敗北
カ~ンカ~ンカ~ンカ~ン
またこの合図で俺は起きた。
確か寝たのは昼過ぎだったはずだから。かなり寝たことになる。
ベッドから降りてそのまま食堂へ向かうと、いつも騒いでるが。何かを妙な感じがする。
気になるが聞く相手もいないので席につき、運ばれて来る料理を食べ始めた。
食べている途中、隣の客が気になる事を話していた。
「なあ、知ってるか?」
「何をだ?」
「ヨンガ山で討伐に失敗して亡くなった冒険者を回収しに行った、Cランク冒険者5人とDランク冒険者7人が帰って来ないらしい。」
「マジかよ。で、真相は?」
「帰ってこない冒険者のことを気になったギルドが、斥候を主とする冒険者に見に行って貰ったら。なんと全滅してたらしい」
「おいおい、マジかよ。Cランク5人いて全滅ってあり得ないだろ」
「俺もそう思ったが本当らしいぜ」
その話を聞き。手に持っていたフォークを落とした。
それに気付いたフィーネちゃんが新しいフォークを持ってきて。落としたフォークを拾ってくれた。
「もう、ユウトさん、フォーク落とさないでくださいよぉ、子供じゃない……んです…から……、え、ユウトさん大丈夫ですか!?」
「え、あ、ごめん。大丈夫ですよ」
多分、相当酷い顔をしているんだろう
自分でも自覚できる程に後悔の念が渦巻いていた
「大丈夫なら。そんな酷いか顔にならないですよ」
「いや、本当大丈夫だから」
「そうですか?。なら良いですけど。気を付けてくださいね」
「う、うん」
そう言いフィーネちゃんは何事もなかった用に厨房に戻り。料理を運ぶ作業を再開した。
どう言うことだ!?。なんで……
あれだよな。今日俺が報告した遺体を回収しに行ったグループだよな……
俺が懸念した通りになったってことかよ! 感情のままに机を叩いた。
フィーネちゃんが心配そうに近付いてきた。
「どうかしたんですか?ユウトさん」
「ごめん。フィーネちゃん、これ片付けてくれる?。今から行くところ出来ちゃってさ」
「え、構いませんが。今からですか?。もう外は暗いですよ」
「うん、わかってる。でも、大事なことだから」
「そうですか……気を付けてくださいね。帰ってきたらご飯作りますから」
「うん、ありがとう」
俺はフィーネちゃんの頭を撫でてから。急いで部屋に戻った。
双剣を腰に差し。バッグにある水筒に水を補充した。
準備が整ったので俺は急いでヨンガ山に向かった。
くそ!くそ!くそ!くそ!くそ!
なんであの時俺は勝手に大丈夫だと決めつけた!?。
なんであの時違和感の事を深く追及しなかった!?
くそ!くそ!くそ!くそ!くそ!
そうだよ!俺が甲虫を倒したときにあった遺体も熟練者じゃねえか!
なんでこんな簡単なことを気付かなかった!?
くそ!くそ!くそ!くそ!くそ!
なんであの時助けに行こうとしなかった!?大丈夫だと思ったからか?。確かに思った。
けど、あれはただ単に怖かっただけだろ!?。あの甲虫やもっとヤバイ奴等がうじゃうじゃいるところに飛び込むのが、そして死ぬのが!
そんな甘いことをして、なった結果がこれかよ!。確かに間に合わず死んだ奴がいたかもしれない。でも助けられた人だっているかも知れなかったのに!。俺は自分可愛さで見殺しにした!。
夢中になって、町を草原を山を走ってると大量の死体が無惨に転がっている所に行き着いた。
「はあはあはあ………ふざけんなあぁぁぁぁぁぁ! 」
死体は合計で12体あり首にあるランクカードはCが5個Dが7個ある。
全員突き刺さったり切り殺されたり、噛み殺されたりしている。
ん?噛み殺されたり?
「ああ……やっぱり甲虫以外にもいるのか……狼型か?」
噛みあとからそう判断した。噛みあとがアルルグにしては小さく。少し細長い。
長く飛び出ている狼や犬以外にいるかも知れないが俺は知らないため取り合えずそう仮定する。
地面には狼型の歩いた血の後があり俺はそれを走りながらたどっていった。
途中襲われる可能性があるので。ウィンドと鑑定を常時発動しとく。
発動すると何体かがこっちに飛んで向かっていた。
当然体は命の危機にさらされるので。視界がスローに変わる
風魔法と鑑定の混合魔法で。位置が的確にわかる。
前に3匹、右に1匹、左に1匹だ この早さだと前→右→前→前→左の順に俺と接触することがわかった。
近付いてきた前の奴を左手で剣を抜くと同時に振り上げる、これで1匹目
振り上げた反動で体が右に向いているのでそのまま右手の剣を抜いて横一線。これで2匹目当
次が来るまで少しあるので体勢を元に戻すし両剣とも鞘にしまいで走りを続行する。
前の敵は同時に出てきたので二体の間にエアロバリアを作りぶつからせる。空気が解放されこっちにも突風が吹くがそれをお構いなしに飛び出し右の奴を右手の剣を抜くと同時に振り上げ真っ二つにする、もう一体の横を通り過ぎる途中。ボックスから左手にナイフを出し、降り下ろす。これで4匹目、
最後のやつは体勢を崩してるなか突進してきたのでエアロバリアで守り。突風に身を任せ後ろに後退し体勢を整える。ナイフをボックスにしまいもう一本の剣も抜く。
それと同時に甲虫が風を抜けてきて突進してきたのでもう一回エアロバリアを発動させ、動きを止めた瞬間に飛び込み切る。
「切り抜けたなか」
呟き。血のあとを走りながら辿っていった、
たどる途中で何体かが襲ってきたが時間が惜しいので止まらず勢いに任せて全て斬り倒した。
走っている途中で少し先で血の後が無くなっていることに気付いた。
無くなっている所で走るのを止め、一回周囲全体に広くウィンドを発動させ調べたが何もでなかった。ある部分を除いては。
この奥には木々がなく開けた場所になっているらしく。そして結界があるようにそこにはウィンドが届かなかった。
剣をしっかり握り。結界があるであろう場所に歩いていった。
結界を剣で壊し、開けた場所に出た瞬間俺は絶句した。
視界には何も見えないが。混合魔法が嫌でも見せ付けてくる。
人工透明魔獣(狼型) (保存)
Lv 35
討伐推奨Lv 不明
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人工透明魔鳥 (保存)
Lv 32
ソロ討伐推奨Lv 不明
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人工透明魔甲虫 (保存)
Lv 30
ソロ討伐推奨Lv 不明
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マジかよ……
なんでこんな奴等が、どれも100匹以上いるんだよ………
全員ピクリとも動かないし状態が保存なので。多分命令されておらず眠っているんだろう。
「良かった……」
それからずっと眠っているこいつらを片っ端から殺していった。
当然レベルもあがり、33になった。300体以上も倒してりゃ嫌でも上がる。
岩を背にし休んでると、森の茂みからパチパチと拍手の音が聞こえた。
立ち上がり柄に手を添える。
「だれだ!」
「いやぁ~~お見事。よくここがわかり、そしてたどり着いたね。」
俺を誉めながら出てきたのは20歳位の金髪白人男性だ。体格は俺くらいで顔はかなりのイケメンだが
チャラそうだ。
「もう一度言う。お前は誰だ!それにこれの事を知ってるのか!」
男はずっとニヤニヤしてる。とても楽しんでるのだろう。
何に?と聞かれればそいつ自信にしか分からないので答えようがないが....
「いやぁ~~まだ名乗ってなかったね。メンゴメンゴ。俺は魔王軍幹部の一人、錬金使いランマルト・ディミトリ、魔王により授かった名前はベルゼブブだ。以後お見知りおきを」
男は名前を名乗り深く礼をした。
それに魔王軍幹部? それに錬金使い?
「この子達はね。僕の作った魔物でね。結構自信があったんだけど。ぜぇ~んぶ君に殺されちゃった。
良いけどねー、また作れば良いし」
「魔王軍ってなんだ?。それに作ったってどういう意味だ!」
「おお怖い怖い。そんな怒鳴らなくてもいいじゃん、 まあいいや 。ここまでこれた褒美に全部答えてあげようじゃないか。そうだね~魔王軍ってのは西に最果てにある暗黒領域を統べる王、それに仕える騎士達の事だよ
僕はその中の7人いる幹部の一人って訳さ。そんでそんでこの子達は僕が錬金術で作った魔物なんだよ。答えたよ。次は何を聞きたい?」
へえ、魔王って奴がいるのか……そいつが『ルミナリス』が滅びを向かえる原因そして俺達転移者が呼ばれた理由なのか?
「そうだな。なんでお前はこいつら作った?。」
「簡単さ魔王の命令でねアースガルドを乗っとるためさ。ここが迷宮都市であり莫大な富をもたらす町だからまずここを落として。物資の救急元を断ちじわじわと乗っ取ろうと思ったのさ。 そんでそんで取り合えずここに作った魔物を置いてたんだけど。全部殺されちゃった訳、君にね。ここを守るためにやって来る熟練冒険者を殺してたのに。君が守ってた一匹を殺しちゃった。だから今度は何匹か接地したわけだ。別に殺そうと思って。殺したんじゃないよ?」
「なるほど、運悪く居合わせて。冒険者が死んだのはわかった。次だ乗っ取った町にいる住民はどうする気だ」
「え?そんなの決まってんじゃん。魔物の素材のために殺すよ?。いやぁ~、森で死んだ冒険者達も良い素材になったしね」
その解答を聞いて背筋が凍った。
こいつ今なんて言いやがった?。
殺して素材に使う?。
「ふざけんじゃねえよ」
「ん?」
「ふざけんじゃねえ、って言ってんだよ!」
俺は怒りをそのまま声に出し吼え。ランマルトに向かって飛び出した。双剣も交差するように抜剣した。
双剣が斬り襲うとした瞬間。ランマルトがバックステップをし、そして何かが俺とランマルトの間に入ってきて俺の剣を防いだ。
すかさず、俺は遠ざかり割り込んできた透明な奴に混合魔法を使った。
人工透明魔人 (使役)
レベル39
ソロ討伐推奨Lv 不明
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「魔人……だと」
「へえ、よく分かったね。そうだよこいつは人間を素材に作った僕の魔物だ。さあ、殺って。僕の作品よ」
そう命令された魔人は俺に近付いてきた。瞬時にウィンドと鑑定を同時発動させた
魔人は突如俺に向かって走ってきて。殴り掛かってきた。殴らそうになった所でスローに変わり。横に飛んで避わした。
魔人は拳を振り抜き。地面に落とすと、そこには少しクレーターが出来ていた。
凄まじいパワーだ。多分キングオークより力があるだろう。
拳相手に不利だと考え双剣を鞘にしまい、鞘ごとボックスにしまった
「おやぁ。剣を使わなくていいのかい?」
話しかけれきたが。返す余裕はない。
避われた魔人はすぐに俺の方に顔を動かした。俺はそれと同時にボックスから取り出したナイフを投擲した。
投擲したナイフは眉間を貫き。魔人は即死したのかバタンと倒れた。
どんな生物も動き出しに攻撃されると、わかっていても避けられない。間に合ってよかった。
「へえ、魔人をこんな早く倒すのか」
「次はあんただ錬金使い」
そう言いランマルトに向かって飛び出した。
ランマルトは何処から出したかわかんないが俺に向かって剣を降り下ろしてきた。
それをボックスから右手に出したダガーの背で受けとめ。そのまま壊す。そして左手で双剣の片割れをボックスから取り出し
心臓に向かって差し貫こうとした時。
ザシュッ
「えっ?」
生々しい音が耳に響くと同時に体から力が抜けていった
何だろうと思い、音がした部分を見てみると.....心臓があるはずの部分に穴が空いていた
「何が....」
「おっそいよぉーー。マリクのバカァー 」
「ふんっ!お前が勝手に飛び出していって勝手に死にかけてたんだろう?」
「そうだけどね~」
意味が分からない
何で....何でこんな奴出てくるんだよ....混合魔法には...表示されなかったのに....
「てか、相変わらずえげつないことするよね、助けて貰っておいて言える立場じゃないけどさ」
「うるさい。なら黙っていろ、それに反撃でもされたら面倒だ、なら心臓や首を狙って回復不能にしておいた方がいいだろう」
「いや、そうなんだけどさあぁ…。まあいいや。こいつも素材にしよぉっと」
俺を素材?....俺をさっきのホムンクルスと同じようにするって事か...?
俺に向かって伸ばされる腕は...何故か見方であるはずのマリクが掴み
「待て、そんな事をしてる暇はないぞ。今からこいつが殺した魔物を合体させないと。間に合わないぞ。」
「えええぇぇぇぇ!まあしょうがないか」
そう言いランマルトがっかりしたような大きな声を上げる
だが、本当にがっかりしたのか分からないほど簡単に諦めた
「それより。お前の言った通りになったな」
「何がぁ?」
「こいつがここに来るって事をだよ」
.....どういう事だ?
どうして俺が来るってわかった?....あの甲虫をコイツが操っていて、俺が討伐したと分かっていても
俺がここに来ることは分からなかったはずだ
「まあね。マリクが召喚したキングオーク達を倒し、僕のビートルまで倒したイレギュラーだよ?」
は?....アルルグとオークを召喚した
どういう事だ?....アルルグは俺が初めてあったアルルグの事だろうけど...それより...召喚した?
錬金使いの次は召喚使いか?
「そうだな。だが俺たちの作戦は変わらん。こいつが来なかったら300を超えるスケルトンモンスターが町を襲う。来たら来たで倒されたモンスターを素材にしてさらなる魔物を作るって襲撃する」
「うんうん、作戦通りだ」
合体?....何がおきるんだよ.....
やめろよ....あの町には何百の人間がいると思ってんだ....そんな事したら....みんなが...
「や...めろ...」
「うわぁすごーい、心臓を貫かれてまだ生きてるんだぁ」
「フンッ!」
また、グチュリと言う音が聞こえ、視界がグルグルと回った
何が起きた?そう思い首を動かそうとすると...中かが足りず動かすことが出来ず、仕方無く目を動かしせめても回りを見ようとすると.....首が無くなった俺の死体が転がっていた
「えっぐ....まあこれでイレギュラーも完全に死んだことだし。後は魔法も完成させて合体するのを待つだけだね」
「ああ。やっと一歩が踏み出せるな」
合体し大きくなっていく魔物を見ながら。彼等はフレスベルグを乗っ取った後の事を想像し。胸を高鳴らせる
そして....俺は意識を...いや、命を失うのだった
※スキル《七つの命》が発動しました