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3日後に届いた糸を機織り機にセットする。それから1ヶ月かけて1人分の白い生地を織っていく。婚姻の衣装に使用する詠唱は種族で違って来る。竜族は面倒で各種属性で少しずつ違って来るのである。
今織るのは火竜なので火竜用の詠唱を唱えながら織り進んでいく。竜族の婚姻の詠唱は10節まであるので長く面倒であるし2回目3回目と繰り返す回数が増えることにちょっとづづ詠唱が違ってくるのでさらに面倒だと思い出して、今回仕事を受けることになり教本を取り出して見直した。以外と覚えていた。間違えそうな所に線をいれて書いてあったノートを見て懐かしいと感じる。
ざっと基本だけ教わってあとの詠唱は自力で勉強したものだ。書類は結構残っていたが、1つ1つ教える人間がいないだ。現代で技術が廃れる原因がこれだろうと思う。やり方の基本は一緒だが個人的にやり方が違うため自然にそうなってしまう。現代の学生は教えてもらわないと出来ない傾向があるらしいので、原因の一端となっているだろう
書物が結構残っていると言っても何となくそんな感じだと言うニュアンスが書かれているだけで、明確な刺繍の図案がないのは痛いと当時思ったが、色々と読み進めていくなかで自分なりのイメージが出来たから刺繍も詠唱もちゃんと発動して加護がつくようになった。今のオタクと言われている人間ならきちんとしたもができそうである。オタクは1点集中型だからと考えて見る昼御飯を食べて15分の昼寝をする
15分の昼寝は作業効率が上がるらしい。
午後からも機織りをしていく。夕食後は送られてきたハンカチに刺繍をしていく。良質な生地でできているハンカチ。加護などがついてなく真っ白な生地は詠唱の浸透が良い。詠唱を聞かせているだけなのにすでに中レベル-といった所だ。これを最高レベルにするためにはと幸せが少しだけ人より訪れやすいと言う加護がつけれる刺繍を選ぶ。すべての属性の方が良いのか属性を限定した方が良いのか少し悩むが、火竜の結婚式だからと言って出席者は火竜だけではないだろう事ですべての属性の刺繍にする
ハンカチに施す刺繍を決めたら刺繍を始める。1ヶ月10個だと言っていたはずなのなぜか来たのは150個。喧嘩う売っているのか思ったが、ハンカチの生地を見て考え直した。ハンカチの出来が最高ランクになれば良いのだろう。刺繍自体はそれほど高いランクのものをしなくても良いと言うことである。詠唱を染み込ませている時点ですでに中レベルである。刺繍をして方向性をつけて更に詠唱を聞かせていたら3ヶ月後には最高レベルになるだろう。
結婚式の引き出物なので、結婚式の衣装を作成するときの詠唱を聞かせなががら違う加護の刺繍をつけても問題ない。幸せと言ってもこの場合は婚姻を指すのだから。チマチマと低レベルの刺繍を指定された色の数だけ刺繍をしていく。
1人分の生地が出来上がればそれを箱にいれてからもう1人分の生地を作成に取りかかる。3か月目には2人分の生地が出来上がる。それを一緒に箱にしまい馴染ませておく。
2つで1つの商品の場合にする手法である。馴染ませておけば着る人が仲睦まじくいられると言う験担ぎである。3ヶ月目はまだ刺繍を終えていないハンカチに刺繍をしていく。半数以上がまだ手付かずであるが、機織りをしないので1日十ハンカチに刺繍をすることができる。
ギリギリ納期までハンカチも刺繍が終わり生地をいれている箱をハンカチ・ボタンをいれている箱と共に更に箱にいれて送る
インターネット会社に送ったことと到着日時を交換していたメアドに送って仕事は終了。到着予定日に到着したことと商品の品質が最高レベルの高レベル++だと査定の結果を送ってくれた。
それからあちらが忙しかったようで、1週間ほど暇な時間を満喫しながら趣味の刺繍をしていた。ちなみに3ヶ月間無収入だと覚悟していたが、退職金と貯金があったのでなんとかなったが少しずつ減っていく貯金が焦りを生むが、仕事をしてたので余計の事を考えずに居られた。
ぼんやりしていたらメールが来た。次は5尾の狐さんの結婚の衣装だと言う。今日糸とかを送ったのでよろしくと書かれていた。追伸として前回の商品は200万で売れたからと書かれていた。
年収かよ。と言うか私的には追伸は狐さんの方だと思うんだけど・・・まあ、品がつくのは3日後だからと了承のメールを送っておいた
狐さんだからとノートを取り出して詠唱を確認し直す。狐さんも面倒だけど尾っぽの数で詠唱が違って来るだけで回を重ねても同じ詠唱である。竜族と同じで長いから面倒だと言えば面倒だが、歌を歌っていると思えばそれほど気にならない。
着いた荷物から糸を取り出して機織りにセットして織り始める。近所迷惑にならない程度に詠唱を歌う。狐さんはピンポイント刺繍ではなく流れるようなデザインの刺繍をした方が良いと夕食後に刺繍を始める
詠唱と刺繍のデザインは違えどもやり方はほぼ同じ。それほど大変な仕事?ではない。詠唱のレベルや刺繍のレベルを上げるのは努力が必要だが、学生時代にあげるべきものは上げていたし、この世界から離れていても私物や実家では、手法を使っていたので、腕が落ちる事はなかった
それで生活していくのには困らないから技術は身を助けるんだなーと寝る前に実感する
3ヶ月経って出来た狐さんの婚姻衣装を会社に送る。製作期間中にお祭りがあって大変だったと思いながらも無事、祭りの気に当てられないで出来たのにはホットする。祭りや正月に被るのはマジ勘弁と思うが、次のも正月に被るだろうと思うと少し考えてしまうが、婚姻を控えている人たちは沢山いるからマジ勘弁とは言えないなーとは思っている
荷物が到着したと連絡が来たのは3日後。査定も前回と同じで最高級ランクのものだと喜びのメールが入っていた。追伸で新人にやり方を指導してほしいと打診を受けたが、指導というのが来ないので辞退しておいた。無理ならば良いとしておいて引こ籠りとかオタクとか言う人なら質の良い商品を作り上げる事ができるのでは?とは回答しておいたが意見をどう判断するかは社長の仕事だからとほっといていた