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二話



目を覚ますと深い霧の中にいた

露出している首や腕、足がチクチクしている事から芝の上で寝ている事がなんとなく分かる

体を起こし何で俺がこんな場所にいるのかを思い出そうと無理矢理頭を回転させた


「ああ...俺、死んだんだっけ?」

切られた首を触り、治っている事に気付き、ほっ、としながら呟いた

俺達を殺すときの父さんはなにか様子がおかしかった気がする...最後に言っていた言葉から考えると何かに操られていたような...


「今はそんな事どうでも良いか...それより、ここどこだ?」

どうでも良くは無いのだが...今はそれより大事なことがあるので切り替える

視界は霧に覆われていて殆ど何も見えず、自分がどこに居るのかさっぱり分からない


「普通に考えれば天国か地獄だよな?」

...いや、まず天国と地獄って人間が勝手に考えた世界だよな?..

だからここが天国でも地獄でも無い可能性が極めて高いわけで...俺が死んだことは確かだし助けは来ないってのは分かっている。

なら...山みたいに動かない方が良いとかはほぼ通用しないだろうな


「歩き回ってみるか?。何かあるかも知れねえし」

立ち上がり取り合えず真っ直ぐに進んでみた

霧に覆われているのでちゃんと真っ直ぐに歩けているかわからないけど....



「お?木か?」

しばらく歩いていると目の前に巨大な木のシルエットが浮かび上がった

俺はその木に近付くために走った。

木の根本に行くと....


「でけぇええ...」

木の幹の横幅は平均体型の大人が4~5人分あり

高さは霧のせいで全くわからないがこの幹の太さからしてかなり高いと思う

木から目を離し、何となく回りを見渡してみると...


小さい女の子?が立っていた

さっきまで居なかったような気がするけれども...この霧の状態だし気付かなかっただけだろう

ここが何処か聞こうと俺はその子に近付くと....


「ッ!?。な、何で...」

何で凪沙がいるんだ?....

いや。確か母さんも凪沙も父さんに殺されたんだし居ても可笑しくはないか...


「凪沙....だよな?」


「ん?凪沙って誰だ?」


「え?」

声も凪沙のものだった....

でも、どういうことだ?。何で自分の事がわからない?


「ああ、そうか。この体の持ち主の名前か」


「何を...言って...」

体の持ち主ってどう言うことだよ..

それじゃまるで凪沙が操られているみたいじゃねえか..


「要するにだ。俺はこの体を借りてここにいるんだよ」


「.....意味がわかんねえよ。仮にもし凪沙の体を借りていたとしてお前は誰だよ」


「神だな。お前の世界の神じゃないがな」


「は?神?」

余計意味わかんねえよ...

神って空想場の生き物だろ?存在するわけが...


「信じて無いみたいだな」


「当たり前だろ!?」


「んじゃ。証拠見せてやるよ。少し待ってろ」

そう言うと神を名乗る凪沙が消えていった

そして次に現れたのが父さんだった...


「これで信じてくれたか?」


「っ!?」

父さんの体なのに凪沙の声がする...

多分。こいつが神ってのは事実っぽいな....音声を記録して流しているかも知れねえけど口の動きとシンクロしてる事からそれは多分あり得ない


「あ,ああ。お前が神様ってのは取り合えず信じるよ。」


「良かったぜ」


「じゃあ。その神様が何でこんな所にいるんだよ、て言うか此処は何処だよ」


「ん?ああ、ここは神界と下界を繋ぐ道にある何万個もある世界の一つだ」

神界は...まあ神が住む世界で下界...は多分俺達人間が住む世界の事なんだろう

それを繋ぐ何万個もある世界...ってことは神界と下界はなにかしらの繋がりがあるのか?いや、あるんだろうな、だから俺を連れてくる事が出来たんだ

それよりも....


「母さんや凪沙はどうしたんだ?」


「此処には居ねえよ」


「俺は....なんのために、いや...俺に何をさせたいんだ?」

可能性が限りなく低いと思いたいが

多分父さんの様子が変だったのは神が関わっていると思って良いだろう、そして、何かしらの方法を使って父さんに俺達を殺させて自害もさせた。

んで、俺だけを此処に連れてきて神本人が出てきた...


「察しが良くて助かる、まあ、そうだな、簡単に言うと俺が作った世界....お前からしたら異世界か?、そこに行って貰いたい、違うな、行け」

しどろもどろになりながらも言ってきた言葉に俺は固まった

何言ってんだ。コイツ....


「は?い、異世界?え?」


「おめえもガキなんだから一度は読んだことや聞いたことはあるだろ?」


「い、異世界ってあの異世界?モンスターとか魔法とか迷宮とかの?」

いきなり突拍子も無い事を言われ戸惑う

そりゃそういう小説読んでるから知ってるけど...あくまで異世界とかは空想だろ?なんでこんな大事な話で出てくるんだ?

もしもだ、もし本当に異世界があったとして、そもそもなんで俺なんだ?呼ぶなら軍隊の人のがいいだろ...


「ああ、その異世界だ、」


「その異世界が本当にあったとして、何故俺なんだ?、それに、なんで家族まで殺す必要があった?」


「そりゃ、何の代償も無しに異世界に行ける訳ねえだろ。それぐらい分かれ、何故お前が選ばれたかってのは簡単だ。お前が地球人の中で戦う才能と可能性をつかみとるだけの運があるからだ」

確かに異世界譚とかだと、転移に人の死が関わってるものは多くあるしわからなくはない、

ただ、俺に戦う才能があるってのは不可解だ、だって俺普通の高校生(多分)だぜ


「俺に戦う才能なんて、もしあったとしてもどうしてお前の言うことを聞かなきゃいけない?人の家族殺しておいて言うこと聞くと思ってるのか?」


「まあ、当然そうなるわな。ならこう言おう、お前がもし俺の世界を救えたのなら殺した家族を生き返してやろう、当然お前も元の世界、地球に帰れる。これならお前は断れないはずだ、だってお前は守ることに関しては異常なほどの執着心があるんだからな、要は人質ってことだ。」

なんだよそれ....勝手に殺しておいて、異世界を救ったら生き返してやろうだと?

ふざけんじゃねえよ!自作自演じゃねえか!だけど....奴が言ってる事は事実だ。俺は家族を守りたい、二度と大切な人は失いたくない!


「人質って最低だな、勝手に呼ぼうとして....」


「神が人間ごときに気を使うはずねえだろ、それと戦う才能どうたらは、一つ簡単に分かるだろうだってお前、こんな状況なのに冷静過ぎるだろう、心の強さってのは戦うの上で重要な事だからな」

冷静?そんなわけねえだろ、勝手に殺されて、脅されて、異世界に行かされそうになって………

なんで俺こんなに考え事が出来るんだ?普通はパニクるはずだろ?


「わかったか?」


「ああ、確かに冷静に考えてはいられるな、でもまだ不可解な点が2つあるぞ、1つは心の強さなんてもっと強い人とかいるはずだ、2つ目なんで俺は異世界に行かされそうになってるんだ?」


「1つ目の答えは、確かにお前以上に精神力が強いやつはたくさんいるが。同時に戦闘能力もなくちゃいけない。お前は先天性の両利きと人間離れした動体視力と反射神経を持っているんだ、気付いていないだろうがな、だからお前を選んだ。2つ目はまあ、異世界が滅びそうだから救ってほしいってだけだよ」

確かに物心つくまえから、両利きだったし、昔から動体視力と反射神経がいいことはわかっていた

でも人間離れしてる程か?俺より良い奴他に居たし...もし仮に人間離れしていたとしてもなんで両利きと反射神経、動体視力が選ばれる理由なんだ?知識があるとか力があるとかのが良いんじゃないのか?、

それに滅びそうって神が介入したら済む話じゃねえのか?


「なんで両利きに動体視力、反射神経なんだ?もっと別の才能のがいいんじゃねえのか?」


「二刀流だよ」


「二刀流?」


「二刀流は両利き、動体視力と反射神経があれば単純に強いからな、それと先天性ってのが重要だ、訓練して両利きになっても良いけどな、それだと、いざっていうときに、元々の利き腕だけが反応しちまう、それは二刀流には致命的だ、生まれもっての両利き、圧倒的動体視力と反射神経この二つの組み合わせは二刀流を使えば、最強だ」

なるほど確かに理解だけは出来る。

でも、二刀流って強いのか?、現に昔の侍では二刀流は一刀流に負けてるし、二刀を片手ずつで扱うから、火力が断然弱い。そう聞いたことがある気がする。


「二刀流ってそんなに強いか?、昔の侍は二刀流で一刀流に負けてるし、片手で攻撃する分威力や早さがでねえだろ」


「昔の侍って宮本武蔵か?、ありゃ参考にならねえよなんの才能もねえし、普通にやってたほうが強かったぐらいだからな、寧ろなんの才能もないのにあそこまで強くなれたってのは、二刀流が強いってことの証明だろ」

まじかあのお侍、二刀流使わない方が強かったんだ……なんか歴史の真相をこんなところで知るとは思わなかった。


「確かに一刀一刀の速さは遅いし、片腕の筋力だから威力は出ねえよ、でもな、時間辺りの攻撃回数は桁違いだ

反射神経があるおかげで、一刀目の攻撃で回避不能みたいになっても刀の柄や身で受けたりすることが出来るから防御性も高い」


「なるほど、確かに二刀流が強いってことは分かったよ、でも、そもそも一刀辺り1~2キロあるやつを片手で一刀づつ持てる筋力なければ意味ないよな?」


「まあな、使えたら化けるってだけで、使えるまでの道のりは長いだろうな、でもな、これ異世界転移だぞ、それに早く救って欲しいんだ、ステータスの底上げ位はする、底上げしなかったら、転移されて数日で殺された例があるからな」

まあそりゃそうか、ステータス位は上げるよな………、転移されて数日で殺された?つまり他にも呼ばれた人がいるってことか?


「次だ。なんで滅ぶこと事態に介入出来ない?、俺達には介入出来たんだろ?」


「それはな、神は自分が作った世界には一才介入出来ない理があるんだよ、まあ他の神の世界に介入しようとしたらその世界の神に許可を貰わないと行けないし、借りを作ることになる。まあそんなところだ。他にあるか?」

他に聞くことはあるだろうか……何故俺が選ばれたのか、何故神が介入しないのかは聞いた……

あ、肝心なこと聞いてないな


「そもそもなんでその世界は滅びそうなんだ?それにその世界がどんなところかも聞いてなかった」


「すまん、その質問には答えられねえ。借りを作ったってことは話しただろ?その借りを作った神がその……

俺のことを嫌っていてな、送る条件に、俺の世界のことは一切知らせないことになったんだ、異世界に行けてもなんの情報もなかったら生きるには難しいし何故滅びかけているかわからなければ救いようが無いことをわかってやがる、条件は借りとは関係無いし、……」


「つまり、俺が世界を救えなかったら、無駄に借りを作っただけってことになるのか、」


「そういう事になるな。」

なんだよ...それ

頼みの綱が俺?ふざけんなよ!彼女を失い、今度は家族まで....なんで俺なんだよ....

それに...俺が救ったとして...本当に家族は生き返るのか?元通りの生活に戻れるのか?


「最後だ...もし仮に俺がお前の世界を救ったとしよう...それで本当に家族は助かるのか?..」


「ああ、誓おう」


「それと...俺が救った後、また滅びそうになっても俺の身内には手を出さないでくれ」

これも大事な事だ

もし、世界を救い無事家族を生き返らせました、でも、また異世界が滅びそうになったので人質として殺します

それじゃあ話にならない


「良いだろう、二度とお前の身内には手を出さないと誓おう、他に聞きたい事はあるか?」


「ああ、今のところ聞きたいことは全部聞いたはずだ」


「そうか、これからお前を姉妹世界アスタリスクの妹世界『ルミナリス』に送る。そこで命がけの戦いや困難が待ち受けているだろう、だが、諦めないでくれ。俺から送れる転移者はお前が最後なんだ。だから絶対に世界を救ってくれ。」

なるほど、俺が最後の転移者か..だから人質を捕って俺のやる気を出せたのか...

良いぜ。やってやるよ。世界も家族も俺が救ってみせる。


「最後だ、妹ぐらいには会わせてやるよ」


「え」

そう言うと父さんの姿の神は消えて、妹が出てきた。


「凪紗なのか?」


「うん、お兄ちゃん、」

そう返事すると妹は泣きながら抱き付いてきた、俺は妹を強く抱きしめ返した


「話は聞いてるよ。お兄ちゃん」


「そっか..兄ちゃん頑張るからな、絶対に救ってみせる。そしたら、また家族3人いや...4人で暮らそう?」


「うん、頑張ってお兄ちゃん、約束だよ。」


「ああ。約束だ。」


「じゃあ。お兄ちゃん。寂しいけどお別れだね。」

そう言うと凪沙は俺から離れて

いつの間にか持っていた拳銃を俺の額に突き付けてきた。


「え?」


「最後は私が送ってあげる、頑張ってねお兄ちゃん、負けないで。」

その言葉を最後に凪沙は引き金を引いた

そこで俺の意識は途切れ、銃声が長く激しい戦いの始まりを告げた。

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