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一話

七つの命の英雄/勇者

と書いてセブンライフのえいゆうしゃと読みます







「はあはあはあ......」


「その程度で俺に勝てると思っているのか?」

目の前にいる奴はそう言ってきた

黒いモヤがかかっておりどんな奴かは全くわからない

声は男性っぽく、武器は巨大な漆黒の鎌、そして俺より何倍も強い


.....強すぎだろ

全く歯が立たなかった。

後ろを見るとボロボロになって倒れている二人が見えた、×××と××はもう満身創痍で酷使はできない。

気は失っていないが立てないほどに消耗しており、このままこの場所(戦場)にいれば危険だと考えなくても分かる


くそっ!くそくそくそくそ.....

どうすれば!


せめて、二人は逃がさないと....

だけどきっとただ後ろに下がっただけじゃ攻撃される。

だから....


「うあああああああああああ!」

握りしめていた剣を持って立ち上がり

吠えながら剣で襲いかかった。

何度も何度もお互いの武器をぶつけ合い....わざと押し負け吹き飛ばされた

倒れている二人の所へと


これで良い、後は....二人に触れて「契約解除」と呟いた


「ッ!?。ご主人様!?」


「ユウト君!?。ダメだよ!?...」

二人との繋がりが切れたことを感じ取った

それは二人もそうだったのか。驚きの表情で俺を見てきた


「良いんだよこれで、二人にはまだ生きて欲しい....だから、さよならだ、今までありがとう。」


「何を言って....」


「ユウト君!?」


「じゃあ、後は頼んだ」

そう言うと俺は立ち上がり....「【ワープ】」と呟いた。

その呟きに応じるように二人のいる床に別々に二つの魔法陣が浮かび上がり....二人は消えた


「良いのか?逃がして、二人を使っても俺に勝てなかったのに更に戦力を下げるのか?」


「ああ、これで良いんだ。このまま二人を場所(戦場)に居させたって危ないだけだ」


「そうか、まあ良い俺は邪魔者を排除するだけだ、では行くぞ」


「ああ」

俺は持っている剣を構え、黒いモヤの奴と再びぶつかった。

結果は...当然ながら俺の負けだ。


「これで終わりだ」

その声を最後に俺は胸を深く切り裂かれたのだった。




☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆








☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆




「うわあああああああっ!?」

叫び声をあげながら俺は飛び起きた

全身汗だくになっており息が苦しく、心臓はバクバクと激しく鳴っている


「はあはあはあ....何だよ...今の夢は...」

息が切れながらさっき見た夢を思い返してみる

黒いモヤの奴と戦い、負けて、二人の女の子を逃がして、また挑み、命を落とした

何で.....こんな夢見るんだよ、天罰かよ。あいつを(・ ・ ・ ・)守れなか(・ ・ ・ ・)った(・ ・)さ...


あの事(・ ・ ・)を思い出していると...

俺が使っている部屋のドアの外からドタドタと走る音が聞こえてきて

"ドバン!"

と普通にしてたら絶対に鳴らないような音と同時に妹がドアを開けて入ってきた


「お兄ちゃん大丈夫!?何か叫んでたけど!?」


「凪沙か....何でもないよ。ごめん、心配かけて」


「なんでも無いって...すごい汗だよ?顔色も悪いし...あの事(・ ・ ・)の夢でも見たの?」

心配してくれる妹の言葉で酷い顔をしてる事に気付いた

顔色...悪くなってるのか...そりゃそうだよな...自分が殺される夢を見た後に...先々月起きた最悪の出来事を思い出したんだから


「いや。その事とは関係無いよ、訳がわからない夢だった。俺が殺される夢...」


「え?....誰に?」


「それもわかんない。黒いモヤがかかってたからさ」


「そっか、まあ殺されると言っても所詮夢だしさ、元気出そ?」

凪沙はニコッと可愛く笑った...何でそんな風に笑えるんだ...そう思わなくはない

だが、この笑顔は俺を励まそうとするためにしてるって分かっているので責めることは出来ない

俺はベッドから出て作り笑顔を作ってから凪沙の頭に手を乗せて


「そうだな。それと凪沙。おはよう」


「うん。おはよう」


「俺、制服に着替えるから部屋出て」


「はーい」

タオルで汗を吹いてから私服から制服に着替え、今日はテスト日なのでいつもより軽くなっているバッグを持ってリビングへ向かった

凪沙は俺の部屋に来たときは制服姿では無かったので着替えてるんだろう、そのためリビングには居なかった

その代わりに....


「母さん おはよう」


「おはよう、悠斗。大丈夫?さっき凄い声だしてたけど」


「うん、まあ...大丈夫。あの事(・ ・ ・)の夢じゃ無かったし」


「そう。良かった。あ、今日はテストでしょ?勉強大丈夫?」


「大丈夫かな?...やってみなきゃ分かんないけど、いつもと変わんないと思う」

そんな雑談をしながら朝食が出来るのを待ち、朝食が出来た頃に丁度よく妹もやって来て三人で朝食を取った

その後は時間になるまで教科書や参考書を見ながら過ごし、時間になったので家を出て学校に向かった



テストは無事に終わり、自己評価だが結構出来たと思う

...まあ大抵そう思うときって全然出来てなかったりするんだから...微妙なんだが..

明日もテスト日なので部活はなくいつもより早く家に帰る。

あの事(・ ・ ・)があってから直ぐに転校したので友達はあまりおらず、一人での帰宅だ。



「ただいまー」

.....あれ?

いつも通りなら、ここで妹か母親が返事するはずなのだが、今日は何故か静かだった。

出掛けてるのかな?と思ったが、靴があり、お客さんのだと思わしき知らない靴も並べてあった。

なのにリビングからは話し声は聞こえない、俺はなにか変だなとは思いながらも、リビングに行こうと玄関から真っ直ぐ伸びる廊下を歩きリビングの扉を開けた。



「っ!…………」

リビングで起こっている状況に絶句した。



「よう、久し振りだな!悠斗」


「なっ!なんで父さんがここに!?、それに………」


家に帰ると単身赴任で遠くに行っていた父親が家にいるぐらいは、まあ、可笑しくはない話だろう。

ただし、それは父親が包丁を妹と母親に向けていなければの話だ

妹は気を失ったのか母親の膝の上に倒れており、母さんには口にガムテームを貼られている

包丁を突き付けている父さんの目は何故か光が宿っていないように見え、明らかに異常事態だ。

なにが起こってるんだよ...


「な、なにしてんだよ!、包丁なんか人に向けて、危ないだろ!」


「何って、見てわかんねえのか?、」


「わかんねえよ!。」


「拘束してる奴に刃物突き付けてるんだぜ?殺そうとしてるって事ぐらい分かれよ」


「こ、殺す!?はあ!?いきなりなに変なこと言ってんだよ」

どういう状況だよ...

家に帰ってきたら父さんが包丁を手に凪沙と母さんの前に立っていて...

理由を聞くと殺すと言った...もう...訳が分かんねえよ


「うっせえな、殺そうとしちゃあダメなのかよ」


「当たり前だろ!?てか何で殺そうとしてんだよ、俺達が父さんに何かしたかよ!」


「ん?何もしてねえな。だけどな。なんか今日お前らを無性に殺したくなったんだよ。」


「は?....無性に殺したくなったって....余計意味が分かんねえよ」

俺達が父さんに何かをしたなら...まあ分かりたくないが分かる

だけど...何の理由もなく殺す?無性に殺したくなった?可笑しいだろ!?いったいどうなってんだよ!

今はとにかく止めさせないと...万が一がある


「取り敢えず落ち着こうぜ、な?、ほら包丁貸せよ」


「悠斗!そっから一歩でも近付いてみな?」


「何を言って...おい...父さん!?」


「あ~あ、お前が悪いんだぜ?近付くなって言ったのに近付きやがって...お前のせいで大事な大事な妹は死ぬ、まあ安心しろお前も直ぐに同じとこに送ってやるからさ」


「やめっ」

父さんは包丁を逆手に持ち変え母さんに振り下ろそうとした。

その時、あの時の光景が頭に浮かんだ。そして

また、また失うのかよ...また...守れないのかよ..また大切な人が死んじまうのかよ...

嫌だ...それだけは。それだけは絶対に嫌だ!


そう強く思うと体は無意識に動いて父さんの所に駆け寄り、振り下ろそうとした手を止めるため父さんに後ろから羽交い締めにしていた。

だが羽交い締めにされ殺すのを邪魔されたからか、父さんは暴れだした


「父さんやめろ!こんなことして何になるんだよ!」


「うるせ!離しやがれ」

羽交い締めにされて暴れた父さんは肘を俺の腹にぶつけていきた。あまりの痛みに俺は思わず羽交い締めを解いて後退ってしまった


「うぐっ!?」


「よくも邪魔してくれたな。お前から先に殺してやるよ」

腹をぶつけられて悶えている俺に父さんが包丁を振り下ろしてきた。

死の間際のせいか包丁はゆっくり自分の首に向かっているように見える、だが徐々に近付いてくる包丁に俺はなにもできず首を切られ、追い討ちとばかりに蹴り飛ばされた


ああ...俺こんなとこで死ぬんだ、ははは、結局何も守れないんだ


傷口からは大量に血が流れ、刻一刻と死に近付こうとするなか、父さんが妹と母さんにも包丁を振り下ろし、殺す様子が目に映った。

殺し終えた父さんは少しだけ目に光が戻ったように見え....そして


「ははははははハハハハハハ、くそくそくそ、なんでこんなことになるんだ!?俺が何かしたか!?呼ぶのは俺でいいじゃねえか!!なんでむす....」


笑いだし後悔の言葉を発しながら自分の首にも包丁を向け突き刺した

自殺した父さんを見たのを最後に意識が途切れ、

俺は深い闇のなかに落ちて行った






これが悲劇の始まりであり、一人の少年が英雄となる物語の始まりでもあった。



誤字脱字あれば報告お願いします

気付いていない場所なので詳しく教えていただけると助かります

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