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9話 ヤンデレ警報発令、危険に伴い南の方には注意!

 季節は12月に入り、肌に突きつける寒さは増して、すっかり冬になりました。


 今日はいつもと何かが違い、ぞわぞわと悪寒がするのです。


 風邪でも引いたのかなと思いましたが、熱はありません。


 私はいつものようにエクレールと共にサリバン先生の授業を受けに部屋を出て、学習部屋へと向かいました。


 「エクレール、今日、何か感じない?」


 「エリカも私も何だか嫌な感じがするの」


 すると、前に突然、女の人が現れたのです。


 音も風も感じることなくです。


 女の人は黒く長い髪に瞳は灰色の瞳で目は死んだように光がなく潤いがありません。

 容姿はとてもきれいな人で年の頃は20歳前後。兄さんと同い年位です。

 服装は黒の長いローブを着ていて、いかにも魔女という感じです。


 私とエクレールはぞわぞわと悪寒を感じていました。


 「御機嫌よう、この城では初めて見る顔ね。あなたは誰」


 「ごきげんよう。私はエリザと言います」


 「そう、エリザ、いいえ嘘ね。本当は知ってるわ。ユートの妹、エリカ姫でしょう」


 私は言葉が出なくて首を縦に振って頷いてしまいました。


 「私の名前はプリシラ。以後、お見知りおきを」


 「どうして、私は兄さんの妹だと、知っていたんですか、プリシラさん」


 「それは簡単なことよ、ちょっと薬を飲ませて、しゃべらせたのよ」


 プリシラさんは恍惚と笑みを浮かべて、私を見ました。


 「あなたにお願いがあるの、邪魔だから、消えてもらいたいの」


 すると、プリシラさんは小さな瓶を取り出して中に入っている粉を私にかけました。


 私はとっさのことに逃げることもできず、まともに粉を浴びてしまいました。


 エクレールはプリシラさんに電気ショックを攻撃しましたが、プリシラさんはびくともせず、今度はエクレールを風を操り、遠くまで飛ばしてしまいました。


 それから、私は何だかどんどん体が小さくなっていきました。


 そして、皮膚は黒くなり、手足には水かきができて、髪の毛がなく頭はつるつるになってしまいました。


 「うふふ、素敵な姿になったわよ、お姫様」


 そう言って、プリシラさんは鏡を持って私の姿を映しだしました。


 鏡に映った私の姿は、何と黒くて小さいアマガエルなのでした。


 「ケロケロ(そんなー)」


 「何を言っているのか、分からないわ」


 プリシラさんは、アマガエルとなった私を手に持って、歩き始めした。


 「ケロケロ(どこへ行くんですか)」


 「今から、あなたを捨てに行くわ、うふふ」


 「ケロケロ(やめて下さい)」


 たどり、着いた場所はトイレでした。ちなみに水洗です。


 「サヨナラの前に一つ教えてあげる。その姿から人間に戻りたかったら、人間にキスして貰うのね。もちろん、あなたを愛しているってのが条件よ」


 そう言って、プリシラさんはアマガエルの私を便器へと投げ込み、流してしまいました。


 私は水の勢い飲み込まれて、気を失ってしまいました。


 トイレに残ったプリシラさんの目は光輝き、頬を染めていました。


 「これで、ユートは私に目を向けてくれる。怒り、叱ってくれる」


 プリシラさんは兄さんがこれから、自分に向けるであろう、剥き出しの感情を見せてくれることに快感を覚え、心ときめかせているのでした。


 「あ、最後に言うの、忘れてたけど、キスした後、お互い入れ替わること。言うの忘れちゃったけど、まあいっか」


 プリシラさんは大事なことを私に言わず、トイレを後にしました。




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