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年に1回程度の結婚式衣装の依頼が来るようになって落ち着いてきたなと思いながらお得セットをチマチマ作っている。
やはりどうしてもと言う人間もいてそういう人にはすべて手作りでハンカチや靴下に刺繍をしてあげるが、大体はお得セットが出ている。そっちの方がお得だし長期で使えるからそっちの方が良いと判断する中位の人たちは多い。中位の人たちだったらかなり高い品質の布地でなくとも良いから楽だ。中位の人用の布地だったら入手可能だし。
逆に高位だと自分で1から作るか依頼人が用意したものを使わないといけないから面倒なのだが、そうではないと布地が高位の人の力が持たない。力が強すぎるのも問題である
で、結婚式が落ち着いたらやはり来るのがベビーブーム。高位の種族が多かったからそれほど大変ではなく来るであろうと考えて1から糸を作った。無論、糸を用意するときに高位でなおかつ力が制御できない子供用に耐性を最高レベルにしたのを準備していたので問題なくさばけたが、こういうのを私以外でできる人はいないのか?と品を送り届けた時に思った。
ちなみにそれを顔役さんに相談したら無理だろうねーといっていた。普通に糸を自分で作る人はいるだろうけど耐性をあげるとかできる人は少ないんだよ。とそれをたった3年で最高レベルに上げている人なんて。と呆れながら
私が提案して進めた新人さんたちは徐々に成果をあげているらしいそれでもはじめて5年くらいだから頑張っても低レベル++から中レベル位だそうで。その人たちが今頑張っているから大変ですまされているといわれてそういえばお得商品を出した時は結構大変だったけど今は少しお茶をお飲む暇が有ると考えるとありがたいと手を合わせて見た
そんなある日顔役さんに呼び出されていけば渋い顔の顔役さんと戦闘系ですといわんばかりの人間がいた
「あい済みませんが、私は守りの加護しかしませんし、攻撃職の人間に私の製品をお渡しする事はありません」席に座ることなくすぐさま断るのは理由が有る
「とりつく暇さえないな」と笑っているので
「以前家族をあなた方に悪だと判断されて殺されましたからね。私の相棒で友人たっだ者だったので。恨んでも致し方がないと思いますが、それでもあなた方は許さない」
「相棒か。あやかしをそんな風に言う人間は討伐対象なんだがな」ニヤリと攻撃を仕掛けて来ようと来たので
「あやかしすべてが悪ではありません。それぞれの理由で動いているのですよ。それを理解できなく邪魔だからと言って殲滅するとかバカらしい。私を殲滅するならばすれば良い。できるならばですけど」にやっと笑って挑発しておく。そろそろこっち関係の人間も依頼してくるだろうし依頼を了承しなければ攻撃してくるだろうと思っていたので、私ができうる限りの最高級作品を守りとして持ってきている。ハンカチとか靴下とかではなく加護が1番つきやすい宝石で作った指輪である。
自分の誕生石に加護をこれでもかと言う位つけた防御の最高商品だ。これで攻撃して防げない攻撃があるとすれば世界が滅びる位の攻撃を仕掛けてこなくてはいけないと思う。一応品質を確かめるために顔役さんにお願いして各種の最高位のひとたちの最大攻撃をぶつけてもらったのだから。で、壊れなかったものを再度自分で作り直して今着けている
試作に協力してもらった人たちにはお礼として同じように最高級の品をプレゼントした。衣装がいい人には衣装を宝石がいい人には宝石をそれをどうデザインするかはその人たちに任せたけど。
攻撃を幾重にも仕掛けてくるが私には傷1つつける事ができず自分の力を放出しすぎて放心している人を見ながら顔役さんを見ると渋いかおを更に渋くしている。場を傷つけないように配慮したのにダメだったかしら?と思っていると
「こういう手合いには挑発してはいけないと言っていたじゃないか。怪我したら親御さんが悲しむだろ」ああ、そっちですかすみません。と頭を下げてから
「こういうのはうちの領地には入ってこないようにしているが、古いつてをたどってきたのだから一応と思ったが、何で共存ができないんだろうな」とため息をついている
「人それぞれですから」と答えると
「で、次の商品はそれなんだろう?」と商品の機能を見せるために来たような顔をしてきた。ちなみに放心している攻撃系の人は場に居合わせた人の手で外に出されている
自信の攻撃をすべて無効化されて放心しているが、そのまま失意にくれれば良いし、現役を引退すれば良いだろうと思おう
「これじゃなくて、周りに攻撃の余波を与えない方です。これは私のお守り。1点ものですから」と言えば残念そうな顔をされたが
「まあ、今みたいに派手に攻撃を仕掛けて来ないだろうし。そういう風な被害を受ける人は周りの回復をと言う人間が多いから売れるんじゃないか?」とのことで商品になることが決まった
作り方は簡単だし。加護もそれほど難しいものではない。ただし販売をする人間がどのランクの人間だと言うことだ。で、考えたが普通に高位の人間じゃないと攻撃を”自分は”無傷ですまない。”自分は”無傷”だが周りが傷つくから問題なのだろう。大切なことなのでもう一度言う。”自分は無傷”と言うことはやはり高位なんだろうなととなれば私が作ったレベルだとすぐさま塵になるだろう。うん。頑張ろう
質の良い綿を購入して仕事の合間に糸を紡ぐ。くるくると糸車を回しながら唄を歌う。糸の耐性を上げる詠唱を。他の商品が加護を移らないようにちゃんと隔離して置く必要が有る。
いつもと違うのは服用の生地を作るのではなく作った糸で組み紐を作るのである。組み紐を結ったらストラップとして使える品物で有る。男性だとちょっとと言うだろうが結わなくてもストラップとして使えるし。昔はこれで帯留めとして使用していたから問題ない。と言うことで作り始める
耐性を上げた糸に色をつけていく過程でも更に耐性を上げる詠唱をしながら作業する。色がムラなくついたら少し休ませて加護を浸透させる。二つの過程で耐性を上げるに上げているため全力で高位の人が攻撃しても防げる。何度もやられれば劣化していくが、攻撃系の人間程度の攻撃なら問題ない
組み紐を作っていく過程で防御の加護を幾重にもつけていく。小さな加護を何十にもつけると言う行為で隙間なく攻撃を防ぐことができる。対象はつけている人間を中心に2メートル四方。小さい加護の詠唱は短いがそれを何十にも重ねてつける場合は結構長い。高位の人の服を作るときと変わらぬ長さだったりするが、それを30センチほど作ったら出来上がり。それだけでも商品になるが結んだ方が効果的であるために好きな物を結っていく。女性なら花結びが良いかしら?と思いながら女性用に可愛らしい色を選んで量産する。男性はそのままストラップかブレスレット・アンクレットとして使えば良いやとそのまま結わないで置くが、同等に加護はしっかり付けていく
詠唱をしながら楽しげに組み紐を作っているのを遊びに来た甥っ子や姪っ子が見ている。遠方に嫁いだ姉が遊びに来たのだ。近隣にいる姉も顔見せとして来ていたが、姉たちが揃って子供たちが地味に始めてみる親戚を見て固まっているのを見ながら面白いなと幸せだなと感じながらの作業だ。小声で姉たちの会話を邪魔しないようにしながら作っていたので幼子の興味をひいたのかと思いそれほど加護がついていない物を幼子たちに渡して見る
「え?」驚いている姉たちを余所に嬉しそうに組み紐をもって振り回している子供ら
「ものすごく弱い加護といえるどうかわからない程度の物をつけているから大丈夫だよ」と言っても固まっている姉たちを見て母に助けを求めると
「あらあら。良いもの貰ったね。ブンブンしないでお手てにつけようか?」と緩く結んで上げている。
「これは健康に過ごせるようにって言うやだね。母さんと父さんがもらったやつだよね」と言われて
「そ。それの試作品です。母さんたちの年代でも対応できるようにうっすら加護をつけた程度のものを試作した時にできたかなり薄くて検知できない程度の加護をつけているの。2回に1回は風邪を引かないと言う程度しかつけていないんだよね。商品価値は低すぎるから販売しないものなの」そういうと
「そのくらいうっすらだとね」と孫につけて上げた組み紐を見てから言う
「そ。そっかー」と安堵している姉たちだが、家族に危険を招くようなものを私が渡すはずがないでしょ。と言うか、居間の隅っこで組み紐を作っている私を違和感なく受け入れてしまう姉ちゃんとその子供たちってどうなの?とは思うが、仕事場には子供らが入らないようにしているから問題ないでしょ。まあ、2才児が階段を一人で上るのも危ないので階段には柵を設置してあるから大丈夫
「いきなり箱から出すから高価なものだと勘違いしたじゃん」と抗議されたので
「現在制作中のは高値で売れるはずの物の試作品ですからね。箱から出るのは当たり前。つけるものが違えば箱も違ってくるのが職人の常識ですがな」にひひと笑うとそんなこと知らんがなと言われてしまう
さてとと手を止めていた作業を再開して作成していく試作品をキラキラした目で見ている子供らを意識のそとにおいて姉たちがのんびりお茶をすすっているのを感じながら作った試作品をもって顔役さんのもとへ
「試作品なんですけどね」と出した女性用と男性用を見て微妙な顔をする。
「男性だとストラップに女性みたいな華やかな結ってできないんですよね。男性用の柄の種類って少ないし」と言えばだろうなと言う顔をしている
「まあ。アンクレットでもブレスレットにでもしてくれれば良いし。ある程度年をとっている人だと根付けをつけて携帯にと言う方法もありますけどね」そういえば納得している
「女性は逆に華やかな結びとかができるから単体でもストラップとかに出来るんですけどね」
「だな。まあ。一応見せて反応を見てみるか」と試作品を上位の人に持ち込むことにしたらしい。経由はいつも道理の老舗だろうけど
「いろんな事ができるんだな」呆れながらそう言われたので、最近は簡単にできるアイテムとして人気なんですよ組み紐。暇潰しに作っていたんであちらで。そういうと納得している
「加護をつけれるかな?と試したのは今回がはじめてですけどね」そう答えて結果が出たら教えて欲しいとお願いして帰宅する