミさん達が言った通りになったのか...
無限迷宮の完全攻略。つまり、最深部に行けと言う命令...
「レイシア、落ち着いて。王様、理由はお聞きしても?」
「構わん」
「.....はい」
「フレスベルグ、聖王都は魔王軍によって甚大な被害が出ている。それをユウト殿どちらを退けた。じゃが。復興作業は国の金を使っておる。そしてそろそろ国家資金がキツくなっておる。」
「だから。魔王軍を退け、単独で二回も魔竜を討伐した俺を、迷宮攻略に向かわせると?」
「そうじゃお主は迷宮の最速攻略保持者だからの」
色々矛盾してないか?
確かに国は財政難なんだろう
そして俺は最速保持者で町を救った英雄だ。
でも。その結果俺が迷宮攻略をするってのはいくら何でも可笑しい
「可笑しくないですか?。何で財政難を回復するためだけに迷宮攻略が必要なんですか?」
「それは...」
「最深部に何かが眠っているんですね?。もしくは単純に俺を殺したいだけか」
「.........」
「お父様.......?。まさか後者の方じゃ無いですよね?」
「それは違う!」
ふむ.....なら迷宮最深部には何かが眠っているってことか...
ラノベとかなら。
ドラゴンがいて金銀財宝が大量にある
ダンジョンマスターがいて何かを譲ってくれる
って当たりか?。いや。攻略者をダンジョンマスターにするってパターンもあるか?
「最深部に何かが眠ってる。それを手に入れれば国は生き返る。それは本当ですか?」
「.....そうじゃ」
「そして、俺の昇格依頼はもう取り消しが不可能ですよね?」
「そうじゃ」
「そして国内部には俺を殺したい奴がいる。そうですね?」
「そうじゃ...」
「その俺を殺したい奴は昇格依頼の場合だけ王様より発言件が上、もしくは同じ位置にいる。だから逆らえないし止めたくても止められない。そうですね?」
「そうじゃ」
....はあ...一難去ってまた一難。か...
国にとっては...いや俺を殺したい誰かは損はしない
俺が死んだら。そいつは嬉しいし、俺が成功したらしたらで財政難が回復する
そしてそれが決定してしまったのは。俺にも責任はあるのだろう
誰にも、勇者にも不可能だった不滅魔竜グラマルトの討伐、
それを単独で行った。
それは他の権力者も賛成とさせるだけの効果を持っていたんだろう。
「わかりました。受けます」
「ユウトさん!?」
「レイシア、どの道昇格依頼は絶対に受けないといけない依頼だ。だからどうやっても行うしかない。」
「「.......」」
「一つだけ条件を言って良いですか?」
「.....なんじゃ?」
「もし、もし、俺が迷宮完全攻略を成功させたら。その俺を殺したいって奴を教えて下さい」
「わかった。でも何故じゃ?知ってどうにも出来んじゃろう?相手は貴族だぞ?」
「そうですね...それは秘密です。そしてその人にもこの事は伝えないでください。」
「了解じゃ。正式に依頼が来るのは2週間後になると思う。気を付けてくれよ。国を出ても構わん。だから死なないでくれ」
「はい。わかっています。」
朝食が終わると俺は直ぐに城を出た。
レイシアと王様が見送りに来てくれたので軽く挨拶をしたが
その後はリンクさん達が止まってるという宿にいき
今日の一日泊まる分を払い鍵を受け取り、冒険者ギルドに向かったのだった
第2章終わりです
次はの第3章はメインヒロインを出せます(結衣じゃないほう)
それと迷宮攻略です。
今のところ迷宮ボスでは不滅魔竜みたいなヤバヤバな奴は出す予定は無いですが
まあ...強いです。なんたってAランカーの厳選された20名が挑んで負けましたからね。
......倒せるかな?そしてそれほど強い魔物を表現できるか不明ですが..ガクブル
頑張りたいと思います。
では、また、( *・ω・)ノ))バイバイ




